2017年5月1日掲載 風見鶏 “オールド”リサーチャーの耳目

「日光東照宮は今も東京の守り」-陽明門の輝き再現-



4月の第1週、40年振りに日光東照宮観光に行ってきました。前月の3月10日に日光東照宮の改装工事が竣工し、再び派手さを増した陽明門が見られるということで休日を利用した小旅行となりました。日曜日でしたので、本当に大勢の観光客で大賑わいで、とてもゆったりした参詣とはなりませんでしたが、きれいに化粧直しした陽明門は建立当時の姿を現していて観光気分には十分でした。ところで今月のこの「風見鶏」にはモバイルやICTは登場なしです。最初にあらかじめお断わりしておきます。

春とはいえ、遠くの山々には残雪が多く見えるし、境内の日陰にも融け残った雪がある結構寒い1日でしたが、日本人だけでなく外国からの観光客が多くて改めて驚きでした。神様(東照大権現=徳川家康公)を祀る宗教施設なのですが、社殿やその装飾物・彫刻など一大建物美術工芸センターの趣きなので、世界文化遺産巡りとして観光地となっているようです。私自身、若い時に幾度となく日光東照宮に行っていますが、お参りをした記憶はまったくなく江戸初期の芸術センターとの印象しかありませんでした。観光地として人々を引き付けるのは当然のことで結構なことです(日光を見るまで結構と言うな)。

大勢の人で混雑する陽明門

大勢の人で混雑する陽明門

そもそも日光に東照宮が造営されたのは、徳川家康の遺言に従って静岡の久能山から改葬され、その後3代将軍・徳川家光の時に寛永の大造替によって今日の姿となったものです。徳川家康本人の遺言として「遺体は久能山に納め・・・・1周忌が過ぎたならば、日光山に小さな堂を建てて勧請し、神として祀ること。八州の鎮守となる」が残されていて、徳川幕府のある関東の地の守り神になってその安泰を求めたためと伝わっています。まさに日光東照宮は江戸を守る神(東照大権現)のお社なのであり、今日の東京もなおお守りしているものなのです。日光は江戸(東京)からみて不動の北辰(北極星)の位置にあるので鎮守するには格好の場所なので選ばれたとされています。江戸時代には将軍や大名・旗本がお参りするばかりでなく、庶民も江戸から適当な距離なので物見遊山に出掛ける場所ともなっていたので今日の姿と重なっています。

今回、参道の一画で新しい案内版を見つけましたので紹介します。それは現在の東京との繋がりを示すものでこの写真のとおりです。

日光東照宮は高い所からも東京を守っている

日光東照宮は高い所からも東京を守っている

東照宮の標高が634mで東京の新しいシンボルである東京スカイツリーと同じという案内、これこそ現在の神の業?なのでしょう。今も東京は東照大権現に見守られているのです。観光に携わる人達の想いには本当に感心しました。残念ながらこの案内版、あまり大きくなくて参道を通る観光客には注目されていませんでしたし、日光東照宮のホームページにある境内案内にも示されていません。大切な“八州の鎮守”の教えに沿った謂れ作りも現代の取り組みにもっと取り入れたらよいと感じました。浅草発-東京スカイツリー経由-日光着の観光ルートでストーリーが完結します。

最後にオールドリサーチャーから苦言を一言述べます。観光活性化の取り組みに関係します。それは、「とうきょうスカイツリー駅」の駅名とその周辺の案内、そして日光東照宮との関係など浅草まで含めた歴史物語をもっと謂れとして創作することをお奨めします。とうきょうスカイツリー駅の旧名は「業平橋(なりひらばし)」で周辺一帯は平安貴族のイケメン、色男の在原業平(ありわらのなりひら)ゆかりのところです。伊勢物語・東下りの段に「名にしおば いざ言問わん都鳥 わが思う人のありやなしやと」という都の恋人を偲んだ歌があるように、隅田川にかかる言問橋とともに故事に縁ある土地柄なのです。在原業平は平安時代の六歌仙の一人です。こうした故事と浅草の江戸情緒、そして日光東照宮へと続く1000年に渉る歴史物語を絵巻き物風にすればより一層訪日観光客を呼び込めるのではないかと思います。もちろん、いろいろな風物や貸衣装など現代風の味付けは必要です。

地下鉄の浅草駅に下り立つと、まずは外国人観光客の多さに驚きます。この人達を特急電車ですぐ行ける日光まで誘(いざな)うことができれば観光活性化に繋がります。東武特急電車は浅草駅を出発してすぐ川向うの「とうきょうスカイツリー駅」に停車するのですから、日光までの足は確保されています。日光東照宮の標高は東京スカイツリーと同じ、今も東京を守ってくれています。歴史の繋がりを大切にしたいものです。

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