2010年8月24日
(株)情報通信総合研究所

国内経済のキードライバーICT設備投資が好調
−今後は生産・消費面への波及に期待−

 (株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:平田正之)は、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学篠撫イ彦教授監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」と題して四半期ごとに公表しております。2010年4-6月期の実質GDPは前期比0.1%増、年率換算0.4%増と前期に比べ増加幅が縮小し、国内景気の減速懸念が高まる中、2010年4-6月期のICT経済の概況がまとまりました。

 なお9月初旬には詳細データとともに同経済報告を弊社Web サイト上で公開しますので、合わせてご利用ください(http://www.icr.co.jp/ICT/)。

図表入りの発表資料
A4縦・8頁・約492KB
press20100824.pdf

2010年4-6月期、足元のポイント

 民間ICT部門の設備投資動向を示すICT機械受注に力強さが戻ってきた。ICT機械受注は、過去2四半期連続で増加してきたが、今期は前年同期比6.7%となり好調である。

これはICT機械受注の主なけん引役である半導体製造装置が引き続き好調だったことに加え、今期は一部企業の収益が改善されつつあることを受け、企業内の情報化投資が徐々に回復し、電子計算機や通信機(除く携帯電話)が増加に転じたためだ。また、足元ではクラウド・コンピューティングやグリーンICT対応の新たな投資が動き始めていることから、今後、ICT投資がさらに加速する可能性もある。

今期の機械受注統計(除く船舶、電力、携帯電話)は前年同期比7.9%と2四半期連続で増加したが、それに対するICT機械受注の寄与度は3.3%とその約4割を占め、経済全体の投資動向に大きなインパクトを持つキードライバーとなっている。

消費面に目を向けると、スマートフォン(高機能携帯電話機)や米アップル製iPadのようなタブレット型端末等の新型ICT機器への旺盛な需要は、国内全体の消費が落ち込む中にあって明るい材料だ。今後、これら新型端末を使ったアプリケーションやコンテンツなどのサービス供給が増えれば、機器部門とサービス部門との間に好循環構造が生まれるとともに、ICT投資活動の一層の活性化や、それに起因する消費や生産活動への波及効果も期待できる。

国内景気の減速が懸念される中にあって、民間ICT投資の回復の好調さは明るい材料といえそうだ。

今回のポイント

  1. ICT機械受注(民需、除く電力、携帯電話)は2四半期連続で増加した。半導体製造装置が3四半期連続で増加。電子計算機、通信機(除く携帯電話)が増加に転じた。
  2. ICTサービスは増加幅が拡大。要因は受注ソフトウェアの減少幅の縮小。
  3. ICT生産、輸出は3四半期連続で増加し、順調に回復(生産は29.1%、輸出は20.8%)。

2010年4-6月期の動向

 図表は詳細版に掲載しております。press20100824.pdf

(ICT 関連生産)

  • ICT関連生産は3四半期連続で増加した(4-6月期は前期比22.1ポイント低下し、前年同期比プラス29.1%、図表1、図表4)。全12品目中11品目で前年比増、前期から1品目減少となった。

(ICT関連在庫)

  • ICT関連在庫は、2四半期連続で在庫積み増し局面に位置しており、4-6月期は前期比20ポイント上昇し、前年同期比23.8%となった(図表2)。

(ICT関連サービス)

  • ICT関連サービスは増加した(前期比1.2ポイント上昇し、前年同期比1.3%、図表1、図表4)。移動電気通信業、インターネット付随サービス業が増加した他、受注ソフトウェア、システム等管理運営受託の減少幅が縮小したことがプラスに寄与。一方、ソフトウェアプロダクトは減少に転じた。

(ICT関連消費)

  • ICT関連消費は14四半期連続で増加を維持し(前期比3.5ポイント低下し、前年同期比1.4%、図表1)、移動電話通信料とインターネット接続料が引き続き増加に寄与した。

(ICT関連設備投資(機械受注))

  • 民需(除く電力、携帯電話)は2四半期連続で、増加した(前期比5.8ポイント増加し、前年同期比6.7%、図表1)。半導体生産の増加をうけて、半導体製造装置が3四半期連続で増加し、電子計算機と通信機(除く携帯電話)が増加に転じた(図表3)。電子計算機と通信機(除く携帯電話)の増加は、クラウド・コンピューティングやグリーンICT対応投資が影響したものと推察される。
  • 官公需は減少に転じた。

(ICT関連輸出入)

  • ICT関連輸出は3四半期連続で増加。輸入は2四半期連続で増加した(輸出は前期比29.9ポイント低下し、前年同期比プラス20.8%。輸入は前期比6.0ポイント低下し、前年同期比プラス22.0%、図表1)。引き続き、中国など新興国のデジタル家電需要や世界のスマートフォン含めた携帯電話需要の増加等の影響により、中国を中心としたアジア向けの半導体等電子部品輸出が増加した。

今後の展望

  • 今後の成長のエンジンとして注目されるICT投資の好調さは、リーマンショック以降の下降局面からの回復に、足元でクラウド・コンピューティングやグリーンICTなどの新規の設備投資が加わったことが背景にある。さらに新規分野に対する投資が新たなサービス需要を生み出し、機器部門とサービス部門との間に好循環構造が生まれるのか、設備投資を起点とした生産や消費への波及は今後のICT経済の動向を見る上で重要である。
  • 一方、消費活動の中でICTの利用を起点とした動向も注目される。ソーシャルゲーム等のコンテンツ市場やEコマース市場に見られる消費面でのICT化は、それを利用するために携帯電話やインターネット接続サービスの利用を増やすであろう。つまりICT関連消費の中でも、移動電話通信料とインターネット接続料は、その利活用が活発化していくことから、従来の底堅い推移から今後は上向く可能性が十分考えられるような状況になってきたと見られる。
  • ICT生産増加の背景にあるICT輸出の回復の今後については、中国の動向が注目されるが、世界のパソコンや携帯電話(含スマートフォン)、タブレット型端末の需要は拡大するとみられ、期待できる。
  • 以上より国内経済におけるICT経済は景気けん引役としてこの先大いに期待できる。

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 株式会社情報通信総合研究所マーケティング・ソリューション研究グループ
経済分析チーム:経済分析チーム:主席研究員 野口正人
主任研究員 手嶋彩子、副主任研究員 山本悠介
研究員 佐藤泰基、研究員 山崎将太、研究員 久保田茂裕
監修 九州大学大学院経済学研究院教授 篠崎彰彦

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