2014年4月7日掲載

2014年2月号(通巻299号)

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コラム〜ICT雑感〜

超高齢化社会とパラリンピック

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2013年9月、ブエノスアイレスで東京オリンピック・パラリンピック開催が決まり、年明けより東京都をはじめ、各省庁、企業での取り組みが本格化し、各企業でも社内にプロジェクト室を立ち上げるところが増え始めています。本誌2013年11号では「東京五輪とICTの課題」でICTが抱える課題を総括的に取り上げましたが、今回はパラリンピックに焦点を当てて日本が直面する超高齢化社会との関係を述べてみたいと思います。

なお、「パラリンピック」という用語自体が前回、1964年に開催された東京オリンピック後の障害者の大会で初めて採用されたそうです。また、大会における行進曲の一つとして「鉄腕アトム」の主題曲が流されたことも時代を経て、「ウェアラブル」技術に繋がるものとして感慨深いものがあります。

パラリンピックの重要性が高まる五輪

前回、1964年に開催された東京五輪は日本が高度経済成長に向かう時期に開かれたこともあり、成長・発展のシンボルとなりました。ロンドンオリンピックがフェイスブックやツイッターなどが多く使われ、「ソーシャルオリンピック」と呼ばれましたが、次回の東京五輪はどのようなコンセプトになるでしょうか。将来の日本を考えた場合、コンセプトの一つとして成熟した社会、環境重視、循環型のコンパクトなシティなどがキーワードになりそうですが、特に超高齢化社会の先頭を走る日本の取り組みが、重要なメッセージになる可能性があります。「ユニバーサルデザインの先進都市、東京」を世界に示す好機になるかもしれません。

超高齢化社会を迎える日本では、パラリンピックの取り組みが、視聴覚障害者、車椅子生活者などハンディキャップを抱える高齢者やその介護にあたる人、関係者の共通課題、関心事項に重なってきます。

オリンピック憲章の「オリンピズムの根本原則」には「スポーツを行うことは人権の一つである。各個人はスポーツを行う機会を与えられなければならない。以下〜略〜」と書かれているようにパラリンピックを重視する思想が述べられています。昨年のブエノスアイレスの招致活動でパラリンピック女子陸上の佐藤選手のスピーチが注目を浴びた由縁です。

パラリンピックも回を重ねるごとに参加国、参加選手の数が増えており、ロンドンパラリンピックでは20競技に164カ国、4,310人の選手の参加がありました。東京パラリンピックではその数が更に増えるものと予想されることから、バリア・フリーなど十分なインフラ、技術・サービスに向けた取り組みが重要になります。

日本が直面する超高齢化社会とパラリンピック

前回の東京五輪は、高速道路、新幹線などのインフラが急速に整備され、その後の日本の高度成長を促す契機となりました。しかし、今回の東京での開催は環境が大きく変化しています。当時の東京における65歳以上の人口の割合がわずか4.2%であったのに対し、2020年の東京都の人口は1,336万人と見込まれ、そのうち65歳以上の割合が24%に達すると見られています(日本経済新聞 2014年1月20日付)。

今回、来日した国際パラリンピック委員会のアンドリュー・パースンズ副会長は2020年の東京パラリンピックについて「最新技術が特徴になるだろう」と期待感を示し、「パラリンピック選手が移動しやすいコンパクトな会場配置、最新の輸送システムは素晴らしい」と称賛しています。(朝日新聞2014年1月20日付)

しかし、日本では障害者用の競技場の不足など欧米諸国に比べて、その取り組みが遅れていると言われています。欧米各国では既に障害者アスリート専用の施設整備に力を入れており、その差がメダルの獲得数にも現れています。2004年のアテネ大会では日本は52個のメダルを獲得しましたが、2008年の北京では27個と半減、2012年のロンドンでは16個まで減少してきています。

五輪の設備などについてはロンドンオリンピックのように五輪後の利活用を見据えた取り組みが重要です。その意味ではパラリンピックは超高齢化社会を迎える日本が抱える社会的問題解決の一つのきっかけになる可能性があります。

障害者がスポーツをし易い環境を整備することは高齢者がスポーツ、リハビリを行うことに繋がり、増大する医療費を抑制できる可能性があります。厚生労働省の発表では2012年度の医療費は38.4兆円と国家歳出97兆円の4割を占めており、70歳以上の医療費比率が45.4%に上昇しています。この医療費を例えば1割抑制すれば4兆円近い国家財政の改善につながります。

パラリンピックでのICT利活用技術の発展が高齢化によるハンディキャップを抱えた高齢者へのサポートにつながる可能性がありますし、近い将来、同じ問題に直面する中国・韓国などへビジネスベースでの展開も考えられます。

パラリンピックにおけるICTの役割〜「ウェアラブル技術」への期待

五輪は新しい技術・イノベーションのトライアルの格好の場所にもなります。政府は東京五輪に向けて2020年代後半以降に実用化が見込まれる先端科学技術の開発期間を10年程度前倒しする方針を固めたと報ぜられています。その中には「触覚など感覚機能を備えた義手・義足の開発」「視覚、聴覚者がイメージしたことを可視化・言語化して伝達」するなどの先端科学技術が取り上げられています(読売新聞 2014年1月5日付)。

2014年1月20日にNHKで放映された「未来を拓く、希望のサイボーグロボット研究」は大きな反響を呼びました。筑波大学山海教授が世界で初めて開発したサイボーグ型ロボットスーツ「HAL」は、人が動こうとする意志をロボットがキャッチし、手足を動かすことが出来るもので、脊椎損傷や脳卒中の患者がリハビリを行うのに有効とされ、既にドイツでは保険のおりる医療機器として実用化され、世界から熱い注目を浴びています。今後、これらの技術は更に進歩すると考えられ「科学技術立国・日本」をアピールする絶好の機会となります。

日本ではICTの分野において、従来より社会的課題解決に向けた取り組みがなされています。高齢者や障害者用の電話として音量を調整できる「シルバーフォン」や聴覚が不自由な人への「骨伝導電話機」などが開発、利用されてきました。また、中高年向けのヒット商品となっている「らくらくフォン」が根強い人気を保っています。スマートフォン版の「らくらくスマホ」がヨーロッパでも販売されるようになっています。

ウェアラブル端末の先駆的な取り組みとして、1998年の長野オリンピックでは「腕時計型のPHS」が大きな注目を集めました。

現在、通信端末としてはスマートフォン、タブレットが急速に世界中で普及しており、今後、有望視されているものにこれらと連動したウェアラブル端末があります。既にグーグルが眼鏡型のグーグルグラスを公表しており、腕時計型の端末も実用化されています。今後、身体障害者をサポートするウェアラブルロボットスーツと並んで、これらウェアラブル型の端末も障害者、高齢者向けの機器開発あるいはアプリケーション開発が期待されます。また、例えば車椅子に取り付けられたセンサーが安全最適移動ルートや施設利用の情報提供をするなど、いわゆるIoT(Internet of Things)の利活用が目覚ましく進む可能性があります。

前回の東京五輪のパラリンピックでは、各国からの参加者の方を空港到着から選手村・競技会場への移動などにマンツーマンでお世話したことが大会の評判を高めたと言います。その意味でこれらウェアラブルなICT技術は今回の大会の成功に大いに寄与するとともに、今後の高齢化社会に対応したコンパクトな街作りにも繋がるものと期待されるところです。

常務取締役 グローバル研究グループ 部長 真崎 秀介

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