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ハイパーアジア
1998年3月掲載

中国とマレーシアのマルチメディア関連法

 通信インフラの整備に注力する中国政府は、「中国公衆マルチメディア通信管理規定」を1997年9月に公布し、同年12月1日から施行した。全20条からなる本規定には、インターネットを含む、マルチメディア通信に関して、郵電部、中国電信、各地方の郵電管理局の役割が明記されている。

  • 「公衆マルチメディア通信」とは、公衆に提供される通信、文字、画像、データ等を一体化した、統合性、同期性、相互性を持つ通信方式である。その通信網は、中国電信が構築・運用し、マルチメディア通信と情報サービスを提供する全国的な業務ネットワークである。
  • 郵電部は、公衆マルチメディア通信の管理に責任を持ち、業務計画、料金制度、技術基準等を制定する。
  • また郵電部は、公衆マルチメディア通信網に接続する通信装置の設置に際して、入網許可証を発行する。
  • 中国電信は、技術の発展と国民の需要に基づいて、公衆マルチメディア通信サービスと情報サービスの改善・開発を逐次行わなければならない。
  • 公衆マルチメディア通信網とインターネット網は別々に設置されるが、一定の条件を満たし、かつ1996年2月に公布された「コンピュータ情報網の国際接続管理規定」を遵守すれば、網相互の接続は可能である。公衆マルチメディア通信網が海外の通信網と相互接続する場合は、中国電信が当事者間の協議により国際相互接続を行う。
  • 中国電信は、批准を受けた接続サービス事業者と情報サービス提供者のネットワークを平等な条件で接続する。
  • 各省、自治区、直轄市の郵電管理局の許可なく、公衆マルチメディア通信網の接続サービスや情報サービスを提供してはいけない。
  • 情報サービス提供者は、中国電信や接続サービス事業者とマルチメディア情報サービス接続協議書と情報安全責任書を締結し、双方の権利、義務を明らかにする。
  • 情報サービス提供者は、公衆マルチメディア通信網に提供する情報の合法性と真実性に対して、責任を持つ。
  • 郵電部電信政務司が具体的な実施方法を制定する。

 マレーシアでは、マルチメディア関連の2つの法案が、本年4月に議会に提出されることになっている。具体的な内容は明らかになっていないが、政府は、これまでマルチメディアの利用を推進するための法制度の準備を進めており、法案が成立すれば、通信分野と放送分野を管轄する新しい通信委員会が設立されることになる。
 2法案とは、「通信委員会法案(Communication Commission Bill)」と「通信とマルチメディア法案(Communications and Multimedia Bill)」(これまでは「マルチメディア融合法案(Multimedia Convergence Bill)」と呼ばれていた)で、新たに設立される委員会は、一部自己資金で運営される、独立性の高い組織となる見込みである。
 モギー郵電相によれば、新組識は、通信、コンピュータ、放送分野の運営、監督を行い、エネルギー郵電省だけでなく、他の省庁からも人員が投入される。また同委員会は、電気通信機器の標準化の承認や免許の発行、地域毎のフランチャイズ免許数の決定なども行う。マルチなサービス、境界を超えた新たな産業の出現、マルチメディア・スーパー・コリドール計画の発展のために、新通信委員会は、透明性の確保を求められると、郵電相は述べている。

武川 恵美
編集室宛 nl@icr.co.jp
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