トレンド情報
-トピックス[1997年] |
アメリテックの長距離サービス販売体制 |
(1997.6) |
1.アメリテックの長距離サービス市場参入の動き アメリテックはRBOCのなかで、自社営業地域内の長距離サービス市場への参入に最も熱心である。同社は、RBOCに市内網を競争に開放する一定の条件を満たせば長距離サービス市場へ参入することを認めた1996年新通信法が成立する前の1995年から、同法の成立を見込んで長距離事業子会社(Ameritech Communications, Inc.:ACI)を設立し、準備を進めてきた。 アメリテックはRBOCの先陣を切って今年1月にミシガン州におけるLATA間通信サービスの申請を行った。しかし、AT&Tとの相互接続協定に問題があるとして、申請後まもなくこれを取り下げた。その後5月に再申請を行ったが、ミシガン州公益事業委員会(PSC)は6月10日、これを認める意向を表明した。FCCは、最終的に再申請日から90日後の8月21日までに決定する予定である。 アメリテックの営業地域であるシカゴでは、すでに市内の競争に多くのIXC(長距離通信事業者)や代替的アクセス事業者がサービスを開始している(注1)。同社の営業地域は、米国中西部のウィスコンシン州、ミシガン州、イリノイ州、オレゴン州及びインディアナ州の5州である。同社によるとこれら5州の長距離市場規模は、90億ドルであり、今年末までにすべての州で長距離サービスの提供が可能になることを目指すとしている。 注1:現在シカゴで市内サービスを提供している事業者は、アメリテックの他には、MFS、AT&T、MCI、LCI、TCG、WINSTER、USNetなど7社ある。また、同社は昨年、スプリントに次ぐ全米4位のIXCのワールドコム社と提携した。同社の長距離部門のリジョナル・マネージャーによると、大手のIXCであるAT&T、MCI、スプリント等数社を対象に検討したが、ワールドコムが最もよい条件であったという。同社の営業区域内の最大のマーケットであるシカゴには以前から代替的アクセス事業者の大手のMFSが進出しているが、MFSはワールドコムが買収しており、今後アメリテックとは市内サービスでは競争し、長距離サービスでは当面は協力していくことになろう。 |
2.アメリテックの顧客セグメントと販売体制 アメリテックは、ビジネス市場を顧客の特性別に3つに分類し、それぞれ異なる事業部が対応している。
注2:ADは、TMの許可がなければ、TMのテリトリー内の顧客にアプローチできない。TMは顧客へのプレゼンテーションなどで必要と考えれば、ADと協力して営業活動を行う。 |
3.オーソライズド・ディストリビューター(AD)を使った販売体制 ADは通信機器の設置・保守などを行っている場合が多く、アメリテックとは現在同社の3つのプロダクト・ライン・サービス[1.ローカル・サービス(Local Usage)、2.音声(事務用回線、セントレックス、DID、ボイスメールなど)、3.データ・サービス(DS1、DS3など)]の販売契約を結んでいる。現在、5州でADの数は147店あり、そのAE(Account Executives)の数は1400人に上る。 アメリテックは同社の長距離サービスを、エンハンスト・ビジネスに対してはこれらのADを通じて販売しようとしている。ADにとっては、取り扱うサービス・プロダクトが1つ増えるだけであり、自社の売上増につながる。アメリテックは147のADに対して24人のディストリビューター・マネージャー(DM)を置き、ADに対する支援を行っている(このうち3DMは長距離サービス専門である)。 さらにアメリテックは、DMとは別に、DMやADに対し新しい技術や新サービス・プロダクト、及びプログラムなどを紹介するリジョナル・プログラム・マネージャー(RPM)を置いている。このRPMは技術スタッフと協力し、ディーラー向けのホームページ(http://www.ameritechdealer.com)をインターネット上にオープンしている。 ADが顧客を訪問し、商談を進める上で、たとえばアメリテックのセントラル・オフィス(交換局)の交換機の機種とか空容量とかを知りたい場合、このホームページにアクセスし、自分のIDを投入すると、アメリテックのイントラネットへ接続することができ、これらの情報を直ちにチェックすることができる。イントラネットへ入るとまず「我々の資源ライブラリーへようこそ(Welcome to Our Resource Library!)」というメッセージが現れ、次の3つの項目が選択できる。
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(海外調査第一部 鈴木 泰次) e-mail:suzuki-t@icr.co.jp (入稿:1997.6) |
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