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Global Perspective 2011
2011年11月15日掲載

アイスランド:NFCを活用したモバイルペイメントへの取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2011年10月21日、Visa Europe、世界2位のSIMメーカーOberthur Technologies、アイスランドのペイメントソリューションベンダーValitorがアイスランドにおいて、初のモバイルペイメントの取組みを開始すると発表した。

 Orberthur Technologies社がNFC対応のSIMカードを提供し、Valitorがシステム構築を行う。今回の提携にはアイスランドの通信事業者は入っていないが、リリースでは同国の主要通信事業者と協力しながら推進していくことを表明している。

 まず1,000人の参加者を対象にして2012年1月からトライアルを開始し、2012年半ばに本格的なパイロットプロジェクトとして開始予定。商用開始は2013年後半を目指している。既に600のリーダーライター端末がレイキャビク周辺には設置済みとのこと。

 アイスランドのクレジットカード普及率は90%以上を超えている。アイスランドの人口は約32万人(東京都新宿区と同じ)で、多くが首都レイキャビク周辺に集中している。

 Visa EuropeのFredrik Westerman氏もアイスランドは人口、クレジットカード普及率からも理想的な地域であると述べている。

 “Iceland is one of our most successful markets. The size of the market and high card penetration makes Iceland an ideal test environment to drive our ambition to help realise the future of payments.”

 NFCを活用したモバイルペイメントの対象市場として、人口約32万人の小国だがクレジットカード普及率が90%以上であるアイスランドが理想的であるというコメントは注目に値する。人口数が多いだけではダメなのである。クレジットカードが普及していて、日頃から人々がクレジットカードを利用することに抵抗感がないことが重要なのだろう。

 今後、プラスチックカードでの決済が携帯電話に移行した際に、インターフェースや使い勝手なども含めて大きな変更や抵抗がなく受け入れられるような努力を通信事業者とも協力しながら、実施してもらいたい。今回はSIMへのNFC機能搭載となるが、SIMを販売するのは通信事業者である。普及・拡大には通信事業者の協力も必要になってくるだろう。

 最後に、アイスランドの携帯電話市場について概観してみたい。

携帯電話加入者:約35万加入。人口普及率約104%。
アイスランドの主要通信事業者としては下記3社。

1.Siminn
  ・シェア約41%
  
2.Vodafone Iceland
  ・シェア約37%
  ・英国Vodafoneグループ

3.Nova
  ・シェア約22%
  
 アイスランドでのNFCを活用したモバイルペイメントとの取組みと今後のビジネスモデルにおいて通信事業者がどのように関与していくか注目していきたい。

アイスランドの首都レイキャビク
アイスランドの首都レイキャビク

アイスランドの首都レイキャビク

レイキャビクの有料公衆トイレ。小銭が必要な有料トイレもいずれモバイルペイメントで利用できるようになることを期待したい。

レイキャビクの有料公衆トイレ

レイキャビクの有料公衆トイレ

*本情報は2011年10月31日現在のものである。

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