2015年4月7日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

オバマ大統領、国外からのサイバー攻撃への制裁適用の大統領令に署名

オバマ大統領は2015年4月1日、安全保障を脅かすようなサイバー攻撃を実行したアメリカ国外の個人・団体を対象に、資産凍結やアメリカ企業との商取引禁止の制裁、渡航禁止の措置等を科す権限を財務長官に与える大統領令に署名した 。サイバー攻撃によって入手した情報と知りながらその情報を受け取った企業も制裁の対象になる。今回の大統領令によって、サイバー攻撃に対する制裁の枠組みを整備し、実行犯の拘束が難しいサイバー攻撃に報復すると同時に、抑止力を高める狙いが伺える。オバマ大統領は制裁対象になる行為として、重要インフラへの攻撃、資金の不正流用、競争上優位に立つことを目的とした情報摂取、コンピューターネットワークの妨害をあげている(※1)。


オバマ大統領は同日、「Medium」へサイバー攻撃に関する自身の意見と今回の大統領令に至るサイバー攻撃の脅威について「A New Tool Against Cyber Threats」というコラムを寄稿した(※2)。冒頭から中国、ロシアのハッカーがアメリカを攻撃する手段としてサイバー攻撃を利用していること、イランによるアメリカの銀行、北朝鮮によるソニー・ピクチャーズ エンタテインメントへのサイバー攻撃を例に挙げるなど、具体的な国名を名指しで非難している。


大統領令は、アメリカ国外からのサイバー攻撃を同国の安全保障や外交政策、経済に対する脅威と認識し、これらサイバー攻撃に対処するために国家非常事態を宣言するとことを明らかにしている。


「アメリカでは今日、国家、企業、国民を守るための新たなツールを手に入れた。将来このツールを行使することになるだろう」(As of today, the United States has a new tool to protect our nation, our companies, and our citizens - and the days and years ahead, we will use it.)とオバマ大統領は締め括り、サイバー攻撃に対する大統領令(ツール)が本気であることを訴えた。


なお知らないうちにPCをボットネットに利用されたユーザーなどは、犠牲者とみなされ、大統領の制裁の対象にはならないが、くれぐれも注意は必要である。



サイバー攻撃にはリアルな制裁を


インターネットの登場によって、簡単に情報は国境を越え、人々の生活、経済は大きく向上した、しかし一方でサイバー攻撃という新たな脅威が登場し、その脅威によって国家の安全保障を揺るがすようになった。「サイバースペースの登場で国境がなくなった」ことは事実である。しかし、それによって「国家のサイバースペース」を新たな攻撃手法としてのサイバー攻撃によって荒らされている。


そのため国家のサイバースペースを防衛することは国家にとっても重要な任務になっている。そしてサイバースペースを防衛するための抑止策としての制裁は、リアルに基づいたものである必要がある。今回のアメリカの大統領令の制裁は資産凍結、アメリカ企業との商取引禁止、アメリカへの渡航禁止など「リアルな制裁」である。多くの先進国がアメリカの大統領によって、どのような国、組織、個人が大統領の対象になるのか注目しているだろう。そしてそれらを見て他の欧米諸国でも同様の措置を適用するかもしれない。日本はどのような行動に出るのだろうか。



【参考動画】


*本情報は2015年4月2日時点のものである。

※1 White House(2015) 1st Apr 2015, “Executive Order -- "Blocking the Property of Certain Persons Engaging in Significant Malicious Cyber-Enabled Activities"”
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2015/04/01/executive-order-blocking-property-certain-persons-engaging-significant-m

※2 (A) harming, or otherwise significantly compromising the provision of services by, a computer or network of computers that support one or more entities in a critical infrastructure sector;
(B) significantly compromising the provision of services by one or more entities in a critical infrastructure sector;
(C) causing a significant disruption to the availability of a computer or network of computers; or
(D) causing a significant misappropriation of funds or economic resources, trade secrets, personal identifiers, or financial information for commercial or competitive advantage or private financial gain;

※3 Medium(2015) 1st Apr 2015, “A New Tool Against Cyber Threats”
https://medium.com/@PresidentObama/a-new-tool-against-cyber-threats-1a30c188bc4

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