■米国電気通信事業の外資規制
〜ソフトバンクによるスプリント買収は実現するか
外国通信事業者等による米国通信事業者のM&A(企業合併・買収)は、FCC(連邦通信委員会)が主として所管している。FCCは米議会の指揮下にあり、行政府から独立している非政府組織であるが、大統領がFCC委員長を指名することから、政権の直接的な影響を受ける。米国における通信事業者のM&Aでは、クリアすべき規制認可事項は多い。外国企業による米国通信事業者のM&Aの認可には、「周波数ライセンス」等を所管するFCCのほかに、以下の諸機関が主として関与している。
■ミャンマーの通信免許争奪戦が幕開け
〜91社が入札に関心を表明
2年前(2011年3月)に民政移管を果たしたミャンマーは、これまでの閉鎖的な国家体制から脱却すべく、周囲の予想を上回るペースで矢継ぎ早に改革・開放政策を次々と推し進めている。その波は通信分野にも着実に波及しつつあり、政府当局は2013年1月、2件の通信免許発行計画を発表した。長年にわたり続いてきた国営1社の独占体制(注1)がついに切り崩され、いよいよ同国の通信市場が開放される見通しが高まった。実際の入札手続き開始に先立ち行われた通信免許入札への関心表明(EOI:Expression Of Interest)募集には計91社もの応募があり、早くも激しい通信免許争奪戦が繰り広げられる様相を呈してきている。本稿では、ミャンマーでの通信免許発行に向けた一連の動きを解説するとともに参入にあたってのリスク等について考察する。(注1)固定・携帯事業は国営のミャンマー郵電公社(MPT:Myanmar Posts and Telecommunications)1社が独占。インターネット事業にはMPTのほか、半官半民のヤダナポン・テレポート等が参入済だが、実質的にMPTが通信市場全体を支配している。
■2012〜2015年度経済見通し、およびICT投資加速シミュレーション
本稿では、2013年2月14日に内閣府より発表された2012年10〜12月期のGDPの1次速報を受けて、2012〜2015年度までのGDP成長率の予測を行った結果をまとめた(注1)。加えて、近年、モバイル、クラウド、ビッグデータ等の技術の広がりからICT投資の増加が見込まれることを背景に、2013〜2015年度にかけて、ICT投資が加速した際の経済成長に与える影響を分析した。(注1)情報通信総合研究所は、情報通信(ICT)産業が日本経済に与える影響を把握する一環として、経済予測と経済政策効果の検証のため、篠撫イ彦・九州大学教授、飯塚信夫・神奈川大学准教授の監修のもと、内生変数73、外生変数68から成る小型のマクロ計量モデルを構築し、分析している。
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