2017年11月30日掲載 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

ICT雑感:歩きスマホに思う その3



やっぱりと言おうか、ついにと言おうか、ハワイ州ホノルル市で罰則付きで歩きスマホを禁止する条例が制定されたそうである。

「道路横断時に歩きながら携帯電話やタブレット端末、携帯型ゲーム機などの画面を見ることなどを禁止。警官が見つけた場合、違反回数に応じて15~99ドルの罰金を科す。ただし、緊急通報や歩きながら通話することは禁じていない。」(産経ニュース, 2017年8月2日より引用)

確かに、画面を見ながら歩く人には、周囲が迷惑する。歩きスマホをしている人にぶつかられそうになったり、前をふさがれたりしてムカッ、イラッとしたことがある人も多いのではなかろうか。そしてまた、つまずいて転倒したり、ホームに転落したりなど歩きスマホは本人にとっても危険である。

さらに最近は「歩きスマホをする人のマナーを正すための注意喚起だ」と称して、自分の方から歩きスマホをしている人にぶつかるといった暴行や、故意にぶつかって自分のスマホを落として修理代を請求する「当たり屋」と呼ばれる犯罪も起こっているらしい。マナー違反が犯罪を招くという何とも言えない嫌な世の中である。

こうした流れの中での歩きスマホ禁止条例なのであろうと思うが、どうも違うのではないかと思ってしまう。周囲に迷惑を及ぼすことがあるとしても、その迷惑は罰則付きで禁じなければならないほどのものなのか。常識、道徳、マナーの範疇の問題ではないのか。本人の危険は本人が甘受すべきものであって、それを「お上」が禁止するのは大きなおせっかいではないのか。

もっとも、電話とたまのメールぐらいしか使わず(正確には、使えず)、せっかくのスマホが宝の持ち腐れとなっていて、豚児はもとよりたいして年の違わない愚妻からまで「歩く化石」と呼ばれているアナログ人間の筆者が言っても全く説得力はないかもしれないが。

ともあれ、政府や自治体が放置しておけなくなるより前に、スマホ使用のマナーが社会に定着し、周囲に迷惑をかける歩きスマホがなくなるように祈りたい。

関連して、先般の東京都議会で子供の受動喫煙を防ぐための条例が制定された。自宅、車の中など場所のいかんを問わず子供がいる空間では受動喫煙をさせないように努める義務を課すものである。

いかに「歩く化石」でも子供の受動喫煙をなくすという趣旨には大賛成である。しかし、この先はもう賢明な読者にはおわかりかと思うが、法が、言い方を替えれば権力が、私的な空間の在り方まで規制する、私的領域にまで踏み込んでくるということには違和感を覚える。すぐれてマナーの問題として、各人の自覚と啓発で処理すべきものではないだろうか。

いずれにしても、法令で禁止されたからというのではなく、法令以前の問題として、人に迷惑になるような場所での歩きスマホ、喫煙はしないようにしたいものである。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。

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