2015年10月27日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

米中首脳会談後も中国からアメリカへサイバー攻撃 :求められる信頼醸成措置と「対話」の重要性



アメリカと中国は2015年9月に行われた首脳会談において、両国間でサイバー攻撃を行わないことを合意した(参考レポート)。それにも関わらず、中国政府に関係すると思われるハッカーがアメリカの企業にサイバー攻撃をしかけていたことが明らかになった(※1)。オバマ大統領と習近平国家主席が会談をした2015年9月25日以降にサイバー攻撃が行われたとのこと。セキュリティ会社CrowdStrikeによると、13の異なったルートを経由しアメリカの7つの企業にサイバー攻撃をしかけたとのこと(※1)。

但し、これらのサイバー攻撃が中国政府が正式に関与していることは不明であるが、アーネスト米大統領報道官は2015年10月19日の記者会見で、確認を避けながらも「アメリカ政府は中国の言葉ではなく、行動によって判断する」と述べ、中国政府に対応を促した。また同氏は「政府の関係省庁は中国の行動を注視している」と指摘し、アメリカ国外からのサイバー攻撃に対しては政府と民間企業が緊密に連絡を取り合い、情報を共有していると説明した。 

サイバースペースにおける信頼醸成措置

核兵器やミサイル攻撃と異なり、目に見えないサイバースペースでのサイバー攻撃は、中国が「やっていない」と主張したら、その証拠を提示することで国家間の関係が縺れることの方が面倒である。米中首脳会談で両国がサイバー攻撃を行わないことで合意されたとしても、国家が関与しない、つまり民間団体や個人などが勝手にサイバー攻撃を行うことまで規制することも難しい。このような時のために「国家はサイバー攻撃に関与していない」と両国間ですぐに確認できるための信頼醸成措置によるホットラインでの相互の対話が重要になる。「対話」と「抑止」は国際政治の基本である。そして特に大国間同士では重要である。

「誤解や思い込みによる衝突」は冷戦以前の遥か大昔から国際社会における戦争、紛争、対立の一つの重要な主要な原因であった。しかし、それが核時代ではとりかえしのつかない損害をもたらすことから、その防止措置が重要になった。「Confidence Building Measures(信頼醸成措置)」である。国家間のサイバー攻撃も、サイバースペースにおいて「誤解や思い込みによる衝突」の回避を行うことが重要なのだ。

※1 Reuter(2015) 19th Oct, 2015, “China tried to hack U.S. firms even after cyber pact: CrowdStrike”
http://www.reuters.com/article/2015/10/20/us-usa-china-cybersecurity-idUSKCN0SD0AT20151020

※2 The Verg(2015) 19th Oct, 2015,” China is already breaking its cybersecurity agreement, says report”
http://www.theverge.com/2015/10/19/9567571/crowdstrike-china-breaking-cybersecurity-agreement-trade-secrets

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