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2014年12月3日

ICT経済、5四半期ぶりにマイナス成長へ
-パソコンOS更新需要等の特需の反動減が長引く-

(株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:浮田豊明)は、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学教授篠﨑彰彦氏、神奈川大学教授飯塚信夫氏監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」として四半期ごとに公表しております。本日、ICT経済概況について2014年7-9月期がまとまりましたのでご報告いたします。

なお、本リリースの詳細版は弊社Webサイト「ICT経済報告」(http://www.icr.co.jp/ICT/)上で、近日中に公開予定です。

<ICT経済概況と見通し>

2014年7‐9月期のICT経済は、前年同期比マイナス1.6%と5四半期ぶりにマイナス成長となった。ICT財は、WindowsXPサポート終了に伴う買い替え需要の反動減を背景としたパソコン生産の減少により、またICTサービスは、ゲームなどのソフトウェアプロダクトや法人向け情報サービスの減少によりマイナスとなった。

一方、月次動向を確認すると回復の兆しが伺える。9月のICT財は3ヵ月ぶりに増加に転じ、ICT輸出、ICT設備投資も増加している。

ICT経済(ICT関連財・サービス)の推移(対前年同期比)

【図表】ICT経済(ICT関連財・サービス)の推移(対前年同期比)

需要項目別にみると以下の通りである。

ICT設備投資(民需)は2四半期連続で減少した。電子計算機が最大の減少要因となった。企業の情報化投資の意欲は堅調であり需要は高まっているが、WindowsXPのサポート終了に伴う駆け込み需要の反動減の影響が残っていると考えられる。通信機は通信業向けの前年の受注増の反動減が響き減少が継続した。半導体製造装置は減少幅がほぼ横ばいとなったが、スマートフォン向け部材需要の高まりを受けて回復に向かうものと考えられる。

ICT消費は前期と同水準の増加幅を維持し、7四半期連続でプラスとなった。移動電話使用料がスマートフォンユーザの拡大とそれに伴うデータ通信料等の増加を背景に7四半期連続増加となったが、消費税増税分にともなう価格上昇を差し引いて考えると前年同期比マイナスである。パソコンはXPサポート終了前の更新需要や消費税増税前の駆け込み需要の反動減で減少に転じた。

ICT輸出は金額ベースで7四半期連続、数量ベースで3四半期連続増加したが、増勢が徐々に戻ってきている。ICT輸入は、金額ベース、数量ベースともにマイナスとなった。

月次ベースでみると(図表11)、ICT経済は8月で底を打ち9月以降、回復基調となりつつあるようだ。9月の状況は、ICT財生産が前年同月比1.1%と増加に転じ(10月速報値では同2.1%増)、ICTサービスが同マイナス0.3%と減少幅が縮小した。需要面では、ICT設備投資(民需)が同3.2%と増加に転じ、ICT消費は同2.7%で増加を維持した。ICT輸出はスマートフォン向け部材需要の高まりを受けて、金額ベースで同6.1%、数量ベースで同2.9%と増加幅が拡大している(10月は金額ベースで同11.3%増、数量ベースで4.8%増)。また、ICT輸入は金額ベースで同6.7%、数量ベースで同3.8%と、iPhone6の発売を受けて好調となった(10月は金額ベースで同13.4%増、数量ベースで2.5%増)。

2014年10-12月以降については、企業の設備投資計画は堅調であり、ICTサービスやICT設備投資が回復に転じることが期待されるが、情報サービス業の人手不足などの供給制約が懸念事項である。ICT消費はスマートフォンを中心とした移動電話サービスやeコマースの普及が今後も続くと考えられ、引き続きプラスを維持するであろう。外需は、各国地域の景気動向が気になるところだが、中国等におけるスマートフォン需要を中心に対アジア向けの電子部品需要は増加基調にあり、ICT財生産の本格回復につながることが期待される。

【2014年7-9月期のポイント】

<ICT経済総合>

  1. 国内ICT経済は5四半期ぶりに減少に転じた。

<供給サイド>

  1. ICT財は5四半期ぶりに減少に転じた。
  2. ICTサービスは7四半期ぶりに減少に転じた。

<需要サイド>

  1. ICT設備投資は民需が2四半期連続で減少した。
  2. ICT消費は7四半期連続で増加した。
  3. ICT輸出は7四半期連続で増加し、ICT輸入は12四半期ぶりに減少に転じた(金額ベース)。

【2014年7-9月期の動向(項目別)】

(ICT経済総合)

  • 今期国内ICT経済は前年同期比-1.6%と5四半期ぶりに減少。前期に比べて2.2ポイント減少した(図表1、3)。

(ICT財)

  • ICT財は前年同期比マイナス3.2%と5四半期ぶりに減少した(図表3、4)。
  • 電子計算機は減少に転じ、半導体製造装置や電子部品の増勢が鈍化した。一方、集積回路は増加に転じた。

(ICT在庫)

  • ICT在庫は前年同期比3.1%と増加幅が拡大した(図表5)。
  • 民生用電子機械は増加に転じ、集積回路の減少幅が縮小した。

(ICTサービス)

  • ICTサービスは前年同期比マイナス0.9%と7四半期ぶりに減少に転じた(図表3、6)。
  • 受注ソフトウェアやゲーム等のソフトウェアプロダクトは減少に転じた。一方、eコマースサイト運営、コンテンツ配信、ハウジング・ホスティング等のインターネット付随サービス業は前期に引き続き増加を維持した。

(ICT設備投資)

  • 民需(除く電力、携帯電話)は前年同期比マイナス6.3%と2四半期連続で減少した(図表3、7)。
  • 全品目(電子計算機、通信機、半導体製造装置)で減少し、電子計算機は減少幅が拡大し、最大の減少要因となった。
  • 官公需は前年同期比マイナス24.3%と減少に転じた(図表3)。

(ICT消費)

  • ICT消費は前年同期比1.8%と7四半期連続で増加した(図表3、8)。
  • パソコンは減少に転じたが、テレビと移動電話機は減少幅が縮小した(図表8)。

(ICT輸出入)

  • ICT輸出は前年同期比2.7%と7四半期連続で増加し、プラス幅が拡大した(図表3、9、11)。数量ベースでは3四半期連続で増加した。
  • ICT輸入は12四半期ぶりに減少した。電算機類(含周辺機器)は減少に転じた上、電算機類の部分品は減少幅が拡大した(図表3、10)。

<会社概要>

社名 株式会社情報通信総合研究所(www.icr.co.jp)  1985年6月設立。情報通信専門のシンクタンクとして、情報通信分野の専門的調査研究、コンサルティング、マーケティング、地域情報化にかかわる調査・提案などのビジネスを展開するとともに、これらに関するノウハウ・データを蓄積してきた。近年は、ICTの急激な進展に伴い、研究分野をさらに拡大することでICTが経済社会にもたらす変化を定量的に把握する手法を開発するなど、広く社会の発展に寄与する情報発信・提言を行う最先端のシンクタンクとして事業を展開している。

〒103-0013東京都中央区日本橋人形町2-14-10
アーバンネット日本橋ビル

TEL 03-3663-7153/FAX 03-3663-7660

株式会社情報通信総合研究所
マーケティング・ソリューション研究グループ 経済分析チーム

主席研究員:野口正人
主任研究員:手嶋彩子
副主任研究員:山本悠介
研究員:佐藤泰基、久保田茂裕、鷲尾哲

監修
九州大学大学院経済学研究院教授 篠﨑彰彦
神奈川大学経済学部教授 飯塚信夫