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Global Perspective 2014
2014年5月19日掲載

米サイバーセキュリティ:「コンピューター破壊」から「データ改ざん」への脅威

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

2014年5月15日の時事通信で「サイバー攻撃で運転妨害も=車データ改ざんに危機感−米統参議長」というアメリカでのサイバーセキュリティの動向に関する記事が出ていた(※1)。短い記事なので下記に引用して紹介したい。

(以下引用、下線筆者)

サイバー攻撃で運転妨害も=車データ改ざんに危機感−米統参議長 (2014年5月15日 時事通信)

米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は2014年5月14日、ワシントン市内で講演し、米軍が警戒を強めているサイバー攻撃に関し「コンピューターネットワークの破壊だけでなく、データ改ざんについても懸念している」と述べた。議長はこうしたサイバー攻撃により、車の運転が妨害を受ける恐れもあると警告した。

議長はこの中で、車に搭載した通信装置を利用し、交通情報の配信などのサービスを提供するシステムのもろさを指摘。車のコンピューターのデータが書き換えられる事態もあり得ると語り、スピードメーターの数値改ざんを想定できる具体例として挙げた。

「コンピューター破壊」から「データ改ざん」への脅威

今回の講演では、米軍制服組のトップであるデンプシー統合参謀本部議長が「コンピューターネットワークの破壊」だけでなく、「データ改ざん」の脅威の懸念を示している。従来の「コンピューターネットワークの破壊」同様に「データ改ざん」されることの脅威事例として車の運転への影響をあげている。たしかに、車に搭載された通信装置のデータを書き換えられることによって、事故が多発し、国民が混乱に陥ることのリスクは高い。

リスクとは「発生する確率 X被害の大きさ」で計られる。自動車や交通関連インフラのデータ改ざんについて「被害の大きさ」は容易に想定することができる。デンプシー統合参謀本部議長が講演会の中で注意喚起を行うということは「発生する確率」も高まってきているのだろう。実際、近年の自動車はネットワークでつながっている様々なモジュールを搭載しているソフトウェアの塊である。このような自動車が増加するとともにリスクの脅威は高まり、国家の安全保障にも影響を与えかねない。ネットワークに接続された自動車の増加とシステム化された交通インフラは生活の効率化と利便性の向上に寄与しているが、新たなリスクも秘めている。自動車以外でも多く施設、家庭内、モノがネットワークに接続され、それらは「スマート●●」と称されることが多い。それはリスクの観点からみると「発生する確率」が増加している。「スマート」の裏に潜む「リスク」と「脅威」に対する検知と対策が求められることになる。

*本情報は2014年5月18日時点のものである。

※1 時事ドットコム(2014年5月15日)「サイバー攻撃で運転妨害も=車データ改ざんに危機感−米統参議長」 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014051500073

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