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トレンド情報 -トピックス[1997年]
<国内情報>

企業通信ネットワークの新潮流〜フレームリレー

(1997.2)

企業通信、特にデータ通信分野は、OCNやエコノミー専用線の提供開始等、現在最もサービス間競争が激しい分野である。これまでの企業通信は主要事業所間を専用線やディジタル専用線によってつなぎ、TDMで音声系と統合するのが典型的な利用形態であった。そして地方の営業所等、トラヒックがあまり発生しない対地については、ISDN等の公衆網を補完的に利用してきた。
しかし最近では、各事業所へのパソコンやLANの急速な普及によって、データ通信ネットワークの高速化と広帯域化の動きが活発になっている。その中でもフレームリレーサービスは1本の物理的回線を効率的に利用でき、通常の専用線より料金が安いことからユーザを急速に拡大しつつある。

企業ユーザが既存の通信サービスからフレームリレーに移行しているのには、主に2つの理由が挙げられる。第1は企業のコスト削減ニーズである。バブル崩壊後、各企業は情報システムに関する必要経費の見直しを迫られており、その中でも毎月発生する通信費が挙げられる場合が多い(ネットワークの価格性能比の上昇が、コンピュータ等のそれに比べ相対的に低いことが拍車をかけている)。したがってユーザは自社の基幹系ネットワークを専用線やパケット、ISDNからフレームリレーに移行することで、通信コスト(データ量)の増加に対応している。また保守面から見た場合、自社で専用網を構築するより、公衆網を利用した方が人員、コスト的に対応が容易である点も見逃せない。
第2の理由としては、EUC環境の整備、グループウェアやイントラネット等の導入に伴い、情報系ネットワークの新規導入を図った点である。LAN間通信での帯域設定や課金方式から見た場合、専用線やISDNを利用するよりフレームリレーが最適となる場合が多い。

表1:フレームリレー導入時の適用ネットワーク
導入タイプ基幹系ネットワーク情報系ネットワーク
I.更改型フレームリレーなし
II.再構築型フレームリレー
III.既存併用型専用線等フレームリレー

上記ニーズに対応するため、通信事業者は積極的にフレームリレー市場へ参入している。日本では93年から国際、国内フレームリレーサービスが開始、現在の提供事業者数は一種、二種合計で25社(96年11月現在)である。日本国内の回線数は以下(表2)のとおりで、95年に入ってから急速な成長を遂げている。最近では第一種事業者の回線数の伸びが著しく、市場での競争が「NTT対NCC(地域系含む)対VAN事業者」の三つ巴の状態になっていることを示している。

表2:日本のフレームリレー回線数
年月93.393.994.394.995.395.995.12
第一種合計(回線) 0009905271,158
第二種合計(回線) 103493985198311,4151,882
出所:通信白書

NTTは昨年10月から定額制フレームリレー「スーパーリレーFR(定額タイプ)」を開始、各社ともメニューやサービスの拡充を図っている。今後は地域系NCC等、事業者間での相互接続が進み、料金、サービス面での競争がより激しくなっていくものと予想される。

(産業システム研究部 山下 典之)
e-mail:yamashita@icr.co.jp

(入稿:1997.2)

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