情報通信総合研究所(ICR - InfoCom Research,Inc)は情報通信専門のシンクタンクです。

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2019年9月25日

ICT利活用によって離職・休職せずに働き続けられる人は370万人
〜ICT利活用によって職場外で働けるようになったことが人手不足の緩和に貢献〜

(株)情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大平 弘)は、情報通信技術(以下、ICT)を活用することによって生み出されている多面的な価値を明らかにするため、アンケート調査を元にした推計を行っています。
ホワイトカラー職種の就業者がICT(テレワーク等)を活用することによってどの程度離職や休職せずに働くことができるのかを推計しましたので、その結果を報告します。

図表入り調査結果PDF版[6頁、854KB]
推計対象の概念整理/推計方法図表 等を含む

<ICTを活用することによる離職・休職の抑制>

官民を挙げて「働き方改革」が推進される中、育児や介護、病気などで離職・休職しなくて済むよう、柔軟な働き方がしやすい環境整備等に取り組む企業が増えている。また、本年10月からは幼児教育・保育の無償化がスタートするなど国も子育て支援を強化しており、ますます働きやすい環境整備が求められるようになると考えられる。そのような中、ICTを活用したテレワーク(在宅勤務等)によって、育児だけではなく介護、病気などを理由に離職や休職するのを抑制する効果が期待できる。

そこで、ICTを活用することによって離職・休職せずに働き続けているホワイトカラー職種の人がどのくらいいるのか及び潜在性はどの程度なのかについて推計を行った※1。その結果、現状(2018年)では73万人おり、潜在性は370万人となることが分かった。今後ますますICTを活用した働き方がしやすい環境整備が求められると言えるだろう。

ICTを活用することによって離職・休職せずに働くことが出来る人の数
ICTを活用することによって離職・休職せずに働くことが出来る人の数s

今後、日本では少子高齢化が進んで人手不足が深刻化していくことが予想され、2030年に人手は644万人不足するとの調査結果※2も存在する。ICTを活用した働き方改革は人手不足の緩和に貢献するといえるだろう。

ICTを活用することによって離職・休職せずに働くことができる人は潜在的に370万人いると推計されるが、その内訳を、要因別にみると、病気や怪我の人が130万人と最も多い。従来であれば働き続けられないような重い病気・怪我というアクシデントに見舞われた人でもICTを活用することで働き続けられるようになった効果は大きいといえる。次に多いのは育児中の人111万人であり、ICTによって育児中でも働き続けられるようになった人も多いことが分かる。次いで、介護中の人77万人、高齢者※351万人となっており、ICTが少子高齢化による労働力減少に対して有効であることが分かる。

なお、図中の潜在性は、将来、病気や高齢になったり、育児や介護が必要になったりした場合に、ICTを活用して働き続けたいという意向がある人を示している。

このように、離職・休職せずに働くことができる人が多く生まれた背景には、ICTによって職場外で自由に働けるようになったことがある。職場外で働けることはICTが生み出した様々な価値の一つであり、この価値の大きさを「ICTを活用することによってホワイトカラーが職場外で働く時間」として推計したところ、1人あたり23.2時間/月であった。

ICTを活用することによってホワイトカラーが職場外で働く時間
ICTを活用することによってホワイトカラーが職場外で働く時間

一月の平均的な勤務日数を20日と考えると、ICTの生み出す効果によって、1日1時間以上は職場以外の場所で働けるようになったといえる。

職場外で働く時間の内訳を場所別にみると、まず屋内(図の上段)の自宅が14.2時間/月と合計の半分以上を占めており、自宅でのテレワークの広がりがうかがえる。次に大きいのはサテライトオフィスの3.9時間/月であり、サテライトオフィスを活用する企業の増加が背景にあると考えられる。

屋外(図の下段)では、電車、バス、自動車の中の2.1時間が最も大きい。販売・営業職が営業車の中で行う仕事の時間が大きいと推察される。また、新幹線、飛行機の中は0.8時間/月と大きくないが、出張等の時でもICTを活用して働いていることがうかがえる。

以上のようなICTが生み出す「職場外で働ける」という価値は、離職・休職の抑制だけでなく、労働時間の削減※4や企業の生産性の向上※5にもつながっている。働き方改革に関連してICTが生み出す価値は非常に大きいといえる。

※1 推計はICT利活用によって柔軟な働き方が期待できるホワイトカラー職種(図表2参照)に限定している。本資料の数値は、職種別割合を補正するウェイトバックを行った日本全体の数値を示している。

※2 パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」

※3 高齢のためICTを活用しなければ離職・休職する必要がある人を指している。

※4 詳細は弊社プレスリリース(2019年1月17日)参照。

※5 詳細は弊社プレスリリース(2019年5月23日)参照。

図表入り調査結果PDF版[6頁、854KB]
推計対象の概念整理/推計方法図表 等を含む

<アンケート調査の概要と集計方法>

アンケート調査では、ICTを活用した職場外での働き方、ICTツール・サービスの導入・利活用状況、働き方に関連した取組の実施状況等について尋ねた。調査期間や調査対象、有効回答数は以下のとおり。

「ICTを活用した働き方に関するアンケート」
調査期間:2018年2月22日~2018年2月24日
調査対象:全国の就業者
調査手法:Webアンケート調査
回収数 :合計 2,433 サンプル(企業規模・職種別の回収数は図表1)
管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者、販売従事者(定義は図表2)

<会社概要>

社名:株式会社情報通信総合研究所(http://www.icr.co.jp)
1985 年 6 月に、国内外の情報通信に関する調査・研究を専門とするシンクタンクとして設立。固定通信や移動通信、インターネット・ICT、通信と放送の融合から地域の情報化など、情報通信関連の調査研究、コンサルティング、マーケティング、出版事業などの活動を展開しています。

〒103-0013東京都中央区日本橋人形町2-14-10
アーバンネット日本橋ビル

TEL 03-3663-7153/FAX 03-3663-7660

株式会社情報通信総合研究所
ICT経済分析チーム

主席研究員:野口正人
上席主任研究員:手嶋彩子
主任研究員:山本悠介、鷲尾哲