2016年1月8日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

中国:軍で3組織を新たに設置、「戦略支援部隊」はサイバー部隊か


天安門

2016年1月、中国の国営新華社通信によると「陸軍司令部(General command for the People’s Liberation Army)」、「ロケット軍(PLA Rocket Force)」、「戦略支援部隊(PLA Strategic Support Force)」の3組織を新設した。1949年以来の大規模な軍の組織改革と言われている[1]。

 このうち「戦略支援部隊」は具体的な内容は明らかにされていないが、習主席国家主席が「国家の安全を守る新型の作戦勢力であり、わが軍の質的に新しい作戦能力の重要な成長点だ」と述べていることから、サイバー攻撃や宇宙での攻防を担当すると伝えらえている。

サイバースペースの攻防の基盤にある相互主義的安全保障体制

国民の生活、経済活動、社会インフラ、安全保障システムがサイバースペースに依拠している現代社会においては、サイバースペースの脆弱性を突いたサイバー攻撃は、これからも米中間だけでなく、世界中で続いていくだろう。

中国はアメリカとサイバー攻撃をめぐって2015年9月に行われた首脳会談において、相互にサイバー攻撃はしないということで合意した。それでも米中間でのサイバー攻撃は減少していない。

米中間でのサイバー攻撃のほとんどは情報窃取、いわゆる諜報活動であり、リスクはあるものの国際関係における安全保障に大きな影響を与えるサイバー攻撃は行われていない。そこには両国間の根底に核兵器や通常兵器による抑止力が働いているのだろう。そして米中では、安全保障上リスクが高いサイバー攻撃が発生した時に、「国家はサイバー攻撃に関与していない」と両国間ですぐに確認できるための信頼醸成措置によるホットラインでの相互の対話が構築されている。つまり米中ともに、2国間での相互主義的安全保障体制は国際体制おいて重要な中核となることを理解している。

サイバー戦略も重要だが

今回の中国で「戦略支援部隊」が具体的な内容が明らかにされていないことからサイバー戦略や宇宙空間を担うのではないかとの憶測から、世界中のメディアから注目を集めているが、実際に国際政治における安全保障上の観点から注視しなければならないのは、「陸軍司令部(General command for the People’s Liberation Army)」、「ロケット軍(PLA Rocket Force)」の2組織の方である。これらの方が米中や世界の軍事バランスを変える可能性は高い。それによって相互主義的安全保障体制が崩壊することの方がリスクは高い。

[1] NewYork Times(2016) 2 Jan 2016, “China Creates 3 New Army Units to Modernize Military”
http://www.nytimes.com/aponline/2016/01/02/world/asia/ap-as-china-military.html

“Chinese military launches two new wings for space and cyber age”
http://www.scmp.com/news/china/diplomacy-defence/article/1897356/chinese-military-launches-two-new-wings-space-and-cyber

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