2015年4月1日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

韓国:原発へのサイバー攻撃、北朝鮮を非難

韓国政府は2015年3月17日、北朝鮮が2014 年12月に韓国の原子力発電事業者に対し、サイバー攻撃を行ったと非難した。原発の図面などの内部資料がインターネット上に流出した事件は北朝鮮の犯行だとする捜査結果が出たことについて報道官声明を発表した。2014年12月の韓国の原子力発電へのサイバー攻撃については本レポートでも扱ってきた。 今回、韓国が北朝鮮を名指しで非難した。


以下はAFP通信が2015年3月17日に報じた記事を引用しておきたい



「北朝鮮が原発事業者へサイバー攻撃、韓国が非難」

(AFP通信 2015年3月17日 下線筆者)


韓国政府は3月17日、北朝鮮が昨年12月に韓国の原発事業者に対し、サイバー攻撃を行ったと非難した。


 韓国統一省は一連の捜査の結論として、サイバー攻撃の背後には北朝鮮がいたとし、「わが国の安全を脅かす明確な挑発だ」と糾弾した。同省は声明で「わが国と国際社会を標的とする北朝鮮の執拗なサイバー攻撃を非難する」「わが国民の生命と安全を人質にとる」行為だと怒りをあらわにした。


 昨年12月に攻撃を行ったハッカーたちは、ツイッター上で、韓国の原子炉の設計やマニュアルなどの情報、事業者である韓国水力原子力(Korea Hydro and Nuclear Power、KHNP)の従業員に関する個人情報を流出させた。


 この情報流出を受け、韓国当局はサイバーセキュリティーを強化し、専門家や政府高官、検察官を含めた捜査チームを立ち上げた。捜査チームは17日の発表の中で、ハッカーは原子炉を故障させることを狙っていたが、制御システムへの侵入に失敗したと明かした。サイバー攻撃に使用された悪質なコードは、過去に北朝鮮が使用したものと似ていたという。(以上)




今回のサイバー攻撃が北朝鮮からによるものだと主張する韓国だが、その北朝鮮にはサイバー部隊として3,000人のハッカーがいると2014年12月22日の中央日報で報じている




「北朝鮮3000人のハッカー部隊、実力は世界3位」 

(中央日報 2014年12月22日 下線筆者)


北朝鮮のハッカー部隊兵力が最高で3,000人に達し、能力は米国とロシアの次という中国メディアの分析が出てきた。環球網は(2014年12月)21日、中国インターネット専門家と脱北者の陳述などを根拠に「北朝鮮は対外工作を担当する偵察総局傘下に兵力1700~3000人のハッカー専門『121部隊』を置いている」と伝えた。北朝鮮ハッカーは国防委員会と労働党内組織に分散していて、部隊司令部は平壌市内ある豪華ホテルを偽装しているという。これは「インターネット戦力は核兵器・ミサイルと共に祖国の防御と攻撃能力を保障する宝剣」という金正恩第1書記の方針に従ったものだ。



  中国の情報技術雑誌である「IT時代周刊」も2014年8月、米国HPが出した「北朝鮮ハッカー報告書」を根拠に、「北朝鮮のハッカー兵力は少なくとも1700人に達しており、その攻撃能力は米国とロシアの次に評価される」と報じていた。実際に、121部隊は2004年韓米合同軍事演習期間に韓国軍の80個の無線通信網のうち33個のネットワークに対して攻撃をしかけるなど、これまで数十回にかけて韓国を攻撃した。



  この雑誌は、北朝鮮の脆弱なインターネット基盤施設が逆説的に北朝鮮ハッカー部隊のもつ最大の強みであるという分析も出した。北朝鮮はインターネットが発達している韓国や米国を自由に攻撃できるが、インターネット網を通じてほとんど接続されない北朝鮮に対する韓米の報復攻撃は限界があるということだ。(以上)



上記記事では、北朝鮮は世界で米国、ロシアに次ぐ世界3位と中国の分析も加えている。実際にはイスラエルや欧州諸国など北朝鮮よりもサイバー能力が高い国はもっとあるだろうし、これらは報道ベースなので実態が掴み難いところもあるが、サイバー能力が高いことは概ね間違っていないだろう。


国家間をめぐるサイバー攻撃は現実の国際関係の延長線上にある。すなわち、国際関係において敵対国にある国同士でのサイバー攻撃が目立っている。

現代社会は国家のあらゆるインフラがサイバースペースに依拠している。サイバー攻撃はそのサイバースペースの脆弱性を突いて攻撃を仕掛けてくるものである。原発のような重要インフラだけに限らず、あらゆる施設、組織、企業がサイバー攻撃の対象になっている。


これからも国家間をめぐるサイバー攻撃は続くであろう。今回、韓国が北朝鮮からのサイバー攻撃と断定した要因として、過去にも似たような攻撃ケースがあったことをあげている。サイバー攻撃の情報を蓄積・分析することとサイバースペースのシステムを常にアップデートしておくことが、サイバー攻撃からの防衛にとって重要になってくる。


*本情報は2015年3月26日時点のものである。

※1 AFP通信(2015年3月17日)「北朝鮮が原発事業者へサイバー攻撃、韓国が非難」
http://www.afpbb.com/articles/-/3042767

※2 中央日報(2014年12月22日)「北朝鮮3000人のハッカー部隊、実力は世界3位」
http://japanese.joins.com/article/319/194319.html

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