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Global Perspective 2012
2012年3月7日掲載

テレコム・イタリア:NFCへの取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2012年2月27日、イタリア最大の通信事業者テレコム・イタリア(TIM)がSIMベースのNFC導入に向けてフランスのベンダー Pole SCSと提携したことを発表
した。

 欧州ではイギリス、フランス、スペイン、ドイツの各通信事業者らがNFCの導入を既に発表、トライアルおよび導入をしている。EU5の中でイタリアの通信事業者がようやくNFC導入を公表した。

 TIMは2011年4月からミラノで交通機関ATMとチケット販売をNFCに対応した携帯電話(Samsung S5230)でトライアルを2011年末まで行っていた。 同社は2012年10月を目途に商用導入を予定している。まだ現時点では具体的なサービス内容は明確にしていない。SIMベースのNFCであるから基本的にはあらゆる携帯電話で利用ができる。

 イタリアは携帯電話加入率が152%を超えており欧州でも非常に高い。一人で複数のSIMを保有している成熟市場である。さらにMVNOも多く競争が激しい。
TIMの2011年の決算は増収増益であるが、その多くをブラジル、アルゼンチンの南米での事業に依存している。さらに2位のVodafone Italyから猛追を受けている。
 TIMは2011年12月にクラウドサービス「Personal Cloud」の導入2012年2月にはモバイルヘルス・サービスの導入など様々な付加価値サービス(VAS)の提供を行い新たな事業と収入源を模索している。今回のNFC導入もその一環である。

 世界の通信事業者はNFC導入に向けて様々な取組みを発表してきたが、商用導入化まで辿り着いている事業者は少ない。クラウドサービスやシステムソリューションで提供しているモバイルヘルス・サービスのように一筋縄にはいかない。

 果たしてNFCは飽和しているイタリアの携帯電話市場においてTIMのサービス差別化、さらなる収入源につながるのだろうか。2011年にはイタリア・ショックと呼ばれた財政危機に陥った。新サービス導入によるイタリア経済の活性化にも重ねて期待したい。引き続き注目していきたい。

イタリアの携帯電話事情

 イタリアの携帯電話事情を簡単に見ていきたい。

 携帯電話加入者は約9,160万人。携帯電話加入率は、約152%(2011年12月)
MNOは以下の4社だが、MVNOも多数ある。3Gの普及率は32%

  会社 シェア
1

TIM 34.6%
2

Vodafone Italy 32.7%
3

WIND 22.7%
4

3 Italia 10.0%

*本情報は2012年2月29日時点のものである。

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