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2016年12月15日

ICT財生産は4四半期ぶりに増加
-ICT経済、2四半期連続でプラス成長-

(株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:眞藤 務)は、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学篠﨑彰彦氏、神奈川大学飯塚信夫氏監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」として四半期ごとに公表しております。本日、ICT経済概況について2016年7-9月期がまとまりましたのでご報告いたします。

なおICT経済報告は弊社Webサイト「ICT経済報告」(http://www.icr.co.jp/ICT/)上で詳細版を近日中に公開予定です。

<ICT経済概況と見通し>

2016年7‐9月期のICT経済は、前年同期比1.8%増と2四半期連続でプラス成長となった(前期比で0.9%増)。ICTサービスの好調が続く中、ICT財生産が4四半期ぶりに増加に転じた。ICT財生産の内訳をみると、半導体・フラットパネル製造装置の増加幅が拡大し、電子部品と集積回路の減少幅も縮小した。中国を中心に新興国でのスマートフォン(スマホ)の需要が拡大している。ICTサービスのプラス要因としては、移動電気通信業が引き続き堅調な上、民間放送業が好調であった。

【図表】ICT関連財・サービス総合指標の推移

需要面を確認すると、ICT輸出が数量ベースで7四半期ぶりに増加に転じた。サービスを中心にICT消費も拡大を続けている。一方、設備投資の先行指標となるICT機械受注は引き続きマイナスであったが、いくつか明るい兆しがみられる。まずは通信機(携帯電話端末を除く)が10四半期ぶりに増加に転じたことだ。設備投資を抑制傾向の通信キャリアであるが、ネットワーク高度化に対応する基地局等への設備投資は新たに行っている。

また電子計算機、半導体製造装置の減少幅が縮小した。電子計算機は、卸・小売業、情報サービス業で増加に転じ、電気機械製造業の減少幅が大幅に縮小した。一方、金融・保険業が改善しなかったことで増加に転じるまでには至らなかった。半導体製造装置は半導体メーカーの減少幅が縮小したことが大きい。これは、中国製スマホが高性能化してきていること、中国及び周辺の新興国でスマホの普及に勢いがでてきていることが背景にある。スマホの普及はデータ量を増やし、それがデータセンターの増設につながるなど各種通信機器・設備の需要増となり、設備投資の回復をもたらしつつある。

【図表】機械受注に占めるICT関連機種の寄与度

来期、ICT財生産は、中国製スマホの台頭により半導体製造装置等を中心に好調を維持する見込みだ。半導体製造装置は、中国メーカーの増産を受け設備投資が積極化していると見え、BBレシオがこの半年で1を下回ったのは9月期の1度だけだ。

来年以降の注目点として、通信機に関しては、ケーブルテレビ事業者の設備更改やモバイルのデータトラヒック増に対応したネットワーク増強のための設備投資が見込める。電子部品については、IoT向けのセンサーやIoTの普及を背景にデータセンター向けフラッシュメモリや3次元技術を採用した次世代半導体の需要増が期待される。

2020年に向けては、Wi-Fi関連の設備投資や4Kコンテンツの配信に向けた設備投資なども期待され、長らく低迷していた通信機であるが、通信インフラを中心に回復に向けた動向が注目される。

【今後の展望】

  • ICT財生産が今期プラスに転じたのは、ICT輸出が数量ベースで増加に転じたことが大きい。この動きは、中国およびその周辺国におけるスマホ需要にけん引された半導体フラットパネルや電子部品等が伸びたためであり、来期以降の動静はそれら国々のスマホ需要如何にかかわる。中国メーカーの勢いを考えると、短期的にはこの動きが続くのではないかと予想される。またパソコンは法人向けの需要が回復しており生産増をもたらしている。主力OSのWindows7の最終需要を取り込んだためである。ICT関連の在庫循環は、在庫の減少幅が縮小し、生産は増加に転じており、在庫調整が進展しており、この点に関しても来期以降さらに好転するか注目される。中長期的にはIoT向けの電子部品需要が牽引することが予想される。
  • ICTサービスについては、タブレット、スマホ等モバイル端末やクラウドサービスの活用の進展に加え、セキュリティ、災害、内部統制などリスク対策としてICT利活用が引き続き進展する見込みだ。足元では移動電気通信業と民間放送業が好調であり、今後の動向が注目される。消費者向けでは、eコマース等の生活系ICTサービスの浸透は継続しており、それに関連する情報サービス業は堅調に推移するであろう。
  • ICT設備投資は電子計算機、半導体製造装置は下げ止まり、通信機の受注は増加に転じた。今後は、国内のモバイルトラヒックの増加や、人手不足の解決など課題解決に向けた情報化投資(IoT活用による生産性・効率性向上、接客、受付やコールセンターにおけるロボット活用等)が国内外のデータセンターの新設・増設につながり、電子計算機、半導体製造装置の需要増をもたらすことが期待される。
  • ICT消費は、今後も移動電話通信料が増加が期待される。背景には、MVNOの認知度の高まりを背景に、eコマースのポイント連携や通信料の安さ等に魅力を感じ、フィーチャーフォンユーザの格安スマホへの乗り換えが本格化してくることが予想される。乗り換え後は数千円の支出増となり移動電話通信料にプラスに寄与する。一方、通信キャリアのスマホユーザがMVNOや通信キャリアの第2ブランドのサービス(ワイモバイルやUQモバイル)に乗り換えると、通信利用料の低下により、マイナスの影響をもたらす。この動きは今後もしばらく続くものと考えられ、その影響を注視する必要がある。
  • ICT輸出は、数量ベースで7四半期ぶりに増加に転じた。中国製スマホの伸張がiPhone等の落ち込みをカバーしている。中国製スマホの伸びは、中国国内の需要とインドなど周辺国への輸出の増加が背景にある。この動きが今後のICT輸出の動向を左右する。足元では、電子部品デバイスの国内の生産予測指数は増加しており、新興国向けや車載向け需要の高まりにより、高機能を強みにする国内メーカーの電子部品の需要の動向が期待される。

<会社概要>

社名 株式会社情報通信総合研究所(www.icr.co.jp)  1985年6月設立。情報通信専門のシンクタンクとして、情報通信分野の専門的調査研究、コンサルティング、マーケティング、地域情報化にかかわる調査・提案などのビジネスを展開するとともに、これらに関するノウハウ・データを蓄積してきた。近年は、ICTの急激な進展に伴い、研究分野をさらに拡大することでICTが経済社会にもたらす変化を定量的に把握する手法を開発するなど、広く社会の発展に寄与する情報発信・提言を行う最先端のシンクタンクとして事業を展開している。

〒103-0013東京都中央区日本橋人形町2-14-10
アーバンネット日本橋ビル

TEL 03-3663-7153/FAX 03-3663-7660

株式会社情報通信総合研究所
ICT経済分析チーム

主席研究員:野口正人
主任研究員:手嶋彩子、山本悠介
研究員:佐藤泰基、久保田茂裕、鷲尾哲

監修
九州大学大学院経済学研究院教授 篠﨑彰彦
神奈川大学経済学部教授 飯塚信夫