2015年6月3日掲載 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

春の女神“ギフチョウ”

今年も桜の花の咲く季節になりましたが、皆さんはギフチョウという春の蝶をご存知でしょうか。翅を広げると5~6センチで小さいキアゲハのような蝶なのですが、私が子供の頃は、東京の三多摩地区でも桜の咲く時期に雑木林のスミレやカタクリのまわりを飛び交っていて、春が来た!と感じさせたものでした。 しかし急速な宅地化のせいでしょう、アッと云う間にギフチョウは消えてしまったのでした。


あれから半世紀が過ぎましたが、郊外のゴルフ場周辺に、ギフチョウがまた現れ始めているのです。


4年ほど前のこと、私は某ゴルフコースの林の縁で、ハッ!として黄色い蝶に目を凝らしたのですが、素早く飛び去ってしまったので十分に確認はできませんでした。しかしその日は床に就くまで、今日見たあの蝶はギフチョウだったのではないか、幼いころ小学校の帰り道で見た、スミレのそばにいた、あの可憐なギフチョウに絶対に間違いない、と思い続けたのでした。


その翌年以降は、別のゴルフ場も含めて、桜の季節には何回か見かけるようになり、またギフチョウと確認できましたので、今ではギフチョウはゴルフ場に根付いているのだと考えています。


一体何がきっかけでギフチョウは、また戻ってきたのでしょうか。

学生時代から蝶を通じてつながりのあった友人Mさんにメールをしたところ、最初は「マサカー、とても信じられない」との反応でした。


しかしそのMさんも今春、千葉県の成田市で何とギフチョウを確認できたとのことでした。


ではどんな変化があってギフチョウ達はまた姿を見せるようになったのでしょうか。Mさんと私は色々考えましたが、秋に行われるゴルフ場によるスズメバチの巣の退治が原因ではないかというのが結論でした。


以前、といっても5年くらい前までですが、秋になると決まってどこかのゴルフ場でスズメバチに襲われたという災難がニュースになっていました。そこでゴルフ場としては林の下草刈りをしてハチの巣を撲滅し、ゴルフを安全に楽しんでもらうことが必要だったのだと思います。この下草刈りをすることによって、ギフチョウの幼虫の食草であるヒメカンアオイにとっても、適度に太陽光が葉っぱに射すようになって、ギフチョウが増えてきたのだと思います。


我々の住んでいる地球の環境面では、温暖化だとか砂漠化だとか、あるいは人類の活動面で言えばスピード化だとか情報化だとか、変化は一方向へのみ進むのが常で、「後戻り」という言葉には非生産的なイメージを感じていました。


しかし今回のギフチョウの復活の推論が正しければ、偶然で小さな現象かもしれませんが、我々にとって嬉しい後戻りもたくさん身近に存在しているのではないかと思った次第でした。

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