2015年7月8日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

クリントン、サイバー攻撃で中国やイラン、北朝鮮、ロシアを批難:求められる具体的なソリューション


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アメリカ大統領選挙で民主党最有力候補のクリントン前国務長官が2015年7月4日、ニューハンプシャー州グレンで演説を行った(※1)。そこで中国による南シナ海岩礁埋め立てやサイバー攻撃を強く批判した。サイバー攻撃について、クリントン氏は中国がアメリカの民間企業、政府からあらゆる情報や軍事防衛の青写真を大量に摂取していると、中国を名指しして批難した。常に中国は自国にとって有利な情報がないか探している。中国はアメリカと競争しており、彼らは勝つためなら何でもやることを忘れてはならない、と述べた。


さらにクリントン氏は2015年7月7日、アイオワ州での演説においてサイバー攻撃は中国からだけでなく、ロシア、北朝鮮、イランの政府も直接、間接的にサイバー攻撃の支援をしていると批難した(※2)。そしてテロ組織がそれらを悪用することの懸念を示し、政府だけでなく民間企業も含めてアメリカにとって大きな脅威であることを強調した。


アメリカでは2015年6月に、連邦政府職員の人事情報を管理するコンピューターがサイバー攻撃を受け約420万人分の職員の個人情報が摂取された可能性があると報じられている。

アメリカと中国は常に、お互いにサイバー攻撃を受けていると論争を続けている。そして両者とも、自国から攻撃を仕掛けているとは公式には認めていない。特にアメリカではソニー・ピクチャーズが2014年末から北朝鮮からと思われるサイバー攻撃を受けて大きな問題となった。


オバマ大統領も2015年4月には安全保障を脅かすようなサイバー攻撃を実行したアメリカ国外の個人・団体を対象に、資産凍結やアメリカ企業との商取引禁止の制裁、渡航禁止の措置等を科す権限を財務長官に与える大統領令に署名した 。サイバー攻撃によって入手した情報と知りながらその情報を受け取った企業も制裁の対象としている。オバマ大統領も在任中サイバー攻撃に悩まされてきた。そして在任期間終了まで、サイバー攻撃と戦っていかなくてはならないだろう。



求められるのは国民1人1人のセキュリティ意識


現代社会はシステムの塊であるサイバースペースに依拠しており、そのサイバースペーの脆弱性を突いた攻撃であるサイバー攻撃はこれからも減少することはなく、アメリカは日々あらゆるサイバー攻撃に曝されている。そしてアメリカを標的とするサイバー攻撃はどの党の誰が大統領になっても変わらず重要な課題である。


オバマ大統領が発動した大統領令は、サイバー攻撃を仕掛ける国にとっては抑止力にはなるだろう。しかし常にサイバー攻撃の標的にされているアメリカの企業、政府がクリントンだけでなく他の候補者らにも期待しているのは、サイバー攻撃からの具体的な解決策(ソリューション)である。とはいえ、サイバー攻撃はシステムが常に進化していくことから、既存のオープンなシステムで構築されたサイバースペースにおいて、脆弱性のないシステムはあり得ないことから、完全なる防衛は難しい。


サイバー攻撃の問題は他の問題のように「具体的な解決策(ソリューション)」を提示していくことは難しい。結局は「脆弱性をいかに早く検知して、システムの早急な改修ができるのか」、「攻撃を受けていることを察知した時にどれだけ速い対応ができるのか」といった危機管理と、大統領令などによる対外的な抑止力に依拠せざるを得ない。


そしてシステムやネットワークをサイバー攻撃から守ることは政府や大統領だけの仕事ではなくて、国民や各企業で対策を行うことができる。国家をサイバー攻撃から防衛するのも国民一人一人のサイバーセキュリティに対する日頃からの意識が重要なのだ。



【参考動画】
Clinton accuses China of stealing 'commercial secrets'


ヒラリークリントンの選挙出馬に向けた動画(Fighter篇)。
子供や女性への優しさと同時にファーストレディや国務長官時代の経験を活かした外交のイニシアティブもアピールしている。

(※1)CNN(2015) 5th Jul 2015, “Clinton has strong words on Chinese hacking”
http://edition.cnn.com/2015/07/04/politics/clinton-china-hacking/
(原文)
“They’re trying to hack into everything that doesn’t move in America — stealing commercial secrets, blueprints from defense contractors, stealing huge amounts of government information — all looking for an advantage,” she said. “Make no mistake: they know they’re in a competition, and they’re going to do everything they can to win it.” </p>

(※2)Reuter(2015) 7th Jul 2015, “Hillary Clinton: Hacking problem not limited to China”
http://www.reuters.com/article/2015/07/07/us-usa-cyber-clinton-idUSKCN0PH2AJ20150707
(原文)
"It's not only the Chinese. We know that other governments - Russia, North Korea, Iran - have either directly or indirectly sponsored hacking," "And we worry about terrorist organizations getting access to the capacity." "The United States, both our government and the private sector, have to recognize this is a serious threat," she said. "We've been trying to get a good plan going forward. We're making a little bit of progress on that in the Congress. For me, it's not enough."

*本情報は2015年7月7日時点のものである。

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