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1998年2月掲載 |
行政改革と行政情報化
98年2月の国会で中央省庁再編に関する基本法案が提出される運びとなった。この1年の省庁再編をめぐるマスコミの報道から興味深いものがいろいろと知らされている。しかし、行革を進める上で忘れてはいけないのが行政情報化である。行革=行政情報化とも言えるのである。
■行政改革会議との駆け引き 政治の世界では最初に出された案はつぶされるのが常であるらしい。 11月22日の行政改革会議集中審議終了後、1府12省庁の枠組は確定した、と首相は胸を張って記者会見を行った。中間報告よりも後退したのではないかとの記者の質問に対して、中間報告は最終報告ではない、何故、中間報告通りにしなければいけないのか、と居直りとも取れる記者会見の一幕もあった。中間報告以後、党内、官庁からかなり強い抵抗があったことを伺わせる。 ■行政情報化に関する閣議決定 行政情報化推進基本計画の改定について、行政改革会議の最終報告の後、12月20日に以下のような閣議決定がなされている。 この件については新聞報道で大きく取り上げられることはなかった。むしろ昨年7月に出された方針のほうが大きく扱われている。 ■業務改善の指標中央省庁では、300万円ほどの業務委託の内部決済が完了されるまでに、今でも20数個のハンコが必要で、この間2ヶ月以上を要するのはザラだそうである。役所の数が減ってもこのような仕事の進め方がある限り行革が進められたとは評価されまい。 閣議決定された行政情報化推進計画の改定では、行政情報システム各省庁連絡会議において、情報化の成果を毎年度公表していくものとしている。その際の評価は何を目安にしていくのか注目したい。パソコンの配備率、システムの導入率、ネットワーク利用量、等々の技術的な指標もいいが、業務の改善を示す指標、例えば起案された日から決済までに要した日数とハンコの数も客観的な指標として扱っていい。もっともこれだけを尺度にしてしまうと、防衛本能が働き、根回しを済ませてから決済伺いを廻しあたかもスムーズに仕事が流れたように見せかけることもあるだろう。根回しに時間をかけて実質的には非効率的な従来型の事務処理のままという懸念もでてこよう。これに対しては、その起案日がタイミングを失していないかの主観的判断も含まれてよいのではないか。 素人にもわかるような仕事ぶりを見せてもらえればいいのであり、小さくてスマートな行政組織が出来上がればいいはずである。行政情報化は行政改革の必要条件として取り組まなければならないのである。 |
社会システム研究部長 高橋 徹 e-mail:takahasi@icr.co.jp |
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