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2015年3月5日

10-12月期のICT経済、プラス成長が鮮明に
-スマートフォンや車載向け部材需要の増加とネット関連ビジネスが好調維持-

(株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:浮田豊明)は、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学教授篠﨑彰彦氏、神奈川大学教授飯塚信夫氏監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」として四半期ごとに公表しております。本日、ICT経済概況について2014年10-12月期がまとまりましたのでご報告いたします。

なお、本リリースの詳細版は弊社Webサイト「ICT経済報告」(http://www.icr.co.jp/ICT/)上で、近日中に公開予定です。

<ICT経済概況と見通し>

2014年10‐12月期のICT経済は、前年同期比1.2%と2四半期ぶりにプラスに転じた(左グラフ)。財、サービスともにプラスとなった。ICT財は、Windows XPサポート終了に伴う買い替え需要の反動減を背景としてパソコン生産の減少が継続しているが、国内外のスマートフォン向けの部材需要が高まっている。ICTサービスは、eコマースなどネット関連ビジネスの好調が続いた。

なお、こうした前年同期比ベースの動きは、前年のWindows XP更新需要や消費税増税前の駆け込み需要の影響を含んでいる。そこで、季節調整値を確認すると、駆け込み需要の反動が現れた14年4-6月期以降に回復が続き、10-12月期には財・サービスともにはっきりとしたプラスになったことが確認できる(右グラフ、注1)。

【図表】ICT経済(ICT関連財・サービス)の推移

【図表】ICT経済の推移

2014年10-12月期の実質GDP成長率は3四半期ぶりのプラス(前期比0.6%)となったが、その回復は力強さを欠くと評価されている。こうした経済全体の動きに比べてICT経済は回復が鮮明である。
需要項目別の前年同期比の動きは以下の通りである。

ICT設備投資(民需)は3四半期連続で減少した。通信業向けを中心に通信機、電子計算機の減少幅が拡大した。明るい動きとしては、電子計算機は、ネットビジネス関連の好調さから情報サービス業向けの受注が前年比で増加している。また半導体製造装置はスマートフォンや車載向け部材需要の高まりを受けて増加に転じた。このように設備投資(民需)は来期にかけて改善の動きがいくつか出てきている。

ICT消費は8四半期連続でプラスとなったが増加幅は縮小した。パソコンがXPサポート終了前の更新需要や消費税増税前の駆け込み需要の反動減で減少が継続している。移動電話使用料がスマートフォンユーザの拡大とそれに伴うデータ通信料等の増加を背景に8四半期連続増加となったが、消費税増税分にともなう価格上昇の影響を差し引いて考える必要がある。

ICT輸出は金額ベースで8四半期連続、数量ベースで4四半期連続増加し、円高是正の影響もあり増勢が加速した。ICT経済は、輸出が1月も引き続き好調であり、国内の財生産をけん引するという形がより鮮明になってきた。ICT輸入は金額ベースではプラスとなったが、数量ベースではマイナスとなった。前年10-12月期のパソコン駆け込み需要の反動減の影響が含まれるが、内需の弱さが出ている。

2015年度については企業の設備投資計画、特にソフトウェア投資計画は先行き明るく、情報化投資は堅調を推移することが期待される。ICT消費はスマートフォンを中心とした移動電話サービスやeコマース等ネット関連ビジネスの浸透が今後も続くと考えられ、引き続きプラスを維持するであろう。外需は、海外景気の下振れがリスク要因となる可能性があるものの、中国等におけるスマートフォンを中心に対アジア向けの電子部品需要は増加基調にあり、ICT財生産の本格回復を引き続き牽引するであろう。

なお、本資料の12P以降では、内生変数75、外生変数73から成る小型のマクロ計量モデルを使い、2017年度までの日本経済の予測とICT投資が加速した際に日本経済に与える影響を分析した結果を掲載している。ミクロレベルのアンケート調査に基づき、ICT化に伴う企業改革が進展すると仮定すれば、ICT投資増加額は1.95倍となり、実質GDPを0.08%ポイント押し上げるとの結果が得られた。

注1:原数値の対前年同月比での分析を補うため今回よりの季節調整値を参考値として掲載することとした。ここで使用した季節調整方法はX-12ARIMAのX-11デフォルトである。統計ソフトはEViews(Ver. 7.2)を用いた。

図表等入りの配布資料 目次

  • ICT経済概況と見通し
  • 2014年10-12月期のポイント
    • ICT経済総合
    • 供給サイド
    • 需要サイド
  • 2014年10-12月期の動向(項目別)
    • ICT経済総合
    • ICT財
    • ICT在庫
    • ICTサービス
    • ICT設備投資
    • ICT消費
    • ICT輸出入
  • 今後の展望
  • 各種図表(図表1〜11)
  • 参考 ICT関連経済指標に採用した項目
  • 【付録】日本経済見通しとICT投資加速シミュレーション分析

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株式会社情報通信総合研究所
マーケティング・ソリューション研究グループ 経済分析チーム

主席研究員:野口正人
主任研究員:手嶋彩子
副主任研究員:山本悠介
研究員:佐藤泰基、久保田茂裕、鷲尾哲

監修
九州大学大学院経済学研究院教授 篠﨑彰彦
神奈川大学経済学部教授 飯塚信夫