2017.8.31 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

欧州 (EC) の電子商取引市場の競争調査に透ける米国系OTT への対処のジレンマ

世界中でますます存在感が増大する米国系OTT

米国を中心とする大手OTT (Over the Top) 事業者の存在感が、ますます増大している。日経新聞は2017年6月2日付の記事「世界の株、時価総額最高 IT勢にマネー流入」において、時価総額の世界ランキングの上位5社をトップのApple(7,964億ドル)以下、Alphabet(Googleの持株会社)、Microsoft、Amazon、Facebookが独占したと報じた。同記事は世界の全産業の時価総額の合計を76.6兆ドル(約8,430兆円)と試算しているので、5社だけで全体の4%弱を占めたことになる。本稿執筆時点(8月7日)で、Appleの時価総額はさらに上昇して8,202億ドル(90.2兆円)となったが、日本最大の時価総額を誇るトヨタ自動車の数値(20.7兆円)と比べると、Appleの評価がいかに大きいかが分かる。

このような株価高騰に対して、メディアにもバブル崩壊の危険性を唱える声が存在する。例えば、Fortune誌は6月10日の記事 (“Why Tech Stocks Crashed Friday”) において、Goldman Sachsのチーフ・インベストメント・オフィサーが、上記5社の株価は2017年度のStandard & Poor’s 500銘柄の株価上昇総額の40%を占めており、株価急落の危険性を指摘していると伝えた。実際、記事タイトルのとおり、関連株価は6月9日の金曜日に一時的に低下したが、その後は短期間で復調した。また、同じ時期(6月7日)、The New York Times (NYT) 紙は“Five Big Tech Stocks Build Market Euphoria, and Jitters(「5大テック株が創出する市場の熱狂的陶酔と懸念」)”と題する記事において、投資家心理を「ゴールドラッシュ」と表現している。

しかし、2000年初頭にはじけて、世界の全体経済に大きなマイナス影響を与えたITテレコム・バブル (dot-com bubble) とは異なり、今回の企業群 (OTT) には市場における強固な成功と将来性の裏付けがあり、株価暴落の危険性は低いという反論も多く存在する。周知のとおり、米国系OTTのサービスの多くは2000年代から世界中で広く支持されており、欧州でも英独仏など大半の国で当該サービスの市場シェアの首位に君臨している。

続きはPDFにてご覧ください。
(こちらをクリックすると、すぐに閲覧できます)

 

情報通信総合研究所は、先端ICTに関する豊富な知見と課題解決力を活かし、次世代に求められる価値を協創していきます。

調査研究、委託調査等に関するご相談やICRのサービスに関するご質問などお気軽にお問い合わせください。

ICTに関わる調査研究のご依頼はこちら

関連キーワード

神野 新の記事

関連記事

InfoCom T&S World Trend Report 年月別レポート一覧

2024(27)
2023(91)
2022(84)
2021(82)
2020(65)
2019(70)
2018(58)
2017(32)
2016(26)
2015(26)

メンバーズレター

会員限定レポートの閲覧や、InfoComニューズレターの最新のレポート等を受け取れます。

メンバーズ登録(無料)

各種サービスへの問い合わせ

ICTに関わる調査研究のご依頼 研究員への執筆・講演のご依頼 InfoCom T&S World Trend Report

情報通信サービスの専門誌の無料サンプル、お見積り

InfoCom T&S World Data Book

グローバルICT市場の総合データ集の紹介資料ダウンロード