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Enterprise Evolution
2009年6月掲載

グリーンICTからグリーンクラウドへ

 ICT産業では、 グリーンICTにより、 機器の環境負荷低減やICTの効果的利活用を推進している。SCMの効率化や在庫最適化による販売物流プロセス見直し、 テレビ会議や在宅勤務推進により、 ワークスタイルを見直すことによる環境負荷に配慮した取り組みがなされている。企業はこのような取り組みで、 グリーン化を加速させ、 持続可能な社会創造に貢献している。一方で、 このようなグリーンICTにより企業経営にどのような効果が期待できるか、 十分に定量的評価はなされていないため、 今後は企業の持続的なグリーンICTの取り組みが難しくなってくることも考えられる。

 米国では、 オバマ政権の「グリーン・ニューディール政策」により、 企業の低炭素社会への貢献が支持されていることは明らかであるが企業経営にどのような効果が期待できるか、 定量的に評価がなされない場合、 持続不可能という市場感と顕在化してきている。
当然のことながら、 企業の環境コンサルティングは従来にも増して、 ニーズの高まりはあるようだが、 企業の“グリーン”な取り組みがどのような効果が期待できるかを定量的に評価できると、 企業の取り組みはさらに加速し、 持続的な取り組みにつながると考えられる。

 米国を中心に、 サステナビリティ(持続可能性)ソリューションを提供するICT企業が注目されている。低炭素社会の実現に向けた企業の取組みを支援するため、 炭素排出量管理を中心とした温室効果ガス排出管理や使用水量、 廃棄物の環境への影響を測定し、 レポートする。さらに、 これらのデータの可視化や必要な戦略立案のためのデータ分析も行う。

 オンデマンドでの環境&エネルギー管理ソリューションを提供するHaraは、 企業のグリーン化診断をパッケージソリューションとして提供している。ICTインフラの現状分析に加え、 グリーンBPRともいうべき、 業務プロセスの診断も行う。その結果、 企業価値に環境&エネルギー管理の要素も組み込むことで企業価値向上を支援する。Haraと同様に、 EnvianceEnvironmental Support Solutionsは、 企業の環境&エネルギー管理を可能にするソフトウェアを提供している。また、 独SAPは、 2009年5月に企業の炭素ガス排出管理ソリューションを提供するClear Standardsを買収し,環境/健康/安全に関する法規や企業の環境ポリシーに準じているかを自動でチェックする「SAP Environment、 Health、 and Safety Managementソリューション」を提供する計画にあるという。

 企業は、 低炭素社会に貢献すべく、 グリーンICTを中心とした取り組みを行っているが、 企業戦略にどのように取り入れ、 企業価値を高めていくかを考えるとき、 サステナビリティ・ソリューションは、 企業活動の環境への影響を可視化し、 定量的効果を提示することができる。通信事業者は、 クラウドコンピューティング基盤を利用し、 オンデマンドでのサステナビリティ・ソリューションを提供することで、 グリーンクラウドプラットフォームを構築し、企業の効率性と競争力向上を支援することができる。

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