2015年3月10日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

オバマ大統領が考えるサイバー大国は中国、ロシア、イラン

オバマ大統領は2015年2月14日のアメリカのニュースサイト「re/code」においてKara Swisher氏からのアメリカのサイバーセキュリティについてのインタビューに回答している

 オバマ大統領はサイバー攻撃と防衛をスポーツにたとえ「フットボールというよりもバスケットボールに近い。なぜなら攻撃と防衛の明確なラインがないからだ。状況は常に行ったり来たりだ」と述べている。


そのインタビューの中で、オバマ大統領は各国のサイバー攻撃能力について、中国とロシアを「とても優秀(Very good)」、イランを「優秀(Good)」、北朝鮮は「特に優秀ではない(Not so good)」と自身の考えを述べている。



オバマ大統領が北朝鮮のサイバー攻撃能力をそれほど高く評価していないのは、2014年末からのソニーピクチャーズ・エンターテイメントへのサイバー攻撃を北朝鮮のものと断定して批判したことへの牽制も含まれているのだろう。オバマ大統領は北朝鮮のサイバー攻撃能力を「特に優秀ではない(Not so good)」と述べたものの、北朝鮮がどれだけ大きなダメージをアメリカにもたらすことが出来たかを忘れてはいけないと呼びかけた。さらに非国家アクター(Non-state actors)からのサイバー攻撃も同様に大きなダメージをアメリカに与えることができる。そのためにも常にアメリカは自らの戦略(ゲーム)を向上させ必要があると強調した。非国家アクターとはISILを示唆しているのかもしれない。


また、オバマ大統領はサイバー攻撃能力が特に優秀な中国、ロシアおよび優秀なイランについては、今後もこれらの国々がさらに高いレベルでサイバー攻撃を仕掛けてくる可能性を示唆し、サイバー攻撃が制御不可能になることを回避するためにも、核抑止力と同等の戦略が必要だとコメントした。サイバー能力の高い国とは核兵器に関する協議と同様に継続的に協議を行っていることを明らかにした。


サイバー攻撃によって、小国や非国家アクターでも大国に対してサイバー攻撃を行うことが可能になったが、まだアメリカとしては大きな脅威とは感じていないものの、中国、ロシア、イランに対しては核兵器戦略と同様の対応が必要であると述べている。


サイバー攻撃の最大の脅威は相手のシステムに入り込み、そのシステムを破壊することである。アメリカとイスラエルは2010年にStuxnetという強力マルウェアを用いて、イランの核施設へのサイバー攻撃で開発を遅延させたと言われている。つまりアメリカは自らの攻撃によって、敵からのサイバー攻撃の対象となりうることの脅威を熟知しているのだろう。そのため核兵器を保有している国同士のサイバーセキュリティについては、核兵器の管理と同様に核保有国との信頼醸成措置の確保と対話の継続を行っていくことによって、サイバー攻撃による摩擦を回避していくことが重要になってくる。サイバー攻撃という新たな攻撃手法が登場しても、大国間の国際関係は冷戦期と同じである。

※1 re/code(2015) 14th Feb 2015, “How Cyber Security Is Like Basketball, According to Barack Obama”
http://recode.net/2015/02/14/how-cyber-security-is-like-basketball-according-to-barack-obama/

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