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トレンド情報 -トピックス[1997年]
<海外情報>

テクノロジーコンバージェンスが進む"Internet World"
-Internet World 97 Summer, Chicagoからの報告-

(1997.8)
Microsoft、Netscapeの2大スーパースターの出展なしで開催されたシカゴでのInternet World(7月21〜25日)は、これまでのInternet Worldにみられたような華やかさと盛況さを欠いてはいたが、Novell、Sun Microsystemsを初めとする各ベンダーの主催セミナーに参加し、Oracle、HP、IBM等のパートナーズパビリオンで行われたデモンストレーションを視察し、Internet Worldが、以下の5つの点で変わりつつあることを印象づけられた。
  1. 企業のITエンジニアを対象としたセミナー併設かつデモンストレーション重視への変化
  2. イントラネット、エレクトロニックコマース(EC)、エクストラネットの各技術領域が相互に重なり合うTechnology Convergenceの進展
  3. 進展するTechnology Convergenceのもとで企業のトータルソリューションに対応していくためのパートナリングのアピール
  4. 一方で小規模事業所向けにカスタマイズされたパッケージソフトも普及
  5. Java対応の確実な進展とプッシュ、ストリーム、マルチキャストなどの新技術の製品化

以下、基調講演と注目された展示商品について報告する。

  1. 基調講演から
  2. 新商品・計画発表
  3. 注目されたEC関連の展示デモ
  4. その他の展示

1.基調講演から
Eric Schmidt氏
(Novell社・会長兼CEO)
Kim Polese氏
(Marimba社・社長兼CEO)
Schmidt氏は、インターネットの今後の発展のために、RBOCsの規制緩和を主張した。特にローカルループの帯域増の必要性を強調、RBOCs4社のうち3社のデータセンターを見学し、インターネットトラヒックの増大がいかに公衆網交換機の輻輳を引き起こしているかを実感したと述べ、そのためにもインターネットに関するRBOCsに対するいっそうの規制緩和が必要であるとの考えを強調した。 Polese氏は、端末のカスタマイズ化、ポータブル化が進展する中で、インターネット上で様々な異なるデバイスを、「どのように相互にコネクトしていくのか」、ということが技術開発の重要な鍵になるとなると述べた。また、 インターネットを生活改善に応用させようとするゴア副大統領の要請に応じて計画中の「教育ダッシュボード(Education Dashboard)」プロジェクトの概略を発表。同社の「Castanet」を利用して、教師、父母、生徒のためのインターネットによる教育環境を提供する。教育現場でのインターネット利用を促進することを目的としている。


2.新商品・計画発表
Oracle Partner Pavilion Novell
OracleのWebアプリケーションサーバーに個々のカートリッジ対応を可能にしたフィルタリングソフトウェアーベンダーのFireflyNetworkと提携。 イントラネットからエクストラネットへの拡張用途に、特に操作性とセキュリティに配慮したBorder Managerの発表。
ISPs
PSINetは、テキサス州オースチンを本拠とする通信回線の卸業者IXC Communicationsとの提携により帯域幅の大幅な増強を図る計画をアピール。
また、EarthLink NetworksはCATV網によるインターネットアクセス事業計画を発表。


3.注目されたEC関連の展示・デモ
インターネット関連企業の多くがEC分野のデモ展示を実施していた。なかでもHewlett Packard(HP)は、AT&TやMondexなど30社以上の提携企業と共同で、大々的にECブースを設けて、デモ展示を行っていた。その中で、特に興味をひいたのが「デジタル・クーポン」「ショッピング・カート」である。

「デジタル・クーポン」
デジタルクーポン技術には、実店舗でのクーポンとオンラインショッピングでの利用を想定したクーポンとがある。
AT&T World Netとシカゴを中心に営業活動をするInteractive Coupon Network(ICN)は、実店舗でのクーポンの提供で提携することを発表していた。ICN社により、今年3月にオープンしたサイト「クールセービング」(Cool Savings)は、シカゴを中心に約10万加入を超える人気を呼んでいる。登録小売業者には、おもちゃ業者のToys R Us、大規模スーパーのJCPennyを初め、有名店が多い。クーポンの発行は、クールセービングのサイト上で行い、その結果プリントされた無料券やサービスクーポンは実店舗で利用される。

一方、Open Market社は、「OM‐Transact」というECトランザクションソフトの機能追加を発表した。サイト上でデジタルクーポンを発行し(小売業者サイド)、パスワードを入力することによりサイト上で利用できる(消費者サイド)ようになっている。同社によれば、クーポンの配信はダイレクトメールよりも効果的なマーケティングツールになる、と自信ありげに語っていた。

【OpenMarket社】 1994年、マサチューセッツに設立。EC分野におけるトランザクションソフトを提供している。主要ユーザ(サービス)は、AT&T(SecureBuy)、Disney(Disney Online)他、BT、Internet MCIなど多数。

「ショッピング・カート」
iCAT社の発表した「ELECTRONIC COMMERCE Suite3.0」および「ELECTRONIC PUBLISHER」は、小売業者向けに、カタログサイトの構築、注文受付、受付管理、配送管理、在庫管理、売上レポート、顧客管理などをすべてパッケージ化したソフトである。あらかじめ、用意されているテンプレートにあわせて情報をレイアウトするだけの簡単操作で、ホームページカタログ作成できる。そして、商品や価格の変更、バーゲン対応なども、HTML言語を知らないユーザでも容易に更新できる。ショッピングカートとは、実際のスーパーマーケットでの買い物を意識した機能である。買い物客は、欲しい商品を選択後、ショッピングカートをクリックすることで、1商品ごとに注文画面にとんでしまうことなく、買い物を続けることができる。最後にカートの中身を確認して注文画面へ行く仕組みになっている。決済方法はクレジットカードだけでなく、CyberCash、FirstVirtual、OpenMarkets、CheckFreeのいずれにも対応している。

【iCAT社】 1993年に、シアトルに設立したソフトウェアベンダ。Web上のカタログソリューションソフト、イントラネットソフトが主力製品。主要な顧客と商品には、Bowing社のイントラネット、Ziff Davis社のトレーニング&サポートショップサイトなど多数。


4.その他の展示
■AMERITECH
OmniPresennce(ヴァーチャルPOP) DiaLinx(リモートアクセス)、
Web Advantage(ホスティング)
■UUNet
ExtraLink(エクストラネット)、ホスティングサービス、ファイヤーウォール
■PSINet
PSIIntraNet(イントラネット)、PSIWeb(EC)、
InternetPaper(インターネットFAX)
■Sun Microsystems
スマートカード仕様「Javaカード」
(グローバルシステム研究部長 平川 照英)
e-mail:hirakawa@icr.co.jp
(グローバルシステム研究部 原 美穂子)
e-mail:hara@icr.co.jp

(入稿:1997.8)

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