2010年2月19日
(株)情報通信総合研究所

10−12月期のICT生産、前年比でもプラスに
−外需と国内経済政策で堅調な回復続く−

 (株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:平田正之)は、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学篠崎彰彦教授監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」と題して四半期ごとに公表しております。10-12月期の実質GDPは前期比1.1%増、年率換算4.6%増と3四半期連続のプラス成長となる中で、2009年10-12月期のICT経済の状況がまとまりました。

 なお3 月上旬には詳細データとともに同経済報告を弊社Web サイト上で公開しますので、合わせてご利用ください(http://www.icr.co.jp/ICT/)。

図表入りの発表資料
A4縦・本文9頁・約536KB
press20100219.pdf

2009年第4四半期、足元のポイント

 2009年10-12月期のICT生産は、6四半期ぶりに前年比で増加に転じた。鉱工業生産全体が前年比マイナスにとどまる中、ICT生産が先行して回復している。ICTサービスも4四半期ぶりに前年比で増加、12月にはICT機械受注(民需)も増加に転じた。生産拡大が設備投資に波及しつつあり、設備投資全般が停滞を続ける中でICT経済は堅調な推移を見せている。

 背景にはアジア向け半導体等電子部品の輸出増加、エコポイント制度による持続的な液晶テレビ需要増加がある。ICT機械受注(民需)では半導体製造装置がけん引役である。

 一方、ICT投資は本格回復に至っていない。ソフトウェア投資(ICT関連サービスの受注ソフトウェア等)の減少が続き、ハードウェア投資(ICT機械受注(民需)の電子計算機受注)の減少幅は拡大している。
今後はICT投資が本格回復を見せるかが注目点。主な懸念点は政策効果の剥落である。

今回のポイント

  1. ICT生産は6四半期ぶり、輸出は8四半期ぶり、サービスは4四半期ぶりに前年比で増加に転じた(生産はプラス5.6%、輸出は0.5%、サービスは0.1%)。
  2. 輸出増は中国を中心としたアジア向け半導体が中心となっている。
  3. ICT機械受注(民需)は10−12月期に半導体製造装置が増加に転じた。一方で電子計算機は減少幅が拡大。加えてICT関連サービスの受注ソフトウエアの減少が続いている。
  4. ICT経済の今後を見通すと、過去の上昇トレンドからみて生産の回復余地はまだあるとみられる。今後の注目点は、生産回復が順調に続くのか又は政策効果の剥落によって停滞してしまうのかという点及びICT投資が下げ止まるのかという点である。

2009年10-12月期の動向

 図表は詳細版に掲載しております。press20100219.pdf

(ICT 関連生産)

  • ICT関連生産は6四半期ぶりに増加に転じた(10-12月期は前期比23.1ポイント改善し、前年同期比プラス5.6%、図表1)、全12品目中4品目で前年比増、8品目で減少幅縮小となった。
  • 鉱工業生産が80年代後半の水準にとどまる中で、ICT関連生産は2000年のITバブル期ピークを越える水準まで回復している(図表2)

(ICT関連在庫)

  • ICT関連在庫は、前期に回復局面に入っており、2009年10-12月期は生産が増加する局面に入った。鉱工業生産全体の在庫循環に先行している(図表3)

(ICT関連サービス)

  • ICT関連サービスは4四半期ぶりに増加に転じたが、増加幅は小さい(前期比2.9ポイント改善し、前年同期比プラス0.1%、図表1および図表5)。ただし、SI等ICT投資に関わる部分(受注ソフトウェア、システム等管理運営受託)は減少が続いている。

(ICT関連消費)

  • ICT関連消費は12四半期連続で増加を維持し(前年同期比1.6%、図表1)、移動電話通信料とインターネット接続料が引き続き増加に寄与した。

(ICT関連設備投資)

  • 民需は6四半期連続で減少したものの、減少幅は縮小した(前期比5.3ポイント改善し、前年同期比マイナス12.3%、図表1)。半導体輸出の増加をうけて、半導体製造装置が6四半期ぶりに増加に転じたことが背景にある。一方、電子計算機の減少幅は拡大を続けている。景気悪化に伴う全般的なコスト削減圧力と投資の対費用効果を求める企業行動が影響しており、景気回復がICT投資につながるという好循環にはなっていない(図表4)
  • 官公需は増減を繰り返しており、今期は増加となった。

(ICT関連輸出入)

  • ICT関連輸出は8四半期ぶりに増加、一方輸入は減少幅が縮小した(輸出は前期比27.4ポイント改善し、前年同期比プラス0.5%、輸入は前期比16.1ポイント改善し、前年同期比マイナス8.0%、図表1)。引き続き中国の内需刺激策等の影響により、中国を中心としたアジア向けの半導体等電子部品輸出が増加。電算機類や通信機の減少幅も縮小した。

まとめと今後の展望

  • 過去の上昇トレンド(前回の景気拡大が始まった時点2002年第1四半期からのトレンド)からみると、ICT関連生産の増加余地はまだあるとみられる(図表2)。生産回復が順調に続くのか又は政策効果の剥落によって停滞してしまうのかという点が、今後のICT経済の注目点である。
  • 生産増加の背景にあるICT関連輸出の回復は、中国の内需刺激策によるところが大きく、今後、欧米の景気が持ち直してくればさらに生産増加に寄与する。
  • 内需は、経済対策(エコポイント制度)によるデジタル家電(最終製品)や電子部品など関連部品需要増加の継続は期待できるが、需要の先食い的な側面が懸念される。
  • 一方、ICT関連サービスでは、ソフトウェア投資の低迷が継続しており、ここしばらくは力強い回復は期待できない見込みである。ICT関連サービスが本格的な増加基調となるのか、今後のICT経済動向において重要である。
  • ICT関連設備投資では、電子計算機の低迷は続くとしても、半導体の外需増加が続けば、半導体製造装置の増加は期待できる。
  • なお、ICT関連消費は安定しており、消費全体が弱含みとなる可能性が指摘されている中で、移動電話通信料とインターネット接続料を中心に底堅い動きを今後も示すと見られる。

〒103-0013東京都中央区日本橋人形町2-14-10 アーバンネット日本橋ビル
TEL 03-3663-7153/FAX 03-3663-7660
 株式会社情報通信総合研究所マーケティング・ソリューション研究グループ
経済分析チーム:主席研究員 野口正人、主任研究員 手嶋彩子、研究員 山本悠介、
研究員 山崎将太、研究員 久保田茂裕、研究員 新倉博明
監修 九州大学大学院経済学研究院教授 篠崎彰彦

※本稿の内容に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。


本リリースに関するお問合せ先
株式会社情報通信総合研究所
マーケティング・ソリューション研究グループ
担当:
Tel :03-3663-7153 Fax 03-3663-7660