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投稿レポート
2010年10月25日掲載

London Report(1) スマートフォンの隆盛

NTT Capital(U.K.) 岩田 祐一
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 はじめまして。私が現在駐在するロンドンより、ICTの視点を盛り込みつつ、定期的に幅広いレポートをさせていただければ、と思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 当地に参りまして4か月を既に経過いたしました。いまでも日々、新鮮な発見が続く毎日です。
 特に、モバイルの分野ですと、いわゆるスマートフォンの普及ぶりには目を見張るものを感じます。男性・女性のホワイトカラーにとっては、スマートフォンがデファクト・スタンダードなのではないか、と思われるほどです。
 もちろん、iPhoneも見かけるのですが、BlackBerry、Samsung等々、さまざまなメーカーのスマートフォンを見かけます。

 この理由を探ってみると、以下の要素が見いだせるのではないか、と感じております。

1. 出張・移動時間が長く、外出時もオフィスに比肩するICT環境が求められること。

郊外へのオフィス立地は日本以上に広がっていると感じられます。例えばある監査法人のオフィスは、東京でいえばお台場と成田にあるようなイメージです。この1つには、ロンドン近辺だけでビジネスが完結せず、国内外・EU内外への出張がしやすいエリアにオフィスを立地させる傾向がある、ということがあるように思えます。そのほかの企業についても、英国内外における物流の便を意識した立地がなされているように感じます。

2. モバイルでのコミュニケーションが、音声・SMSがほどよくミックスされていること。

音声でのコミュニケーションが一番重視されているように感じられます。これは互いの状況を説明・主張してナンボ、という文化にもよるのかと思われます。また、直接話をしたいけれども、状況により難しいときには、短い会話向けにSMSが頻繁に用いられます。

3. キーボードタイピングに慣れているため、携帯端末にもそれを求めること。


特殊なキーボード等は敬遠されがちです。漢字等の表意文字・表形文字がないため、変換機能のメリットが訴求できないことも挙げられるかと思います。

4. コンテンツに関して、比較的リッチなものが好まれること。

モバイル向けに簡素化されたwebサイト等は好まれない傾向があります。この意味では、電車の中でKindleを読んでいる方をよく見かけるのも新鮮な発見です。

先般マイクロソフトが、新しいスマートフォンOSを発表した時も、当地のメディアでは軒並み大きく取り上げられました。スマートフォンの取り組みでは北米勢と韓国・台湾勢が目立ちます。(下表は、英国主要プロバイダのラインナップ状況) 
欧州勢がやや影に隠れているように見えるのが残念ですが、足下のニーズに刺激を受け続けているはずですので、きっとどこかで大いなる巻き返しをはかってくるのではないか、と感じます。

 次回は、光ブロードバンドへの取り組みぶりについて、触れたいと思います。

<表>英国主要キャリアがラインアップする、スマートフォンのメーカー別機種数

 

Vodafone

Orange

O2

T-Mobile

Apple(米国)

0

1

0

2

BlackBerry(カナダ)

8

4

8

4

Dell (米国)

0

0

2

0

HTC(台湾)

8

2

4

4

LG(韓国)

0

0

0

1

Motorola(米国)

0

1

0

0

Nokia(フィンランド)

3

3

1

4

Palm(米国)

0

0

2

0

Samsung(韓国)

2

4

1

5

Sony Ericsson(スウェーデン/日本)

2

4

3

3

(各社ウェブサイトより筆者算定。色つきはキャリア別トップ2メーカー)

この記事は、社外の方より投稿いただいたレポートです。 内容に関して情報通信総合研究所は責任を負うものではないことをあらかじめご了承ください。

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