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志村一隆「ロックメディア」
2009年4月掲載
ロックメディア 第27回

Over-the-Top 3 メディア・センター、プロへの思い込み

思い込み

千鳥が淵の桜千鳥が淵で向こう岸の桜を見ていると、「じゃあ、2人の写真撮りましょうか」と若者の声が。おー、その唐突感、なんかヤバい、と思ってたら、「えっ、イヤ」秒殺。しばらくして、またもや「じゃあ、2人で写真撮りましょうか」「この角度、綺麗ぇ。私ので写メして」撃沈・・・草食だけどときとして肉食系は、間が悪すぎ。

入学式の季節、千葉駅から成田線に乗ると、若者が二人。「この赤色が必修の時間」「9時かよ。キチィー」「オレは出とく。マジ、出といたほうが、就職とか人生変わるじゃん」「えー。でもいいヤツがおらん」「昨日一緒に昼飯行ったヤツと仲良くしとくしかないべ」「なんかガチカップルおるだろ」、おー、リアルで聞く、初「ガチ」、そして結構マジメな学生。

言葉は常に変化していくけれど、変化しないものもある。思い込みもそのうちのひとつ。衛星放送でやっている映画を録画したい!と思ったら、まず電器屋さんに行ってDVDプレーヤーを買ってこなきゃって思う。「録画」 ⇒ 「電器屋さん」、ニーズとツールが固定化されている。思い込みだ。

テレビ、冷蔵庫、レンジ、家電は、プロが作ったものを買う!もんだって思い込んでた。映画やドラマ、音楽はプロしか作れないと思っていた。

ところが、インターネットの時代は違うらしい。

家電へのパンク・ロック

デジタル時代は、無料ソフトと安価なハードディスクの組合せで誰もが録画機を作成できる。

いま、パソコンを買ってきて、無料のソフトウェアを組み込めば、番組検索、録画、なんでもできる(らしい)。ビックカメラで売ってるハードディスク録画機と同じことができる。「オープン・ソース」の「メディア・センター」「ソフトウェア」を「インターネット」から「ダウンロード」、「パソコン」に「インストール」すれば、プロが作る機械と同じことができてしまう。非常に面白い参考記事 ⇒『Linuxで作るHDDレコーダ - TVもみれてEPGにも対応』、海上忍、マイコミ・ジャーナル、2004年5月24日 自分でやってみたいっ!

よくパソコン自作っていう兄ちゃんがいたけど、家電も自作が可能なんて・・・知らなかった。調べると、もう7-8年前から、メディア・センターのオープン・ソースは存在している。

ハードディスク録画機が作れる無料のソフトウェア
LinuxMC
LinuxMC
MythTV
MythTV
XBMC
XBMC

mythTV、XBMCといった「オープン・ソース」のソフトウェアは、誰もが開発に参加できる。プロだろうとアマだろうと。新たな機能が足されていくことが、延々と行われている。

「メディア・センター」にビジネスチャンスを感じたマイクロソフトはWindowsベースのメディア・センターを開発、販売している。2008年4月、NAB Showを取材したとき、マイクロソフトTVのロドリゲスCEOが、マイクロソフト・メディア・センターについて話をしていた。しかし、その後あまり動きがない。

3スクリーン、見たいコンテンツは同じインターネットがその価値を削り取っていくのは、流通・メディアだけでなく、録画機のような家電製品も含まれることが驚きだ。最後に残るのは、なにか?バイアコムのPhillipe Dauman CEOは、「我々は、ピュア・コンテンツ・カンパニーだ」と言った(Media Summit New York 2009にて)。大事なのは、メディアではなくて、コンテンツだろう。自分の作るコンテンツを買ってくれるお客さんがいるかどうか。コンテンツで楽しんだり、泣いたり、笑ったりするニーズは、無くならない(多分)。ニッチであれ、マスであれ、それで食べていければいいではないか。

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