■アップル対サムスン特許訴訟の最新動向
世界の携帯通信市場では、急成長しているスマートフォン(以下、スマホ)の供給をめぐって、携帯端末メーカーが激しいシェア争いと特許訴訟を展開している。特に、今年第2四半期(4〜6月)のスマホ市場シェア首位(32.6%)の韓国サムスンと第2位(16.9%)の米国アップル(図1)は、世界10カ国で特許訴訟合戦を展開している。アップルは、サムスン製スマホGalaxy S 4G、Epic 4G、Nexus Sなどが、またサムスン製タブレットGalaxy Tab 8.9、10.1などが、アップルの実用特許(Utility Patent)やデザイン特許(Design Patent)(囲み記事1)を侵害したとして、サムスンを米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所(以下、「カリフォルニア地裁」または単に「地裁」)へ2011年4月15日に提訴した。地裁の陪審団は今年8月24日に、サムスンのスマホとタブレットがアップルの保有する特許を意図的に侵害しており、これによりアップルが被った損害額が10.5億ドル(約830億円)に上るとの評決を出した。本稿では、米国のカリフォルニア地裁での陪審評決、関係者の反応、携帯端末メーカーおよび携帯通信事業者に及ぼす影響等について概説する。
■欧州が周波数共用へ向けて枠組み構築へ
欧州委員会は膨張するモバイルデータへの対応するため、周波数共用の制度の具体化へ向けて動き始めた。委員会は2012年9月3日発表のコミュニケーション「域内市場周波数資源の共用へ向けて(Promoting the shared use of radio spectrum resources in the internal market)」において、周波数の共用を円滑に進めるための新たな手続きや枠組みを提唱している。
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