2016年1月15日掲載 ITトレンド全般 Global Perspective

北朝鮮、核実験後からサイバー攻撃への懸念:制裁措置への報復


ソウルの地下鉄

2016年1月6日、北朝鮮は4回目の核実験を行った。今回は「初めての水爆実験」に成功したことなど注目が集まった。

今回の北朝鮮の核実験に伴って、韓国では北朝鮮がサイバー攻撃をしかけてくることを懸念して、サイバー攻撃の警戒レベルを格上げして、対策スタッフを倍増したことが報じられた。以下に韓国KBSの記事を引用しておく[1]。

 北韓によるサイバー攻撃予想 防衛体制を強化
北韓が4回目の核実験をしたことから、韓国軍は北韓がさらにサイバーテロを行ってくる可能性があるとみて、情報作戦防衛態勢インフォコン(INFOCON)の警戒レベルを1ランク格上げした。韓国軍関係者が2016年1月8日、明らかにしたところによると、インフォコンが「4」に格上げされたことから、韓国軍はサイバー攻撃に対応するスタッフを2倍に増やすとともに、政府のサイバー安全センターとの協調態勢を強化した。情報作戦防衛態勢のインフォコンは、平常時の「5」から最も強化された警戒態勢の「1」まで5段階に分けられており、インフォコン「4」では、平常時より警戒態勢を一段階強化する。
(韓国KBS World Radio 2016年1月8日より)

 また2016年1月13日には金融監督院、韓国取引所など主要金融機関の担当者と市中銀行のセキュリティー責任者が出席した金融委員会において、北朝鮮によるサイバー攻撃に備えた点検会議を開いた。金融委員会の高承範常任委員は「経済の血脈に当たる金融システムがサイバー攻撃を受け、障害が発生すれば国民に大きな不安と混乱を与えかねない」と述べ、備えの必要性を強調し、過去のサイバー攻撃の事例や対策を共有した[2]。

国際社会の制裁措置への報復としてのサイバー攻撃

どうして核実験後に、サイバー攻撃も懸念するのだろうか、と思う人も多いだろう。

核実験後、国際社会が北朝鮮に対して様々な制裁措置を執ることが想定される。それら制裁措置に対して北朝鮮が更なる報復として、社会や経済の撹乱を目的としたサイバー攻撃を仕掛けてくる可能性が高い。北朝鮮には民間レベルでのハッカーや大規模攻撃を仕掛けられる組織があるとは考えにくいから、あらゆるサイバー攻撃は国家が関与しているものだろう。

特に北朝鮮は2014年末にアメリカのソニーピクチャーズへサイバー攻撃をしかけて、同社だけでなくアメリカ社会に大きな影響を与え、サイバー攻撃力を証明している。また韓国は常時、北朝鮮からのサイバー攻撃に悩まされている。

現代社会は国民の生活、社会、経済から安全保障まであらゆるものがサイバースペースに依拠している。そのサイバースペースを攻撃することで、情報窃取なりシステム破壊を行うことはそれら国民生活の基盤を揺るがすことになり、制裁措置への報復としては手っ取り早い行動である。もっともサイバースペースは、このような時だけなく常に危機管理が必要な空間である。

[1] 韓国KBS World Radio(2016年1月8日)「北韓によるサイバー攻撃予想 防衛体制を強化」
http://world.kbs.co.kr/japanese/news/news_Po_detail.htm?No=57707

[2] 聯合ニュース(2016年1月15日)「主要金融機関 北のサイバーテロに備え点検会議=韓国」
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2016/01/13/0200000000AJP20160113004300882.HTML

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