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Global Perspective 2012
2012年12月10日掲載

「備えあれば憂いなし」:震災に備えて通信手段を増やしておこう

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁
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2012年12月7日午後17時18分頃、東北から関東にかけて強い地震が発生した。首都圏でも久しぶりに長い時間に渡って揺れた。東北地方を中心に津波警報・注意報も発令された。

情報は瞬時に世界へ

津波に関する情報は瞬く間にアジア太平洋諸国でもBreaking News(ニュース速報)として報じられた。オーストラリアのラジオ局をはじめとするアジア太平洋諸国のメディアはTwitterなどを活用して情報発信と拡散を行った。
 もちろん日本のメディアも津波に対する注意を呼びかけた。地震直後のNHKでは、「津波!避難!」という大きなテロップが表示され、アナウンサーが津波警報、注意報が発令されている地域の方に対して避難を強く呼びかけていた。「東日本大震災を思い出してください!」というメッセージが印象的だった。
 またTwitterやFacebookといったソーシャルメディアでも個人や組織などから多くの情報が発信された。一方でソーシャルメディアやインターネットには今回もデマ情報が拡散された。

今回も活躍したソーシャルメディア

地震発生直後から、東北地方を中心にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社は通信規制をかけた。これは地震発生直後から安否確認などの通話が集中し、つながりにくくなったことを受けた措置であり、先般の東日本大震災時で経験した方も多いだろう。そして、通信事業者は携帯電話のデータ通信網を使い、音声メッセージを伝える「災害用音声お届けサービス」など災害時用の伝言サービスを各社が立ち上げた。

そのような中で今回の地震の際もTwitterやFacebookといったソーシャルメディアが安否確認の通信手段として活躍した。Twitter Japanは2012年12月7日夕方、Twitteで情報発信をする際に専用ハッシュタグの利用を推奨することを公式ブログで呼びかけた(注1)。「デマ情報」も拡散してしまったが、それでも安否確認の手段として役立った。
 また、メッセンジャーアプリ「LINE」を提供しているNHN Japanは、12月7日の地震後、LINEの「トーク」(メッセージ)送受信量が2倍になったことを明らかにした。

電話以外の安否確認手段を習得しておこう

大きな震災直後には、携帯電話が繋がりにくくなることは周知の事実だろう。

現在は携帯電話での音声による通信手段以外にも、安否確認のために多くの手段や方法がある。通信事業者が提供する「安否確認サービス」やTwitter、Facebook、LINEといったソーシャルメディアなどが多数存在し、これらは様々なシーンや相手によって使い分けが可能である。

平時にそれらの使い方に慣れて、覚えておこう。「ソーシャルメディアなんてわからない。若者が使うもの」という固定観念を捨てて、「イザ」という時に備えて、電話以外の手段でスムーズに連絡が取れるように訓練をしておくと良い。普段から使い慣れていれば、震災時にも慌てずにそれらの手段を活用して安否確認を行うことができる。

当たり前のことだが、当たり前のことが当たり前にできないから震災時にパニックに陥ってしまう。まもなく東日本大震災から2年である。NHKのアナウンサーが「東日本大震災を思い出してください!」と連呼していた。震災時にパニックを少しでも回避できるように安否確認手段をもう一度点検しておこう。

同時期にフィリピンを襲った台風24号は死者475人、行方不明者379人以上とのことである(12月6日災害対策当局発表)。フィリピンではまだ携帯電話、パソコン、固定電話などの通信手段やインフラを持てないために安否確認ができない人も多くいる。通信の手段が複数ある恵まれた環境にいる日本人は平時に対策を確認しておこう。
「備えあれば憂いなし」である。

注1  2012年12月7日Twitter Japan公式ブログにてハッシュタグとして「#地震」「#津波」などの使用を推奨しているほか、地震情報(@tenkijp_jishin)など有益なTwitterアカウントの紹介を行っている。
http://blog.jp.twitter.com/2012/12/5-12-119-tenkijpjishin-tenki.html

【参考】通信事業者が提供する災害時のサービスの例

(参考)

*本情報は2012年12月8日時点のものである。

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