ホーム > Global Perspective 2012 >
Global Perspective 2012
2012年2月3日掲載

アフリカでソーシャルメディアはどのくらい普及しているのか

グローバル研究グループ 佐藤 仁
[tweet]

 2012年1月26日、英国Portland社がアフリカでのTwitterの普及に関する調査結果を発表した。アフリカ20か国でのTwitter利用について纏めている。アフリカにもソーシャルメディアが普及しているようだが、現状を見ていこう。

アフリカでのTwitter利用状況

 今回の調査対象となった20か国は、アフリカの人口の70%、GDPの85%、インターネット利用者の88%を占めている。
アフリカ20か国でのTwitterの利用状況について調査結果からポイントを列挙する。

  • Twitterの57%がモバイルから発信されている。
  • アクティブユーザのうち60%が20〜29歳。
  • 81%が友人たちとのコミュニケーションに利用している。
  • Twitterを利用している人は、Facebook(94%)、YouTube(69%)、Google+(46%)、LinkedIn(37%)、Foursquare(23%) も利用している。(括弧内は利用者の割合)

【Twitterで受信している情報】

  • 海外のニュース:76%
  • エンターテイメント・ゴシップ情報:69%
  • 国内のニュース:68%
  • 政治関連:55%
  • スポーツ:43%
  • 職探し:22%
  • 健康情報:21%

 海外のメディアの多くがTwitterで情報発信をしているから、海外のニュースをフォローしている人が多いのだろう。サッカーが盛んな国の多いアフリカ諸国でスポーツ情報はそれ程多くない。Twitterがアフリカにおいて重要な情報源になってきていることがわかる。

実際にはどこまで浸透しているのだろうか?

 アフリカでTwitter利用者が急増しているとのことだが、どの程度普及しているのだろうか。南アフリカが500万以上の利用者がいて圧倒的に多い。2位にケニア(240万以上)、3位にナイジェリア(160万以上)と続く。
 今回のPortland社の調査結果ではアフリカの全ての国を網羅していない。アフリカには50か国以上あり、10億人以上の人口がいる。
 アフリカでのTwitter普及率と、利用者の57%がモバイルからの利用であるとのことから、携帯電話の加入者と普及率を下記の表1に纏めてみた。アフリカでのTwitterの普及率はまだ低い。多く国では1%未満である。
 携帯電話の普及率は100%を超えている国も多い。これはプリペイドが圧倒的に多いアフリカ諸国において1人が複数のSIMカードを持っているからである。
 次にFacebook利用者との比較を見てみよう。Twitterは調査の基準が異なるから一概に比較するのは難しいがFacebookの方が利用者は圧倒的に多い。南アフリカとケニア以外の国ではFacebookの方が利用されている。チュニジア、エジプトといった「アラブの春」でソーシャルメディアが情報発信手段として活用されたといわれている国でのFacebookの普及率が高いことも特徴の1つである。とはいえアフリカ諸国ではFacebookもまだ普及率が1%未満の国が5ヶ国ある。

(表1)アフリカ諸国でのTwitter、携帯電話加入者、Facebook利用者および普及率

(表1)アフリカ諸国でのTwitter、携帯電話加入者、Facebook利用者および普及率

(Portland社およびITU、国際連合、Socialbaker発表資料を元に筆者作成)

アフリカでのソーシャルメディアの発展に向けて

 このように人口に対する普及率で見てみると、ソーシャルメディアは携帯電話のように普及はしていない。多くの国でTwitterの普及率は1%未満である。
アフリカ諸国で携帯電話を保有してソーシャルメディアを活用して情報発信・収集をしているのは、まだ一部の富裕層のみである。多くの人々がまだ携帯電話は通話とSMSしか利用していない。またソーシャルメディアを活用するより先に識字率の向上とベーシックヒューマンニーズ(BHN)の確保もアフリカの一部の国では喫緊の課題である。

 一方で、2011年の北アフリカ諸国での「アラブの春」に代表されるようなソーシャルメディアの活用やケニア軍によるソマリア進軍に対するTwitterでの情報発信(参考記事)など、日常生活の様々なところでソーシャルメディアが活用され始めている。TwitterもFacebookもまだまだこれから成長の余地がある。
 今後のアフリカ諸国の発展とソーシャルメディアの躍進、人々の生活向上に期待したい。

※本情報は2012年1月28日時点のものである。

▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。