2017年8月29日掲載 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

ICT雑感:歩きスマホに思う



先日、駅のホームで歩きながらスマートフォンを操作していた女性に体当たりして転倒させ、重傷を負わせたとして男が逮捕された。報道によれば、この男はスマホを操作している人にわざとぶつかることを繰り返していた疑いがあり、「相手がスマホをしているのが悪い」と言っているとのこと。全く言語道断の犯罪であり、男を弁護する余地はないが、歩きスマホを巡ってとうとうこんな痛ましい事件が起きてしまったかと何とも言えぬ気持ちになった。

誤解を恐れずに正直に言うと、全く周囲に気を配らずひたすら画面を見つめて早足で向かってくる人とぶつかりそうになったことは筆者にも何度も経験があり、温厚を自認する(配偶者は全く別の見解を持っているようであるが)筆者といえども、実はむっとするような場合もある。しかし、たいていこちらも「今夜の先発は○○か、しかし相手はエースの△△、まだまだ連敗のトンネルは抜けられそうにないな」などとどうでもいいことを考えており、注意力が散漫になっているので、まあ、おあいこかもしれない。なので、「歩きスマホ憎し」で実力行使に及ぶ輩が出てくるとは全く想定外の出来事であった。

不幸な事件が起こってしまったとはいえ、普段街を歩くときにいつひったくりに会うかと戦々恐々としないでいられる(少なくともいつもピーピーしている筆者は)のと同様、またはそれ以上にスマホを見ながら意図的に体当たりをされないようにも注意するという必要はまだないと思うし、そんな日が来ないように祈っているが、ただ、中にはホームの端すれすれを歩きスマホする人や歩道を横一列になりそれぞれが画面に夢中でのろのろ歩きといった人もいて、危なかったり他人に迷惑だったりということがないとは言えない。便利な道具を使うにも最低限のマナーを守ってほしいとは思う。

閑話休題、二宮金次郎(尊徳)と言ってピンとくる人はどのぐらいいるだろうか。江戸時代末の文化から安政にかけて、貧窮から身を起こし、疲弊した農村の復興や藩財政の立て直しに貢献した人である。

筆者の出た小学校には校庭の隅に、薪を背負ってうつむき加減に本を読みながら歩く金次郎の少年時代の像があったが、かつては全国に普通に見られたようで、ある程度の年齢以上であればご記憶の方もおられるであろう。

で、なぜ唐突に二宮金次郎かと言えば、大きな業績を残した偉人に対して礼を失するかもしれないが、金次郎は歩きスマホの走りではないかと思うからである。すでに150年以上も前に堂々とした歩き○○族がいたという次第。もっとも、金次郎は寸暇を惜しんで勉学に励んだのであり、野球の途中経過が気になってちらちら画面をのぞく筆者のような凡人とは比べるべくもない。

話が拡散してとりとめがなくなってしまったが(とはいえ、筆者の駄文に何か得るものがあると思っている読者がいたら、それは大いなる誤解である)、スマートフォンは、周囲の迷惑にならないように上手に使って楽しみたいものである。きっと金次郎だって、ほかの人にぶつかりそうになったら顔を上げ、会釈して道を譲ったに違いない。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。

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