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情報通信の新潮流
2002年10月掲載

第11回

電子投票−海外事例
〜どこからでもネット投票〜


社会公共システム研究グループ
 研究員 松原 徳和

■手段はさまざま

 日本では、電子投票は始まったばかりだが、世界ではさまざまな国で、さまざまな手段を用いた選挙が実施されている。
 ベルギーでは、投票が国民の義務になっている。かつては模造紙大の投票用紙が用いられていたが、EU加盟国出身の非ベルギー国民に対する投票権が拡大、有権者が増加したことにより、開票時の省力化が必要となった。1994年より、磁気カードとタッチペンを用いた投票が行われている。投票者は投票所に到着すると、磁気カードを手渡され、投票ブースへと移動する。投票端末のスクリーンの指示に従い、タッチペンを利用して候補者の選択を行う。ベルギーではフランス語とオランダ語が公用語であるが、投票端末は両方の言語に対応している。投票終了後、投票内容が保存された磁気カードを投票管理者に手渡し、電子投票箱で、磁気カードの内容を読み取る。
 ブラジルでは、候補者の顔写真と候補者番号がディスプレイに表示され、選挙人にテンキーで選択させる方式がとられている。各候補者には候補者番号が割り当てられているため、選挙期間中、各陣営は候補者の名前だけではなく、番号をアピールすることになる。

■米国のガイドライン

 ベルギーやブラジルが、全国一律の投票方式を採用しているのに対し、アメリカでは、機器の選定は各州の判断に委ねられている。レバー方式、パンチカード方式、マークシート方式、直接投票方式(タッチパネル)等、種々の方式が開発されてきた。機器の技術革新に伴い、投票システムもより複雑化してきたため、米連邦政府は1991年、行政側の調達の手間の軽減を目的に、採用条件や調達に関する統一的なガイドラインを設けた。2000年大統領選挙で、フロリダ州パームビーチ郡のパンチカードによる投票結果をめぐり、全米が大混乱に陥ったことは記憶に新しい。この経験から、パンチカード方式を廃止するための補助制度等を規定した法令(HELP AMERICA VOTE ACT OF 2001)が整備された。
 また、2000年の民主党のアリゾナ州予備選挙では、世界に先駆けてインターネット投票も実施された。有権者には事前に個人認証番号が付与され、「社会保障番号の下4桁」「出生地の州番号」「有権者登録番号」「父親か母親の名前」等の簡単な質問項目により一人一票の原則を保っている。インターネットが利用できる環境であれば、世界中どこからでも投票ができるが、投票の秘密、セキュリティ、本人確認などの問題も残されている。

各方式による投開票手続の比較
出所:総務省資料

投票用紙の使用 パンチカード式
OMR式
ベルギー式
(スペイン式)
オランダ式
(アメリカの一部)
ブラジル式
投票所 本人確認後投票用紙の交付 同左 磁気カードの交付 投票機に投票内容を直接記録、投票内容を自動集計 同左
(個々の投票内容を投票の都度出力)
投票用紙への投票の記載 投票用紙への穿孔又はマーク 光学式ペンでの指示
投票用紙の投票箱への投函 同左 磁気カードの投函、投票内容の読み取り集計
送致 投票箱の送致 同左 FD等の送致 同左 同左
開票所 投票用紙の分類 機械により分類と集計を同時に実施 FD等からの情報を読み取り集計 同左
集計

日本工業新聞「e-Japan戦略 IT立国への取組みと課題」2002年10月2日掲載

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