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ICTエコノミーの今
2014年7月16日掲載

ICT関連設備投資−5月の変調?:
マイナスに落ち込んだ機械受注(民需)

(株)情報通信総合研究所
マーケティング・ソリューション研究グループ
主席研究員 野口正人

ICT関連経済の各指標も5月の数字が出そろった。全体は次回に触れるとして、今回は新聞でも大きく取り上げられた機械受注(民需)についてICT関連経済の状況を確認しよう。

機械受注(民需)は、設備投資の先行指標として注目される。ICT関連経済では、それを設備投資の代理指標として見ているわけだが、その数字がどうなったか。ICT関連設備投資は対前年同月比マイナス16.7%となった。機械受注(民需)全体では同マイナス14.3%であり、それに対するICT関連の寄与度はマイナス7.3%と約半分がICT関連となった。ICT関連経済でも5月単月は大きな落ち込みであった。

表

今回の落ち込みは、電子計算機、通信機(除、携帯電話)、半導体製造装置のうち、電子計算機が大きく落ち込んだためである。電子計算機のここ1年の月次の動きは比較的調子が良かったが今回大きく落ち込み、全体の足を引っ張った。

今回落ち込んだ背景には、NISA関連の動きなどで好調であった金融・保険業が大きく落ち込んだことと、それに代わる業界が出てこなかったことがある。さらに昨年5月の伸びが大きかったことの反動減という側面もある。大きな案件に左右されやすいだけに、ICT関連投資全体が落ち込んでいることを表しているのかは注意して観察する必要がある。

過去のICT関連投資の動きを振り返ると、悪い月はあるものの、それが継続することはリーマンショック時などまれである。また日銀短観(6月)でも企業心理は堅調であり、金融・保険業についても今後さらに悪化する兆候はみられない。以上よりICT関連設備投資がさらに大きく落ち込むことはないとみる。

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