2015年8月27日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

アメリカ・インドのサイバー対話共同声明2015:サイバーセキュリティにおける継続的対話の重要性


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2015年8月、ワシントンにおいてアメリカとインドの両国間でサイバーセキュリティをめぐる対話が2日間にわたって行われ、両国での協力関係を改めて確認した(※1)。

アメリカは南アジアにおけるサイバー同盟国としてインドを重要な国として位置付けており、アメリカとインドでのサイバーセキュリティをめぐる協力関係の協議は既に今回で4回目である。

今回の会合では、インドのCERTがサイバー攻撃を受けた際の訓練プログラム「Cyber Storm III」を初めて受講することや、両国間でサイバースペースにおける規範の確立に向けた協力体制や信頼醸成措置の構築に向けた協力が確認された。また、今回アメリカとインド両国は、サイバーセキュリティ以外にもICT分野での協力についても推進していくことを確認した。

アメリカとインドのサイバースペースをめぐる協議は4回目を迎える。来年はデリーで開催される予定である。インドはアメリカにとってサイバーセキュリティ上の脅威である中国、ロシア、イランに囲まれている。

サイバースペースをめぐる協力関係の対話は、継続的に行うことによって、サイバースペースでの敵対する国々への抑止力にもなる。アメリカは毎年インドとサイバースペースでの協力関係を確認していることを世界に発信することが重要である。

サイバースペースの問題を継続的に協議することによって、協力関係をアピールすることは、すなわちアメリカがインドとサイバーセキュリティの問題だけを協議しているわけではないということは世界中に伝えることにもなる。

特に、今回はアメリカとインドの間でサイバースペースをめぐる信頼醸成措置の確認がされたことの意味は大きい。つまり、サイバースペースにおいて「誤解や思い込みによる衝突」の回避を行い、ホットラインのような何かしらの手段で相互の意思を確認するような体制を構築するであり、敵対する国家にとっては厄介であろう。

現在の安全保障システムはサイバースペースに依拠している。サイバースペースへの攻撃は各国の安全保障にも大きな影響を与える。サイバースペースをめぐって国家間での協力関係を継続して確認することは大きな抑止力と危機管理になる。安全保障とは「国家を脅威やリスクから守ること」だが、そのためには脅威やリスクが生じないか、あるいは生じても、それらを確実に排除できる状態になっていることが望ましい(※2)。そして脅威やリスクを生じないようにするには、そのような環境条件を構築しておくことが賢明である。アメリカとインドの継続的なサイバースペースをめぐる協力関係の確認は、サイバースペースにおける脅威やリスクを生じさせないための環境条件の構築である。それを継続して行い、それを発信し続けることは、両国の安全保障のコンテクストにおいて非常に重要である。

 
 

(※1)Whitehouse(2015) 14th Aug 2015, “Joint Statement: 2015 United States--India Cyber Dialogue” https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2015/08/14/joint-statement-2015-united-states-india-cyber-dialogue https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/india-factsheets/Fact_Sheet_on_Cybersecurity_Cooperation.pdf

(※2)森本敏「安全保障論:21世紀世界の危機管理」(PHP研究所、2000年)P.46

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