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2011年12月14日掲載

London Report(7) 街中に、手軽なアクセスポイント溢れるWi-Fi(公衆無線LAN)

NTT Capital(U.K.) 岩田 祐一
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 ロンドンには、コーヒー・紅茶を楽しめるちょっとした各種カフェが溢れています。
 英国=紅茶 という感覚でみると、コーヒーの市民権の広がりに随分と驚かれるかもしれません。実際、大手カフェチェーン(英系のCosta、Caffe Nero、そして米系のStarbucks)は、街中いたるところで目にします。これはちょっとした地方都市にいっても同様です。更に、大都市部中心に、サンドイッチなど軽食をメインとするカフェ(英系のPret A Manger、Eat)も多く展開されています。ちなみに筆者のオフィスと、通勤で使う最寄り駅のあいだは徒歩10分強ですが、これら店舗がほぼ出揃っています。

 そしてこれらのカフェを覗くと、意外と目立つのが、ビジネスパーソンの打ち合わせです。
 日本では、「えっ、会社の外で打ち合わせ?」と驚かれる方も多いかと思いますが、こちらでは、「ちょっと気分転換して、アタマを活性化しようよ・・・」そんなノリで、ちょっとした資料を持ち出して、打ち合わせ・・・といった光景は、カフェのあちこちで見られます。
 何しろ、大きなオフィスを有する会社では、会社の中にもカフェを誘致しているぐらいです。いってみれば、社員食堂ならぬ、社員喫茶、といった感じでしょうか。。。ただここで、本当に、(雑談のみならず)仕事の議論がなされているのが驚きです。

 こういったカフェで、なくてはならないツールになっているのが、実は、Wi-Fi(公衆無線LAN)であります。冒頭に挙げた大手カフェチェーンの3社では、大抵の店舗で、無料Wi-Fiアクセスが可能になっています。
 筆者のオフィスの最寄りにあるStarbucksでは、Starbucksカード(プリペイドカード)を持っているカスタマーのみに無料IDを発行する、というルールでしたが、この数ヶ月内に、他のカフェチェーンに対抗して、カードがなくてもアクセスが出来るようになりました。
 他のカフェチェーン、例えばCaffe Neroでは、その場での簡単なオンラインユーザ登録で、アクセスが出来るようになっています。
 なお、Starbucksは、英国最大手通信事業者のBTと提携しており、BTのWi-Fiサービス「BT Openzone」の店内基地局を、カスタマーに無料開放している形です。またCaffe Neroは、英国最大手衛星放送事業者BSkyBのモバイルインターネット子会社The Cloudと提携しています。

店先に掲げられているスタバのWiFi無料看板 Photo:Ambernectar 13, Flickr
店先に掲げられている「Free Wi-Fi」の看板
Photo:Ambernectar 13, Flickr

 勿論、こういったカフェでWi-Fiを利用しているのは、ビジネスパーソンばかりではありません。スマートフォンもしくはPCユーザで、お気に入りのコンテンツをダウンロードして楽しんでいる人たち、外出先で情報を探している人たち等々、利用シーンは多彩です。
 ぜひ英国にお出かけの際は、こういったカフェで、Wi-Fiをお試しいただけるような機会をお持ちいただけると、どことなく、その街に溶け込んだ感覚もあわせてお持ちいただけるのではないか、と感じています。

 最後に「では、そのセキュリティはどうなっているのだ?」という話ですが、これについては残念ながら、その利便性に相反して、目をつぶっていただくのがよい(!?)状況です。
そもそもアクセスポイント探索・接続時に、これらの無料アクセスポイントは「セキュリティが有効ではないネットワーク」と表示されていますので、利用者もそこを分かった上で利用する、という心持が予め求められている様子です。決して、ネット決済などは行わないほうがよいと感じます。
 それでは、ビジネスパーソンはどうしているか、という点ですが、会社から簡易VPN(Virtual Private Network)を張るための暗号キー端末のようなものを支給されているケースが多いようです。これらはワンタイムパスワードが自動生成され、他人からは容易にアクセスできない形になっていることと、接続後は、会社にあるサーバの張り出し仮想端末となることから、自身のPC内のデータと完全分離された形での利用になることが、特色です。
 出張や、出先での業務、在宅勤務等も当たり前という業務文化の中、このVPNソリューションは、ビジネスパーソンにとって欠かせないツールの1つとなりつつあります。そしてその実際の場を提供している1つが、街中のカフェであったりするわけです。

 本来、のんびりとおしゃべりする場である(!?)カフェさえも、時には創造的な仕事場として変えてしまうところに、ここ英国のビジネスパーソンパワーの1つの源があるのかもしれませんね。

 次回は、「ネット上での本人認証のあれこれ 〜個人情報を考える〜」をお届けしたいと思います。

この記事は、社外の方より投稿いただいたレポートです。 内容に関して情報通信総合研究所は責任を負うものではないことをあらかじめご了承ください。

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