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PDA、スマートフォンの今後の発展

 欧州最大規模の事務・情報・通信機器見本市「CeBIT2000」が2000年2月24日から3月1日までの7日間ドイツ・ハノーバーで開催されたが、その中で、ワイヤレス・インターネットソリューションの端末として各社が競って出展していたものがPDA、スマートフォンであった。PDAとスマートフォンの差別化が非常に難しくなってきていることが、今回の各社の端末にもよく現れており、次世代を見据えた携帯ワイヤレス端末の方向性が確実に情報通信端末へ向いていることがわかる。以下にCeBIT2000で注目を浴びていた端末をいくつか紹介する。

<エリクソン>
写真  エリクソンが発表した開発中のスマートホンのプロトタイプで、OSにEPOCを採用し、WAP/HTMLブラウザを搭載しインターネットのスムーズなアクセスを可能としている。SMS、Eメール、FAX機能、サウンドプレイヤなどの多種機能を搭載し、表示部はカラー・ディスプレイとなっている。
 さらにGPRSやHSCSD(High Speed Circuit Switched Data)に対応した高速データ通信が可能であり、周辺機器とのインターフェースとしては、IrDAやブルートゥースによる通信機能が付加されている。またGPSレシーバーを内蔵しており、位置情報を利用することも可能である。
 発売時期など詳細はまだ明らかにされていないが、次世代携帯電話としての様々なサービスを統合した端末を目指している。

<サムソン>
写真  韓国サムソンが発表した「YOPY」は、若者にとって魅力の機能を盛り込んだ多機能型のPDAであり、これ1台を持ち歩けば情報に不自由せず退屈しないことをコンセプトとしている。OSにはLinuxを採用することで、アプリケーション開発者にオープンな環境を提供している。
 WAP対応端末であり、ワイヤレスモデムを内蔵しカラー液晶端末でインターネットアクセスができる。MP3プレイヤーを内蔵、音声録音、MPEG方式による動画再生機能付きであり、またゲーム機能も付いている。
 個人情報を管理する手帳としてスケジュール管理、計算機、世界時計の表示、辞書機能を盛り込んでいる。周辺機器と通信するインターフェースとしてRS232C、USBのシリアルポートを備え、IrDA標準の赤外線通信も可能であり、PC等とのデータ・シンクロナイゼーションを容易にしている。
 ペンタッチによる入力も可能。フラッシュメモリー・スロットを備え、64MBのものも対応できる。オプションによりデジタルカメラ、テレビ受信機能も搭載できる。

<Trium>
写真  三菱電機がGSM圏で展開しているブランドTriumが発表した携帯電話機能搭載PDA「Mondo」は、 OSにはWindows CEを採用、GPRSやFAX送受信、MP3プレイヤーなどの機能も搭載している。重さ200グラム、大きさ130×90×22ミリ、連続通話時間180分、連続待受け時間200時間であり、パーソナル・オーガナイザー機能を充実させている。この製品を主に企業向けとして販売していく考えだという。製品の発売は2000年8月と報道されている。

<カシオ、シーメンス>
写真  カシオが、独シーメンスとの提携により「CASSIOPEA」にGSM携帯電話機能を搭載させたPDA。カシオは1999年12月、独シーメンスとワイヤレス・インターネット分野における戦略的提携を発表しているが、これはカシオのモバイル製品技術とシーメンスのネットワーク通信技術を提供した製品開発を目的としたものである。今回発表された製品は、カラー液晶画面を採用しWAP/HTMLブラウザの双方を搭載、MPEG4方式による動画や音声の再生も可能である。同製品はコンシューマーからビジネス市場まで、幅広いニーズに答えられるよう開発されている。またGPRS方式に対応し、今後CDMAやIMT-2000にも対応させていく予定である。価格、スペック等の詳細は公表されていない。

<Acer>
写真  台湾の電機機器メーカーAcerのPDA「P80」は、WAP対応であるが、ニュースリリースとしてはまだ発表されておらず、詳細なスペック等については不明。

 

 今後は前述したように、PDA、スマートフォンという境界線がなくなり、より現在の携帯電話に近づき、いわゆる1つのワイヤレス情報通信端末としてモバイル・インターネットの中核となる商品として発展していくものと考えられる。特に3Gにおいては、このような端末が主流となり、インターネットフォンやビジュアルフォンといった形で普及するのではないだろうか。

 

移動・パーソナル通信研究部
チーフリサーチャー
藤澤 一郎

(入稿:2000.4)


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