ここ英国に来て、ブロードバンド環境で驚いたのは、「光ファイバーサービス、通信会社よりもCATV会社のほうが速い!」ということでした。
日本では、光といえば最大100Mb/sが当たり前のところ、当地では住宅の構造上等、FTTH配線が一般的に困難なこともあり、100Mb/sは難しい様子です。
そういったなか、CATVである、Virgin Mediaは最大50Mb/sを謳って光サービスを積極的に展開しています。Virgin Mediaの売り文句は「UK Fastest Broadband(英国最高速のブロードバンド)」です。
一方で、固定通信会社BTも最大40Mb/sを謳ってサービス展開をしており、先般も改めて「2015年までに人口の90%を光でカバーする」宣言がなされましたが、エリアによって速度制限がある様子。
ロンドン近郊のフラット(集合住宅)に居を探し当てた我が家でのブロードバンド導入検討の際、BTのサイトでチェックしたところ、「あなたのエリアは光サービス加入可能です。」とまで出てきて喜んだのもつかの間、「ただし、あなたのフラットでは、最大19.9Mb/sしか出ませんので悪しからずご了承を。」とのショックなメッセージ。
そうはいっても月額価格はしっかり、最大40Mb/sと同額をとられますから、これならば、わざわざ光を選択するのも・・・(ADSLで十分)となるところでありました。。。
Virgin Mediaは、現時点ではまだ赤字体質なのですが、元々映像配信・エンタテイメント企業であるということと、またSir Richard Bransonが率いるVirgin Groupの一因であり、先端イメージを標榜する企業カルチャーであることから、BTを凌ぐスペックでの勝負を仕掛けている様子です。
ただ、構築体制の充実等はまだまだの部分もある様子で、(我が家は結局Virgin Mediaを選択したのですが)工事申し込みから工事日までに3週間半。当日工事に来たお兄さん(1人)も「今日は工事が8件。君のところでまだ5件目だよ〜」と夕方5時ごろに帰る際にこぼしていました。
それでもオンラインベースで、申し込みから料金引き落としまで完結する体制は整っており、バリューチェーンという意味では充実が図られていると感じました。(BTの場合、前住所が英国内にない外国人は、オンラインベースでの申し込み不可)
ただBTをフォローすると、8Mb/sADSLとフリーWi-Fiをバンドルしたりと、トータルサービスで勝負に出ているようです。
これは単にVirginとの戦い、ということのみならず、英国ではISPレベルで、他にもブロードバンド有力企業が存在するという背景があります。
1つは、衛星放送を提供するSky(BskyB)。有料放送とISPとの強力エンタテイメントセット。
また、TalkTalkは、携帯販売会社の傘下であり、英国随一の人気オーディション番組「X Factor」のスポンサーとしての知名度も抜群など、若年層への浸透著しいです。
Orange(France Telecom)、O2(スペインTelefonica傘下)は、携帯とのバンドルを売りにしています。
下表では一応、一覧化しましたが、これら以外にもバンドリング等の多様なサービスプランを各社が提供し、それぞれの強みを生かしたセット販売で、しのぎを削っています。
日本と比べると、異業種・他国からの参入、しかも、もともと本業・本国等で持つ強みを活かした上での参入が多い分、競争がより活発なのではないか、という感があります。
次回は、テレビと携帯の「メディアミックス」について、触れたいと思います。
<表>英国主要ブロードバンド事業者サービスのスペック比較
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光 |
ADSL / CATV インターネット |
|
BT |
Virgin Media |
BT |
Talk
Talk |
Virgin Media |
Sky |
Orange |
O2 |
最大速度(毎秒) |
40Mb |
50Mb |
20Mb |
24Mb |
20Mb |
20Mb |
20Mb |
20Mb |
価格(英ポンド) |
24.99 |
25.00 |
27.99 |
14.99 |
27.95 |
12.50 |
7.50 |
12.00 |
備考 |
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携帯契約者向け |
同左 |
(各社ウェブサイトより筆者まとめ。1英ポンド=約130円。いずれも電話とセットの期間契約(12ヶ月以上)の場合で、初期割引終了後のブロードバンド分の価格。ダウンロード容量は無制限のプラン。)