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ハイパーアジア
2001年5月掲載

韓国のブロードバンド加入者が500万突破

 韓国で高速のデータ伝送が可能なADSLなどの加入者が急速に普及している。今月の「Hyper Asia」は、日経産業新聞(2001年4月10日)および日経新聞(4月23日)の記事を参考に、普及に拍車がかかる韓国のブロードバンドを取上げる。

■ADSL加入者は約280万

 情報通信省によると、ブロードバンドの加入者は2001年3月末で509万5,103となり、初めて500万を突破した(図表1)。2000年3月末時点では約86万3,000だった。2001年3月の1ヶ月間だけで新規加入者は40万強で、普及の勢いは衰えていない。インターネットの利用が一段と活発になり、利用者も増えていることが背景にある。年内にブロードバンド加入者数は1,000万に達すると見込まれており、普及が始まったばかりの日本を大きくリードする。

図表1:韓国のブロードバンド加入者の推移
図表1:韓国のブロードバンド加入者の推移


出典:韓国情報通信省 情報企画室2001年4月11日ニュースリリースを元に作成 (ハングルのみ、2001.4.25引用)。
*積滞は含まれていない。
*2000年12月末までの加入者数は英語のプレスリリースがある。

 2001年3月末時点の500万強の加入件数のうち、既存の電話回線を利用するADSLは280万6,000となっている。韓国の電話回線数は、2000年4月時点で2,149万7,000加入で、比較時期は異なるが、ADSLは1割以上の電話で利用されていると見られる。一方、ケーブルテレビを利用したサービスの加入者は176万である。LANタイプは、集合住宅まで専用線で接続するFTC(Fiber-to-the curb)網によるサービス提供で、加入者は49万6,500である。その他には、衛星インターネット、WLLが含まれる。

図表2:韓国のサービス別加入者の推移
(万加入)
出典は図表1と同じ

006 7 8 9 10 11 12 01
1
2 3
ADSL 67.8 83.3 102.7 126.9 152.9 186.1 207.4 225.8 250.8 280.6
CTV 56.4 65.1 74.0 87.5 107.4 124.7 138.6 148.1 158.1 175.7

■韓国通信がリード

 韓国のブロードバンド通信は、市内通信サービスを手がける新興のハナロ通信が1999年4月にサービスを始めたのを皮切りに、半年ほど遅れて、韓国通信が参入し、本格的な競争が始まった。当初はハナロ通信がリードしたが、経営体力のある韓国通信が加入件数を過去1年間で13倍に伸ばし、5割近いシェアを獲得している(図表3)。

図表3:事業者別加入者数
(2001年3月末、情報通信省まとめ)
出典:日本経済(2001.4.23)。

事業者名

加入件数

1.韓国通信

2,424,119

2.ハナロ通信

1,281,752

3.トゥルーネット

900,754

4.ドリームライン

170,919

5.オンセ通信

153,458

6.デーコム

112,631

7.SKテレコム

43,076

8.ユニテル

8,394

 ADSLの提供料金は、29,000〜40,000ウォン(約2,800〜3,800円)、CATVインターネットは29,000_41,800ウォン(約2,800_4,000円)で提供されている(図表4)。韓国通信やハナロ通信は、日本と同様、電話サービスとの重畳が可能なADSLサービスを提供している。

図表4:事業者別利用料金(2000年11月30日時点)
出典:韓国情報通信省 情報企画室2000年12月5日プレスリリース(英語版)を元に作成 (2001.4.25引用)。
*100円≒1040.4ウォン(2000年上半期の基準為替レート)。

サービス種類

通信事業者名

月額利用料金

モデム・レンタル(月)

加入料

ADSL

韓国通信

30,000〜
40,000ウォン

10,000ウォン

3,000ウォン

ハナロ通信

29,000〜
39,000ウォン

5,000ウォン

80,000ウォン

ドリームライン

29,000〜
39,000ウォン

10,000ウォン

4,000ウォン

CATV
インターネット

トゥルーネット

41,800ウォン

10,000ウォン

40,000ウォン

ハナロ通信

34,000ウォン

5,000ウォン

36,000ウォン

ドリームライン

29,000〜
38,000ウォン

10,000ウォン

40,000ウォン

デーコム

29,000〜
34,000ウォン

5,000〜
20,000ウォン

40,000ウォン

 韓国では、料金競争が各社の収益を圧迫しており、ハナロ通信も現在、ADSL事業は赤字である。ハナロ通信の申社長は、「加入件数が250万になれば、損益分岐点を超え、黒字を確保できる体制になる。ただ、これ以上の値下げは考えていない。現在、数社がサービス提供しているが、下位の業者の経営は相当厳しい。再編が進む可能性がある」と述べている(日経産業2001.4.30)。さらに「ADSLの普及に際し、市場原理だけに任せていてはだめで、初期段階では、過当競争に陥るのを防ぐため、政府の交通整理が必要だ」としている。

■日本はようやく10万人

 日本でDSLによる接続サービスが始まったのは1999年12月。コアラ(大分)、東京めたりっく通信(東京)などがほぼ同時にサービスを始め、2000年末にNTT東西地域会社が本格参入したのを機に人気に火がついた。利用者数は約6万9,000人(2000年3月末時点)(図表5)。最近では毎月、倍々ペースで利用者が拡大しており、総務省は、4月24日時点で10万人2,881回線に達したと発表した。 情報通信総合研究所が、同日発表したインターネットの利用世帯予測によると、ADSL、CATV等の利用世帯数は2005年度末で2,370万世帯、光ファイバーは1,080万世帯に達するとしている。
<寄稿> 武川 恵美
編集室宛 nl@icr.co.jp
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