ホーム > Global Perspective 2012 >
Global Perspective 2012
2012年12月21日掲載

情報通信技術の発達とサンタクロース追跡:NORADサンタ追跡

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁
このエントリーをはてなブックマークに追加

北米航空宇宙防衛司令部(NORAD:North American Aerospace Defense Command)が毎年行っているサンタクロースの追跡プロジェクト“NORAD Tracks Santa”が2012年も行われる。NORADがサンタクロースの行き先を追跡するクリスマスイブの伝統的イベントで、世界中を飛び回るサンタクロースの位置情報をリアルタイムに発信するサービスだ。

1955年(昭和30年)からサンタクロースを追跡

NORAD は1955年からサンタクロースの追跡を行っている。米国コロラド州のシアーズ ・ローバックが「サンタへの直通電話」を開設したが、広告に掲載した電話番号はNORAD の前身である CONADの司令長官へのホットラインだった。子供たちからの電話を受けた司令官は、部下にレーダーでサンタクロースを追跡するよう指示し、次々に電話をかけてくる子供たちに、サンタクロースの現在位置を伝え続けた。NORAD は57年にわたってサンタクロースの追跡をしている。
「もはや戦後ではない」と経済白書で称された1956年の1年前(昭和30年)である。日本が高度経済成長に入る直前であった。その頃からNORADは毎年サンタクロース追跡を行っている。

インターネットの登場で大きく変わるサンタクロース追跡

1955年から実施しているサンタクロース追跡だが、インターネットの登場によって追跡方法も情報発信も大きく変わった。1997年にWebサイトを立ち上げてインターネットでの情報発信を行っている。1998年からはレーダー、人工衛星、サンタ・カメラ、ジェット戦闘機の最新鋭システムを活用してサンタクロースの追跡を行っている。
 インターネットの登場により全世界の人たちが追跡を確認できるようになった。パソコンの前で世界中からサンタクロースの追跡ができるようになった。NORADのサイトは英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、中国語、日本語があり毎年1,000万以上のアクセスがある。スマートフォン向けのアプリも用意した。手元のスマートフォンからサンタクロースの追跡が可能になった。

地図はGoogleからマイクロソフトへ

NORADは2007年からGoogleと提携し2011年まで5年間に渡ってGoogle Mapsの地図を提供してきたが、今年(2012年)からはマイクロソフトのBing Mapsが採用された。両社ともアメリカを代表するIT企業である。Googleは5年間サンタクロース追跡に地図を提供してきた。現在、Google Mapsは全世界で圧倒的なシェアを誇る。公的機関であるNORADのサービスでGoogle製品の独占が続くよりはアメリカを代表するもう1つのIT企業であるマイクロソフトの地図に変更したのではないだろうか。両社ともアメリカにとってはサイバースペースを支える重要なIT企業である。2012年は全世界から2,500万アクセスがあると予測されているから、マイクロソフトにとってはBing Mapsを世界に知らしめる絶好の機会であろう。

マルチメディア化したサンタクロース追跡

情報通信技術の発展によって、サンタクロースの追跡も情報発信も大きく変わった。1955年から冷戦期の長い間は電話で対応していた。その時代に比べると格段の差である。電話のみではアメリカ時間のクリスマスイブにアメリカにいる人以外はアクセスできる機会も少なかった。しかし現在では英語以外に7か国の言語でサイトを用意し、世界中からアクセスしてデジタルマップやスマートフォンのアプリでリアルタイムに追跡、動画サイトで映像を見たりできるようになった。情報通信技術の進化がこのようなことを可能にしたのだ。

これからも情報通信技術は発展していく。ますますサンタクロースの追跡方法、情報発信がマルチメディア化されていくことを楽しみにしている。

【NORAD TRACK SANTA 追跡マップ】

(図1)infographicによるNORAD サンタ追跡の歴史

(図1)infographicによるNORAD サンタ追跡の歴史
(出典)Search Engine Journal 2012

【参考動画】NORAD サンタ追跡2012

(参考)NORADサンタ追跡

*本情報は2012年12月21日時点のものである。

このエントリーをはてなブックマークに追加
▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。