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全国各地で市町村合併論議が行われているが、市町村合併に伴って発生する情報システム統合の検討は、各市町村の電算担当者にとって、頭の痛いテーマとなっている。
本稿は、(財)地方自治情報センター(LASDEC)による「市町村合併に伴う情報システムの在り方に関する調査研究」の策定に携わり、各地のシステム統合検討のコンサルティングも実施している筆者が、各市町村の電算担当者がシステム統合作業にあたって直面する苦悩を明らかにしながら、情報システム統合の現場をまとめたものである。
1-1.市町村合併の動向
(1)平成の大合併のピーク
厳しい財政状況や少子高齢化対策、電子自治体の推進など、全国の市町村を取り巻く環境は非常に厳しく、市町村合併を検討する団体が増えている。
「市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)」では、地方交付税の算定額の特例や地方債の特例、議会の議員の定数・在任に関する特例など、市町村合併を促進するための「アメ」が用意されている。財政難や地域課題の多様化により周辺地域との合併を検討する団体にとっては、『背中を押す』判断材料であると言えるだろう。この特例法の期限である平成17年度末(注:2004年当時)は、まさに平成の大合併のピーク時期であり、合併に向けた協議が大詰めに入っている多くの団体において、新市・新町発足という新たな歴史の出発点となるのである。
それはまた、全国の合併協議団体における電算担当者および彼らを支えるシステム・ベンダーにとっては、緊張の中で迎える歴史的な時期であると言える。
(2)システム統合作業が困難・負担大と言われる所以
合併にあたって、各市町村は「庁舎をどうするか」、「新市町の名称をどうするか」、「住民サービスの格差をどうするか」といった様々な調整項目に直面する。当然、これらの項目は重要な検討事項であるが、多くの電算担当者を悩ませているのは、『情報システムの統合作業』である。
役所の情報システムは、住民基本台帳をベースとして、税金収納・滞納、福祉資格、選挙権、就学情報、上下水道料金計算など、様々な業務分野において利用されている。これらは、通常の業務の中で各職員や住民に意識されることはほとんどない。しかし、幅広い分野において利用されているがゆえに、障害が起これば与える影響は甚大なものとなる。
平成14年4月、みずほ銀行において旧3行のシステム統合がうまく行かず、顧客のみならず社会全体に大きなインパクトを与えたことも、市町村の電算担当者の危機意識を強めたと言って良い。分野は違えど、同様のことが合併日に起こったら役所中が大変なことになると考えても不思議ではないだろう。
では、なぜ市町村の情報システム統合が大変だと言われるのであろうか。この点については、先述のように失敗が許されないという大前提のもとで話を進めなければならない。そのような前提のもと、ほとんどの市町村の電算担当者にとっては、システム統合は初めての経験である。特に情報システムが市町村の業務に広くかつ深く浸透したのはここ数年のことであるから、参考にすべき事例も少ない。余談であるが、既に合併を済ませた団体には、今後合併を控えている団体からの視察の問合せが殺到し、数ヶ月待ちとなっているところもある。
また、情報システムを統合するには、様々な分野のシステムをそれぞれに統合するにあたっての基本的な考え方や、個々の統合方法(旧A市のシステムにB町のデータを統合する・・など)を決めて作業にあたらなければならない。しかし、こうした方針を決めるにあたって、数々の難関が待ち受けている。
電算担当者は、限られた時間の中で課題を一つひとつ解決しながら、無事に合併日を迎えなければならないのである。その作業は、誰にでもできるというものではなく、膨大な作業量の中で、適確な判断力や行動力が求められるのである。
(3)システム統合は内憂外患の連続
合併を控える市町村の電算担当者は、LASDECによる「情報システム統合マニュアル」の記述を自らにあてはめ、先進地域の事例で活用できるものを取捨選択しながら見落としのない作業が可能である。
しかし、マニュアルというものは、その性格上、全ての事象にマッチするとは限らない。マニュアルには記載されていないようなイレギュラーなケースに如何に備えるかが、電算担当者には求められる。マニュアルに沿った検討を進めたとしても、予想もしないことが起こることもあり、システム統合の実情は第三者が想像する以上に大変なものなのである。市町村合併に伴う情報システム統合の現場は、まさに内憂外患の連続であり、電算担当者の苦悩は計り知れないものがある。
以下、筆者が市町村合併に伴う情報システム統合のコンサルタントとして関わった経験から、システム統合の現場の実情と、中心となって活躍する電算担当者の苦悩について、事例を挙げながら述べたい。
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