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風見鶏―”オールド”リサーチャーの耳目
2014年4月3日掲載

私のICT装備〜モバイルと光、PCとタブレット、ガラケー

(株)情報通信総合研究所
相談役 平田正之

昨年6月ここ情報通信総合研究所(ICR)の社長を退任してから、以前と比べて自由な時間が増え社内で制約されることが激減しましたので、日頃から社外の講演会や各種団体・機関の委員会や研究会などで外出する機会が多くなっている毎日を過ごしています。そこでこうした日常行動の変化に合わせて、私のICT装備と環境も少し変化しましたので、オールドリサーチャーのチャレンジと思ってお読み下さい。

そもそも、私のICT装備・環境は貧弱で電話・FAX以外は、自宅とオフィスにPC、それにいわゆるガラケーだけで済ませていました。連絡などは主に携帯によるメールと電話に拠っていましたし、多くの場合はオフィスにいる秘書の方に頼った通信でした。仕事上のメールやインターネットの利用こそ、オフィスと自宅にあるPCを通じて行っていましたが、情報の検索などは満足できる水準でなく、どうしても職場の人達に頼り勝ちになり、情報入手経路も人手に基づく紙ベース(コピー)が中心、情報ソースも新聞や雑誌に片寄っていました。自分としては、時間と行動の制約からこれはやむを得ないと思って日常を過ごしてきましたが、社長を退任して改めて一人のリサーチャーの立場になってみると、これは大変、情報を自ら収集し、分析・評価して蓄積し続けないとリサーチャーとしての付加価値が生み出せないことを痛感した次第です。

そうなるとこれまで以上に自由になった時間を最大限活用してフォーラムや展示会・講演会、研究会などに出かけて新しい動きに触れるとともに、多くの人と話をして自分をインスパイアすることの大切さに気付きます。要するにオフィスや家庭にいるよりも外にいる時間が長くなるのです。こうなるとPCと携帯(ガラケー)だけでは連絡手段が不十分となりましたので、情報に接する機会を確保する必要からタブレットを持ち歩くことにし、通信環境としてWi-Fiを加えることにしました。スマホを選ばず、タブレットにしたのは老眼には文字の大きさと操作盤の見やすさからですし、常時持ち歩く上での電池の待ち時間を勘案したためです。電話機能はガラケーで十分ですのでタブレットには電話機能を付けていません。タブレットのメールアドレスは従来のオフィス用のものの外にリタイヤ後に主に使うプライベートのものとグーグルへのアクセス用のID代わりのものの3種を利用しています。タブレットの操作には最初は少し戸惑いましたが、次第に慣れて外出先でのニュースや動画などの情報検索やメールの往復などまずまず楽しく使えるようになりました。通信環境はLTEに加えて、Wi-Fi装備なので出先でも無料のWi-Fiエリアを探して使っています。どこでWi-Fiが使えるのか、Wi-Fi環境はよいのか、など自分の行動範囲のなかでは次第に頭に入るようになり活用しています。もちろん、セキュリティを意識して送受信時に内容と相手を考えながらWi-Fiを使ううち自分なりのセキュリティ基準を持つようにしていますので、どうぞ御安心下さい。また、モバイル通信環境はガラケーは3Gのままですが、タブレットはLTEです。このLTEのSIMは実はMVNOの契約なのでサービスの多様性は抑えられていますが、とても低価格で二台目利用に適した契約内容となっていますし、さらに最近では固定の光回線のサービスプロバイダーとセット契約の割引きが提供されるようになっていますので、自宅のPC中心のICT装備と併せて活用することができて用途が広がっています。

私は、まだ情報通信機器はPCとタブレット、携帯だけで通信回線も固定の光回線とモバイル回線2回線にWi-Fi装備に過ぎませんが、これから多くのユーザーが固定とモバイル回線、そのモバイル回線も2回線以上持つことになりそれらを機能的に効率よく使いこなすようになっていく(既にそうなっている人も多い)ので、ICTサービスの利用者の立場からは米国で普及が進んでいる、いわゆるデータシェアプランのような単純な複数回線のセット契約の割引でない新しい形の、特に需要の高いデータ通信サービスの利用を促進する契約プランを希望しています。モバイルと固定含めての複数回線に跨ったデータ通信の利用限度や料金の統合化など、回線サービスと契約サイドから多様な複数のデバイスの利用を促進する方策が求められています。最近、情報通信審議会の2020-ICT基盤政策特別部会でNTTグループ内の携帯と固定回線のセット販売の規制緩和が取り上げられるとのマスコミ報道が数多く見られますが、単なる販売時点でのセット売りだけではユーザーの獲得合戦に目が当たるだけになりそうです。さらに進んで携帯と固定回線を含めたデータシェアプランのような統合プランを展望しておかないと本当の意味でユーザーの視点に立ったとは言えません。こうしたユーザーの新しい利用方法を作り出し、多様なデバイス類を生み出す方向に寄与する規制緩和が望まれます。こうなれば私のICT装備もさらに進むと思います。

最後に、個人やオフィスのブロードバンド回線装備とは別に、街なかや駅、ホール等のWi-Fi環境の整備は、LTEなどのモバイル通信環境の安定化とともに、個人の光回線利用の基盤的需要を刺激し高めることに繋がるものです。光サービスの普及を促すためにも、多くの人達が利用できる無料Wi-Fiを街中に日本中に拡充することが、新しい使い易い低価格の無線デバイスを生み出す力となりICTサービスの普及を進めることになります。街なかにある誰でも使える無料Wi-Fiは都市の安心・安全と利便性、暮し安さを支える街灯と同じ役割を果すことでしょう。新しい都市政策としての取り組みを期待しています。私のWi-Fi利用では、NTTBP社が提供している「Japan Connected-free Wi-Fi」が大いに役立っています。JR東日本、JR東海の主要駅や成田空港、羽田空港をはじめ、丸の内等の三菱地所関連ビル、六本木等の森ビル関連施設、福岡市や沖縄市の観光拠点などに加えて、2月末からはセブン・イレブン、イトーヨーカドー、そごう・西武、デニーズ等の「セブンスポット」と大阪観光局の「Osaka Free Wi-Fi」が加わり、全国で約16000ヵ所のAP拠点となっています。現在ではAndroidだけでなくiOSにも対応しており、アプリをダウンサードしておくと簡単に“Search”と“Connect”が可能で無料の快適なインターネット環境を作り出すことができます。本来の目的は訪日外国人にやさしいネット環境を整備することにありますが、加えて私達のようなオールドなシニア市民にとっても使い易いネット環境となっています。通信量限度を気にすることなく、街なかで映像にアクセスでき、情報検索できることの大切さはオフィスの情報環境から少し離れてみると本当によく分ります。私のICT装備もこれからの活動領域と行動範囲に応じて、当然支払能力の限度内で多様化し複雑になっていくと自分なりに予測しています。楽しみです。

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