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[世界のニュース]
ブイグテレコム、固定発移動着の相互接続料金に関して調停を申請

 フランス第3の携帯電話事業者であるブイグ・テレコム(Bouygues Telecom)は2000年6月19日、同国の電気通信規制機関(ART:Autorite des Postes et Telecommunications)に対し、固定発移動着の通話に対して適用されるアクセスチャージ(相互接続料金)に関する調停を申請した。同社が主張しているのは、海外のネットワークを経由して同国の移動通信事業者の網に終端する呼(リルーチングされた呼)に対して適用されるアクセスチャージを大幅に引き上げるということである。

 その背景には、固定網から移動網に呼を終端する場合、その呼が海外の網を経由して移動網に終端される場合、移動網事業者に対して支払われるアクセスチャージが極端に安くなるという制度上のからくりがある。それは、アクセスチャージの算出方法が分収(Revenue Sharing)方式であることによるものである。それに目を付けたフランス国内の複数の固定系NCC(RSLコム、シリス、ワールドコム、ファースト・テレコムなど)がリルーチングのサービスを提供しており、現在フランスの固定発移動着の呼の10%が海外の網を経由していると言われており、少なからず携帯電話事業者の収益に影響を与えている模様である。同社は、国際網経由のアクセスチャージを1.3フラン/分に増額することを主張している。

 またフランスにおいては、固定発移動着の呼の小売料金設定権(最初の1分を除く)が移動網事業者にあるが、ARTとしては将来的には発側の固定網事業者にその権限を与えることが好ましいと考えている。それに対し、ブイグ・テレコムと同国第2の携帯電話事業者のSFRは海外網経由のリルーチングを禁止することが受け入れの前提条件であると主張している。ただし、リルーチングを禁止するためにはフランス・テレコムと海外の事業者との交渉が必要となり、その実現を疑問視する見方もある。今後の成り行きを見守りたい。

表

木鋪 久靖

(入稿:2000.7)


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