2005年4月号(通巻193号)
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世界の移動・パーソナル通信T&S
<世界のニュース:移動通信サービス>

ボーダフォン、3Gによる固定電話代替サービスを開始

 ボーダフォンは2005年3月10日、独ハノーバーで開催中のセビット(CeBIT)で3Gサービスを利用した固定網代替サービス「アット・ホーム・ウェブ」を発表した。3Gネットワークを利用して自宅周辺から低料金でインターネット・アクセスを利用できるのが特徴。最高通信速度は384Kbps。独ボーダフォンは、2004年11月から固定電話並みの低料金で音声通話を利用できる「ボーダフォン・ツーハウゼ」を開始しており(本誌2005年1月号参照)、データ通信分野でも固定網代替サービスに参入することになる。

 「アット・ホーム・ウェブ」では2種類の料金プランが設定されている(下表参照)。一つは登録住所の周辺で利用できる60時間の利用分数を含んだプラン「タイム」、もう一つは5,000MBの通信量を含んだプラン「ボリューム」である。両プランとも登録住所エリア外でも利用できるが割高な料金が適用される。月額基本料は16.99ユーロに設定されており、これはT−COMが提供するDSLサービス、T−DSL1000(下り最大1Mbps)の月額基本料に相当する。いずれのプランでもデーター・カード型端末「Vodafone BusinessDataPro6」のみで利用できる。なお、音声通話は利用できない。

 ボーダフォンは、音声電話市場だけでなく、家庭向けインターネット・アクセスの領域にもかなりの成長性が見込めると考えている。ボーダフォンD2のCOOであるFriedrich Joussen氏は「全通話時間の約90%は、今も固定ネットワークを介している。同時に、ブロードバンド・インターネット・アクセスの需要は急激に伸びている。これら双方から我々は利益を得たいと考えている。」とし、固定網代替通信市場が成長市場であるという認識を示した。

 さらにボーダフォンでは、2005年第2四半期から、電話、ファクス、留守番電話、PC等、従来固定網に接続されている機器を一括して収容し、3G網に接続するボックス型端末によるサービス、 「アット・ホーム・トーク&ウェブ」の提供を開始することも発表している。このサービスでは、PCを無線LAN経由でボックス型端末に接続することも可能であり、家庭内におけるネットワークを全て3Gで代替する狙いがある。

 ボーダフォンによる一連の固定網代替サービスへの取組みは、近年固定電話事業者によって推進されている固定・移動融合サービスへの対抗策と考えられるが、ようやくサービス提供が軌道に乗った3Gサービスをその手段に利用したところに注目される。ただし、その成否には、固定ブロードバンド・サービスと遜色ない通信速度・品質、安価な定額プランを導入できるかどうかがポイントになると考えられる。

表: 「アット・ホーム・ウェブ」 の料金プラン

平井 隆夫
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