2015年4月9日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

アメリカとのサイバー同盟強化を目指したい台湾

2015年3月30日、台湾の行政院副院長、張善政氏は中国からのサイバー攻撃に対抗するためにもアメリカとの連携を強化していきたいことをロイターとのインタビューで明らかにした(※1)。張善政氏は、世界中で台湾の敵は中国しか存在していないことを示唆した(※2)。そのことから台湾は中国からのサイバー攻撃から晒されていることから、アメリカのDHS(国土安全保障省:Department of Homeland Security)が主催しているサイバー攻撃対策の演習「サイバーストーム」に参加したい旨を明らかにした。「サイバーストーム」は2年に1度開催されており、次回の開催はまだ決まっていないとのこと。台湾は2014年上期にはアジア太平洋地域では最もサイバー攻撃の標的となった地域と報じられている。台湾は2013年に、同国独自のサイバー演習をアメリカに見せた。



中国からのサイバー攻撃に晒される台湾


また2015年1月23日の台湾の報道によると、台湾は年平均約300のサイバー攻撃被害に遭っているとのこと。以下に大紀元の報道を引用する(※3)。しかし300件というのも、氷山の一角であり、実際にはもっと多くのサイバー攻撃の被害に遭っているのだろう。台湾はアメリカとサイバーセキュリティで同盟を形成することによって、中国への抑止力を強化したいのだ。




「中国などからサイバー攻撃、年間300件 台湾当局は防衛強化」
(大紀元 2015年1月23日、下線筆者)


台湾政府の情報セキュリティーを担当する行政院の張善政・副院長は2015年1月22日の記者会見で、中国大陸を含む台湾の政府機関や行政機関を標的にしたサイバー攻撃被害が年間約300件以上あることを明らかにした。台湾当局は一段と防衛態勢を強化する姿勢を示している。


 それによると、侵入ルートや攻撃手法などによる合理的な推論で、攻撃は中国からの割合が高いと判断している。しかも、どの国とも友好親善を進める台湾は、「中国以外、私たちから得物を狙う国はほぼない」という。


 20091月から201410月までのデータを分析したところ、中国大陸から台湾政府機関へのサイバー攻撃は、選挙日や祝日など政治経済に関する節目に発生している。最も多く攻撃を受けたのは大統領官邸や行政院、外務省、経済省、国家発展委員会だった。攻撃手法の多くは世界で前例のない高度な攻撃だったという。


 また、この問題において他国と交流した際、「台湾が中国の地上サイバー攻撃の実験場となっている」との話が出るという。張副院長は昨年8月の記者会見で、サイバー攻撃は、サイトをダウンさせるための攻撃とデータを盗み取る攻撃の2つに分かれ、中国は台湾との交渉を有利に進めるために、データを盗む攻撃を主に行っているという。


 台湾当局は現在、既存の情報セキュリティー技術レベルを高め、民間企業と協力してサイバー攻撃への対処態勢と対応能力を強化している。(以上)




公式文書でサイバー部隊の存在を認めた中国政府


中国政府は2015年3月、公的文書を通じて、サイバー戦争に特化した部隊の存在を認めたことが報じられた(※4)。人民解放軍が不定期に発行する「The Science of Military Strategy」の最新号において、サイバー戦争の戦術について言及した箇所があり、中国にはサイバー戦争に特化した部隊が存在していることが明らかとなった。中国はアメリカや海外へのサイバー攻撃を一貫して否定してきた。その中国政府が、公的文書の中でサイバー戦能力に言及したのは、これが初めてと報じられている。


中国には3種類のサイバー部隊が存在すると報じられた。



(1)「専門的軍事ネットワーク戦争部隊」:国外へのサイバー攻撃と中国サイバースペースの防御に特化した部隊

First, there are what the Chinese call “specialized military network warfare forces” consisting of operational military units “employed for carrying out network attack and defense,”


(2)中国版CIA、FBIと言われる人民解放軍の配下でサイバー攻撃を実行する民間人ハッカーの部隊

Second, China has teams of specialists in civilian organizations that “have been authorized by the military to carry out network warfare operations.” Those civilian organizations include the Ministry of State Security, or MSS, which is essentially China’s version of CIA, and the Ministry of Public Security (its FBI).


(3)作戦内容に応じて政府外部のハッカーを組織化してサイバー攻撃を実行させる部隊

Finally, there are “external entities” outside the government “that can be organized and mobilized for network warfare operations,



リアル社会の延長のサイバー戦争


中中国政府はアメリカや台湾へのサイバー攻撃を公式には否定しているが、本当に中国からのサイバー攻撃がないことを信じている国はないだろう。


これからも国家間でのサイバー攻撃は増加するだろう。そして国家間のサイバー攻撃は、リアルな国家間関係で問題を抱えている国同士の間で発生する。アメリカと中国、中国と台湾、韓国と北朝鮮などである。日本とアメリカ、ドイツとフランスといった同盟国間同士でサイバー攻撃が問題になることはほとんどない。


中国が提唱して主導する形で2015年中に設立を目指しているアジアインフラ投資銀行に欧州主要国が参加を表明した。国際社会でパラダイムシフトが起きている。欧州主要国はアメリカや台湾、東南アジア諸国のように中国からのサイバー攻撃に悩まされていないが、今後中国からのサイバー攻撃にどのような変化がみられるのだろうか。サイバーセキュリティ分野だけでなく、国際社会が中国の立ち振る舞いに注目している。



【参考動画】


*本情報は2015年4月2日時点のものである。

※1 Reuter(2015) 30th mar 2015, “Taiwan seeks stronger cyber security ties with U.S. to counter China threat”
http://www.reuters.com/article/2015/03/30/us-taiwan-cybersecurity-idUSKBN0MQ11V20150330

※2 "Taiwan has no enemy in the international community except you-know-who. Who in the world would try to hack Taiwan?"

※3 大紀元(2015年1月23日)「中国などからサイバー攻撃、年間300件 台湾当局は防衛強化」
http://www.epochtimes.jp/jp/2015/01/html/d93416.html

※4 The daily beast(2015) 18th Mar 2015, “China Reveals Its Cyberwar Secrets”
http://www.thedailybeast.com/articles/2015/03/18/china-reveals-its-cyber-war-secrets.html
Zdnet(2015) 20th Mar 2015, “China reveals existence of cyber warfare hacking teams”
http://www.zdnet.com/article/china-reveals-existence-of-cyber-warfare-hacking-teams/

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