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2018年7月9日

ICT経済、8期連続プラス成長を維持
-財・サービスともにプラス成長続く-

(株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大平 弘)は、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学篠﨑彰彦氏、神奈川大学飯塚信夫氏監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」として四半期ごとに公表しております。本日、ICT経済概況について2018年1-3月期がまとまりましたのでご報告いたします。

なお、弊社Webサイト「ICT経済報告」(http://www.icr.co.jp/ICT/)にて詳細版を近日中に公開予定です。

<ICT経済概況と見通し>

ICT経済(関連財・サービス総合)の2018年1-3月期は、前年同期比0.9%増と8期連続でプラス成長となった。ICT関連財は7期連続、ICT関連サービスは14期連続で共にプラス成長を維持した。増加幅は縮小傾向であるものの、ICT関連財では半導体等製造装置が好調を維持している。今後を考えるにあたって、集積回路の在庫増については、前向きの「積み増し」か、生産調整につながる「積み上がり」か留意が必要だ。また、ICT関連サービスでは移動電気通信業、インターネット付随サービス業が引き続きプラス成長を維持しており、サイト運営やコンテンツ配信サービスが牽引している。

ICT関連財・サービス総合指標の推移

【図表】ICT関連財・サービス総合指標の推移

ICT関連財の2018年下期の注目点としては、①自動車等各産業分野のIoT化の進展、②クラウドサービスの普及に伴うデータセンター需要の拡大、③成熟期を迎えたスマートフォンの需要動向が挙げられる。ICT経済を牽引してきたスマートフォンに変わる新たな牽引役がどこまで成長できるかが鍵となる。

ICT関連サービスについては、働き方改革、人手不足への対応、生産性向上など企業が抱える課題の解決に向けて、IoTやAIなどICTの利活用がどこまで進むか、中小企業も含め、今後の動向が注目される。

需要面を確認すると、ICT関連設備投資(ICT関連機械受注)は4期連続で増加となった。電子計算機・半導体製造装置の増加が背景にある。また、通信機は5期ぶりにプラス成長となった(図表7)。

ICT関連消費は9期連続で増加した。移動電話通信料の増加幅が大きく縮小したが、これは携帯電話事業者(MNO)がMVNOへの流出抑止を狙いに、低料金プランを開始したことが影響したものと想定される。通信料が減少した分、アプリケーションなど関連サービスの消費が今後拡大するか、注視が必要であろう。(図表8)。

ICT関連輸出は金額ベースでは、6期連続で増加したが、数量ベースでは減少に転じた。アジアを中心にスマートフォン関連の部材需要が伸び悩んだ。一方、半導体製造装置の需要は引き続き旺盛であり、データセンター増設、IoTやAIの普及、自動車の電子化などにより今後も需要が期待される(図表9)。

【今後の展望】

  • ICT財生産については、IoTの普及や動画配信等大容量コンテンツの利用によりデータ通信量が増大しているため、データセンター需要が拡大し、そこで使う半導体メモリーの増産の必要性から、半導体製造装置の需要が拡大している。当面、半導体製造装置は好調を維持する見込みだ。一方、中国政府は産業政策として「中国製造2025」を掲げ、国産品比率の向上を目指しており、内製化の加速がICT輸出の減少をもたらし、ICT財生産の動向に影響してくるだろう。
  • ICTサービスについては、引き続き、クラウドサービス、セキュリティの強化、また災害、内部統制などリスク対策としての利活用が進展することが期待されるため、堅調に推移するであろう。IoT投資減税の開始や、中小企業向けのIT導入補助金の拡大など、政策効果の顕在化が期待される。また、消費者向けでは、eコマース等の生活系ICTサービスの浸透も継続している。サービス業の動向がポイントとなるであろう。
  • ICT設備投資は、ネットを通じての動画利用の本格化によるトラヒック増による設備投資が出てくることが期待される。また人手不足への対応が本格的に必要となってきており、これにより情報化投資(IoT、AIやロボットの活用、セキュリティ投資等)がさらに推進される見込みである。但し、情報サービス産業においても人手不足は顕在化しており、ICT関連の設備投資をするうえで、これが供給制約となる可能性がある。
  • ICT消費は、今回のモバイル通信料の値下げが、今後、モバイルサービスの利用を活発化し、ECやコンテンツ利用がさらに増えるのか注目される。
  • ICT輸出は、高機能スマートフォンの需要の伸びの鈍化が続くであろう。さらに中国の電子部品等部材の内製化の進展が日本の半導体輸出にもたらす影響がどの程度になるか注目される。

「InfoCom ICT経済報告」の主な内容

  • 情報通信産業のマクロ経済への寄与度及び個別品目(サービス)の寄与度の分析
    財・サービスの生産面、需要面について、ICT関連経済指標を作成し、マクロ経済の動向を示す総合経済指標の増減に対して、情報通信産業の寄与について定性的、定量的に分析。
  • 情報通信の在庫循環分析
    情報通信生産と情報通信在庫の循環を分析。
  • 情報通信株価指数による情報通信生産の予測分析
    情報通信産業の株価データ指数を用いて、来期の情報通信生産の増減を予測。
  • 情報通信資本ストックデータの分析
    情報通信技術利用による経済成長の効果に関する推定作業を行なう際に必要となる情報通信資本ストックデータを作成。毎年データを延長すると共に、動向を分析。

<会社概要>

社名 株式会社情報通信総合研究所(www.icr.co.jp)  1985年6月設立。情報通信専門のシンクタンクとして、情報通信分野の専門的調査研究、コンサルティング、マーケティング、地域情報化にかかわる調査・提案などのビジネスを展開するとともに、これらに関するノウハウ・データを蓄積してきた。近年は、ICTの急激な進展に伴い、研究分野をさらに拡大することでICTが経済社会にもたらす変化を定量的に把握する手法を開発するなど、広く社会の発展に寄与する情報発信・提言を行う最先端のシンクタンクとして事業を展開している。

〒103-0013東京都中央区日本橋人形町2-14-10
アーバンネット日本橋ビル

TEL 03-3663-7153/FAX 03-3663-7660

株式会社情報通信総合研究所
ICT経済分析チーム

主席研究員:野口正人
主任研究員:手嶋彩子、山本悠介、鷲尾哲

監修
九州大学大学院経済学研究院教授 篠﨑彰彦
神奈川大学経済学部教授 飯塚信夫

協力
東北文化学園大学准教授 久保田茂裕