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2015年6月3日

ICT経済、2期連続でプラス成長
-好調な情報サービス業と、スマートフォンや車載向け部材需要の増加が寄与-

(株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:浮田豊明)は、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学教授篠﨑彰彦氏、神奈川大学教授飯塚信夫氏監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」として四半期ごとに公表しております。本日、ICT経済概況について2015年1-3月期がまとまりましたのでご報告いたします。

なお、本リリースの詳細版は弊社Webサイト「ICT経済報告」(http://www.icr.co.jp/ICT/)上で、近日中に公開予定です。

また、来る6月23日(火)には、ICT経済戦略セミナー「探していた地方創生のヒントがここにある!総合戦略策定における産業分析の重要性」と題し、「地方版総合戦略の課題-地域産業分析の必要性-」及び「地方創生に向けた産業育成効果分析の実際-ICT産業を例に-」についてお伝えします。

詳しくはセミナー情報をご覧ください(詳細はこちら)

<ICT経済概況と見通し>

2015年1‐3月期のICT経済は、前年同期比2.1%と2四半期連続で増加した。財、サービスともに増加幅を拡大させている。とりわけ、サービスがICT経済を牽引している。ICTサービスは、スマートフォン(スマホ)向けのコンテンツ課金などネット関連ビジネスが好調に推移しているのに加え、金融業、官公庁を中心に受注ソフトウェアが増加した。ICT財は、国内外のスマートフォン向けや車載向けの部材需要が好調を維持していることが背景にある。

ICT関連財・サービス総合指標の推移

ICT関連財・サービス総合指標の推移

1年前の1-3月期は消費税増税前の駆け込み需要、Windows XP更新需要が大きく膨らんだため、財・サービスの生産全体(鉱工業生産指数、第三次産業活動指数)はともに前年同期比で減少している。そうした中でICT財がプラスを維持し、ICTサービスの増加幅は前期より拡大した。季節調整値(試算値)を確認するとICT財は前期比2.6%、ICTサービスは0.7%であり、10-12月期から伸びが減速しているがプラスを維持しており、ICT経済は底堅く推移している。

需要項目別の前年同期比の動きは以下の通りである。
  ICT設備投資(民需)は4四半期ぶりに増加した。電子計算機は、金融業向けは下げ止まり、情報サービス業、卸・小売業向けの受注が増加に転じた。半導体製造装置はスマートフォンや車載向け部材需要の高まりを受けて2四半期連続で増加した。一方、通信機は全体としては減少しているものの通信業や情報サービス業向けは増加に転じた。ICT設備投資(民需)は総じて復調してきている。

ICT消費は統計変更により状況が判断しづらくなっているが、パソコンが回復しておらず、全体としては必ずしも良くないと推測される。個別品目に注目すると、スマートフォン等移動電話端末、インターネット接続料は増加したものの、これまでけん引してきた移動電話使用料は減少した。移動電話通話料の減少は定額通話料等の新料金プラン導入の影響と考えられる。

ICT輸出は金額ベースで、9四半期連続で増加したものの、数量ベースでは5四半期ぶりに減少した。ICT輸入は金額ベースで減少に転じ、数量ベースでは3四半期連続でマイナスとなった。前年1-3月期のパソコン駆け込み需要の反動減の影響が含まれている。数量ベースでマイナスとなった輸出の今後は要注意だ。

2015年度上期については好調な企業業績や、マイナンバー制度への対応などにより、情報化投資は堅調に推移することが期待される。ICT消費は新料金プランの影響がどの程度長引くか、あるいは新料金プランの浸透により新たな需要が生まれるか注目される。ICT輸出は金額ベースのプラスが続く中、今期の数量ベースのマイナスがどうなるかが焦点だ。輸出の動向次第では、ICT財の生産面への影響が出てくることも想定しておく必要がある。ICTサービスは堅調に推移するとみられる。

 

【2015年1-3月期のポイント】

<ICT経済総合>

  1. 国内ICT経済は2四半期連続で増加した。

<供給サイド>

  1. ICT財は2四半期連続で増加した。

  2. ICTサービスは2四半期連続で増加した。    

<需要サイド>

  1. ICT設備投資は民需が4四半期ぶりに増加に転じた。

  2. ICT消費は9四半期連続で増加した。

  3. ICT輸出は9四半期連続で増加し、ICT輸入は減少に転じた(金額ベース)。

【2015年1-3月期の動向(項目別)】

(ICT経済総合)

  • 今期国内ICT経済は前年同期比2.1%と2四半期連続で増加した。前期に比べて0.3ポイント増加した(図表1、3)。

(ICT財)

  • ICT財は前年同期比2.5%と2四半期連続で増加した(図表3、4)。
  • 電子部品の増加幅が拡大した。一方、電子計算機は減少幅が拡大した。

(ICT在庫)

  • ICT在庫は前年同期比7.9%と増加幅が拡大した(図表5)。
  • 電子部品の増加幅が拡大し、最大の増加要因となった。

(ICTサービス)

  • ICTサービスは前年同期比2.0%と2四半期連続で増加した(図表3、6)。
  • 移動電気通信業、eコマースサイト運営、コンテンツ配信、ハウジング・ホスティング等のインターネット付随サービス業は増加幅が拡大した。受注ソフトウェアは増加に転じた。

(ICT設備投資)

  • 民需(除く電力、携帯電話)は前年同期比0.1%と4四半期ぶりに増加した(図表3、7)。
  • 半導体製造装置の増加幅が拡大し、電子計算機は増加に転じた。通信機(除携帯電話)は減少幅が縮小した。
  • 官公需は前年同期比13.3%と3四半期ぶりに増加に転じた(図表3)。

(ICT消費)

  • ICT消費は前年同期比1.3%と9四半期連続で増加した(図表3、7)。
  • スマートフォンなどモバイル端末機器は増加幅が拡大したが、移動電話通信料は減少に転じた(図表8)。

(ICT輸出入)

  • ICT輸出(金額ベース)は前年同期比12.0%と9四半期連続で増加した(図表3、9、11)。数量ベースでは5四半期ぶりに減少した。
  • ICT輸入(金額ベース)は減少に転じた。通信機、電算機類(含周辺機器)は減少に転じ、半導体等電子部品は増加幅が縮小した(図表3、10)。

<会社概要>

社名 株式会社情報通信総合研究所(www.icr.co.jp)  1985年6月設立。情報通信専門のシンクタンクとして、情報通信分野の専門的調査研究、コンサルティング、マーケティング、地域情報化にかかわる調査・提案などのビジネスを展開するとともに、これらに関するノウハウ・データを蓄積してきた。近年は、ICTの急激な進展に伴い、研究分野をさらに拡大することでICTが経済社会にもたらす変化を定量的に把握する手法を開発するなど、広く社会の発展に寄与する情報発信・提言を行う最先端のシンクタンクとして事業を展開している。

〒103-0013東京都中央区日本橋人形町2-14-10
アーバンネット日本橋ビル

TEL 03-3663-7153/FAX 03-3663-7660

株式会社情報通信総合研究所
マーケティング・ソリューション研究グループ 経済分析チーム

主席研究員:野口正人
主任研究員:手嶋彩子
副主任研究員:山本悠介
研究員:佐藤泰基、久保田茂裕、鷲尾哲

監修
九州大学大学院経済学研究院教授 篠﨑彰彦
神奈川大学経済学部教授 飯塚信夫