2015年5月18日掲載 ICT利活用 地方創生 Global Perspective

ドコモや新潟市、農業のICT化に向けた実証プロジェクト開始:農業従事者60%以上が65歳以上の日本の農業にとって本当に重要なこと

新潟市、NTTドコモ、ベジタリア、ウォーターセルは2015年5月14日、稲作農業において、生産性向上と高付加価値化を推進することを目的とした「革新的稲作営農管理システム実証プロジェクト」の協定を締結したことを発表した(※1)。



新潟 写真


新潟で実施する「革新的稲作営農管理システム実証プロジェクト」


リリースによると「革新的稲作営農管理システム実証プロジェクト」では、日本最大の水田耕作地面積を持ち、国家戦略特区(革新的農業実践特区)である新潟市の大規模農業の改革に取り組む稲作農業生産者に、水田センサおよび同センサと連動したクラウド型水田管理システムを導入する。


これによって、以下の役立つ情報を農業従事者がスマートフォン等で確認できるようになる。


  • 「日々の圃場管理の効率化」
  • 「省力化」
  • 「コスト削減」
  • 「収穫量増加」
  • 「品質向上」

新潟市および3社はこの実証プロジェクトを通じて、農業従事者の減少および高齢化への対応や、これまで各農家一人ひとりの経験や勘によるところが多かった経営に対し、ICTを軸とした効率的な農業経営の実現を目指していくとのこと。


稲作農業生産者の水田に通信モジュールを搭載した「水田センサ」を設置し、湿度・温度・水位・水温等を自動で計測し、解析を行うことで、農業従事者に必要な情報を提供し、効率的な農家経営の実現を目指す。新潟市の稲作農業生産者22者(13法人、9個人)を対象にして、実施期間は2015年5月14日~2016年3月31日まで。


また、「農業従事者の稼働」と「水質管理の効率化」により、「生産性の向上」や「収穫量の拡大」にどれだけ寄与することができるかの検証を行う。

将来的には、このノウハウを日本全国に普及させていくことを視野に入れ、日本の農業のICT化に貢献していくとのこと。



(各社の役割)


新潟市



  • 大規模稲作農業生産農家への水田センサシステムの普及促進の支援



NTTドコモ


  • 水田センサと水田管理システムをつなぐ通信モジュールの提供
  • 通信エリアの電波状況確認に基づくコンサルティング



ベジタリア


  • 水田センサ、水田管理システムの開発
  • 水田管理システムの提供



ウォーターセル


  • 水田への各センサシステム等の機器設置および、メンテナンス
  • ヘルプデスクの設置・運営
  • クラウド型農業生産管理ツール「アグリノート」の提供




農業従事者60%以上が65歳以上。ICT化よりも重要なこと


日本の農業就業人口は年々減少している。農林水産省の統計によると、平成26年(2014年)で226.6万人(基幹的農業従事者は167.9万人)である。女性が半数で、平均年齢は66.7歳で年々高くなってきており、農業人口のうち65歳以上は63.7%も占めている。このような産業は日本でも農業など一部の限られたものだ。都会の民間企業や産業で平均年齢が65歳以上などという産業はほとんどない。


さらに現在、農業従事者が多い地方では、高齢化と少子化が物凄い勢いで進んでいる。学校の廃校や統合も進んでおり、どうやって農業従事者の後継者を確保するのかということも問題になっている。またサラリーマン経験のない高齢農業従事者はパソコンの操作はできない。スマートフォンすら普及していない地方の高齢農業地域にどうやってICTを普及させていくのだろうか。


「勘とか経験に左右される」とリリースでは書かかれているが、大自然を相手に先祖代々から農業に従事してきた人たちの「勘や経験値」は侮れないほどすごいものがある。いくら効率化、最適化でICTを導入しようとしても、穂や葉の発育や病気の予兆は目で確認する作業が必要だし、「稲の出来はたんぼにつけた足跡で決まる」という言葉があるように、どれだけICTなどの技術が発達しても、最後は「人の力」に頼らざる得ない部分が大きい。


販売や在庫管理の部分ではICT導入による効率化は必要であり、すでに多く導入されつつあるが、生産の部分では、まだ人の手に依拠せざるを得ない。そしてその「人」も高齢化、少子化が進んできており、年々減少している。


たしかにICTによる効率化と生産性向上は重要であるが、それ以前に日本の農業は解決しなくてはならない問題が山積みである。日本の農業は、これからどこに向かっていくのだろうか。毎日の食事と関わりのある問題であり、決して他人事ではない。




(表)農業就業人口及び基幹的農業従事者数


農業就業人口及び基幹的農業従事者数

(出典:農林業センサス、農業構造動態調査(農林水産省統計部)を元に作成)





新潟県


新潟県


NTTドコモ プロジェクト全体図


(出典:NTTドコモ)




本情報は2015年5月15日時点のものである。

※1 NTTドコモ(2015年5月14日)「革新的稲作営農管理システム実証プロジェクトに関する連携協定を締結」https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2015/05/14_00.html

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